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労働審判は第1回期日が重要!当日までに会社側が準備すべきことや対応ポイント

    #労働審判

    #第1回期日

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監修 | 弁護士 家永 勲 弁護士法人ALG&Associates 執行役員

労働審判を申し立てられた場合、会社は速やかかつ適切な対応を行う必要があります。

労働審判制度は迅速な紛争解決を目的としており、特に「第1回期日」は今後の手続き全体を左右する重要な局面となります。
この期日に、適切な主張や有効な証拠を提示できなければ、結果に大きな影響を及ぼすおそれがあります。
そのため、第1回期日に向けた準備は入念に行わなければなりません。

本稿では、第1回期日の具体的な流れや会社が事前に準備すべきポイント、審理にかかる期間など幅広く解説していきます。不用意な対応によるリスクを避けるためにも、ぜひご一読ください。

労働審判は第1回期日が非常に重要!

労働審判とは、労働者と使用者の間のトラブルを迅速に解決するための制度です。

審判手続きは裁判官1名と労働関係に精通した労働審判員2名で構成される労働審判委員会によって行われます。労働審判は原則3回以内の期日とされており、通常の訴訟に比べ、非常に短期間で解決を目指せる点に特徴があります。

なかでも、特に第1回期日は今後の手続きの流れや労働審判委員会の心証を大きく左右するため、極めて重要とされています。第1回期日に主張や証拠が不十分だと、その後の審理に不利に働く可能性があるため、入念な準備が不可欠です。

第1回期日で労働審判委員会の心証がほぼ決まる

労働審判は迅速な解決を目指す手続きであるため、基本的に第1回期日で主な争点や証拠の整理を完了させることが求められます。そのため、労働審判委員会は第1回期日の双方の主張や提出された証拠を基に、事案の全体像を把握し、早期に心証を形成することが一般的です。

一度委員会の心証が固まってしまえば、後の期日でその考えを覆すのは容易ではありません。
したがって、第1回期日までに会社側の主張や裏付けとなる証拠を準備し、すべて提出することが大切です。

準備不足や出し惜しみをしてしまうと、会社側に不利な印象となるおそれもあります。
第1回期日で全てを出し尽くせるよう万全に準備することが、会社側の最大の防衛策といえます。

労働審判の第1回期日はいつ指定される?

労働審判の第1回期日は、原則として申立てがあった日から40日以内の日が指定されることになっています。

期日は裁判所が決定し、会社には第1回期日の具体的な日時を明記した呼出状が送付されます。
呼出状には、出頭場所や注意事項も記載されているため、必ず詳細を確認しましょう。

期日の日程は基本的に裁判所の予定を優先して決定されるため、会社側の都合を考慮してもらうことは難しい場合もあります。
どうしても期日に出頭できないなどやむを得ない事情があれば、速やかに裁判所へ連絡しましょう。
呼出状が届いたら、いち早く日程を確認し、早期に出席や書面提出などの準備に着手することが重要です。

第1回期日の日程変更は可能か?

裁判所が決定した労働審判の第1回期日について、会社側から変更や延期を申し出ることは、基本的に認められていません。

なぜなら、労働審判委員会の専門家や双方当事者など関係者のスケジュールの再調整が必要となれば、裁判所に多大な労力が生じることになるからです。
また、労働審判制度自体が迅速な紛争解決を重視していることもあり、期日延期によって審理全体が遅延することは制度の趣旨からすれば避けるべきという考えもあるでしょう。

例外的にやむを得ないとして変更が認められることもありますが、できる限り提示された期日でスケジュール調整を行うべきといえます。

労働審判の第1回期日に向けて準備すべきこと

労働審判手続きでは、申立てから第一回期日までの期間が非常に短く設定されているため、会社はできるだけ早く準備に着手する必要があります。
具体的な準備には以下の内容が挙げられます。

  • 答弁書を期限までに提出する
  • 主張を裏付ける証拠を集める
  • 会社側の出席者を決める
  • 想定問答の作成とリハーサルを行う

それぞれの内容について以下で詳しく解説していきます。

答弁書を期限までに提出する

答弁書とは、労働者側の申立書に対して会社側の主張や反論、意見を明確に示す重要な書面です。この答弁書には提出期限が設けられており、この期限は厳守する必要があります。

通常、申立書が届いてから提出期限までは、およそ1ヶ月程度しか猶予がないことがほとんどです。限られた時間の中で、会社は、自社の主張や反論点、根拠となる事実や事情を全て盛り込まなければなりません。

第1回期日までに答弁書をしっかり提出し、会社側の立場や意見を明確に伝えられるようにしましょう。もし、提出期限を守れなかった場合は、会社側の主張が十分に伝わらず、不利な判断につながるおそれがあります。

主張を裏付ける証拠を集める

労働審判においては、たんに主張を述べるだけでは不十分であり、その主張を裏付ける証拠が不可欠となります。

答弁書には「争点となることが予想される事項に関する証拠」を具体的に記載する必要があり、証拠書面の添付も求められています。会社側の主張が合理的であっても、客観的な証拠がなければ労働審判委員会に認められるのは難しいでしょう。

証拠の種類は事案によりますが、例としては、以下のような書類があります。

  • 就業規則
  • 雇用契約書
  • 労働条件通知書
  • 給与明細
  • タイムカード(残業代請求の場合)
  • 解雇通知書(解雇事案の場合)
  • 録音データ
  • メールのやり取り
  • 会議の議事録など

証拠が不足している場合には、可能な限り追加の証拠を収集し、主張を補強できるようにしましょう。
証拠は客観的で、かつ信用性が高いものであるほど、会社側の主張の根拠として有効です。

会社側の出席者を決める

労働審判の第1回期日には、当事者本人や、申立て内容に関して詳しく事情を把握している担当者が出席するようにしてください。実情をよく理解している人が出席することで、労働審判委員会からの質問にも的確に対応できます。

社長自身の同席は必須ではありませんが、会社の最終的な意思決定が求められる場合や、和解交渉が予想される場合には、権限を有する人物の出席が望ましいといえます。もし、第1回期日で会社側が欠席した場合、会社に不利な内容で審判が下されるおそれがあり、会社側の主張や反論の機会を失うことにもつながります。

指定された期日のスケジュール調整を行うとともに、適切な出席者の選定や万全の準備を行うことが必要不可欠です。なお、弁護士に依頼することで、代理人として期日に出席してもらうこともできます。
そのため、弁護士への相談は早めに検討しておくことをおすすめします。

想定問答の作成とリハーサルを行う

労働審判の第1回期日では、審判委員会から当事者や担当者に対してさまざまな質問が行われます。
このとき、答弁書に記載した主張内容と出席者の回答が食い違ってしまうと、主張の信憑性が疑われることになり、会社側の立場を不利にする要因となり得ます。

こうした事態を防ぐために、事前に想定問答集を作成し、当日の進行を想定したリハーサルを行うことが大切です。リハーサルを通じて、想定される質問に対する回答を繰り返し練習し、スムーズかつ自信を持って回答できるようにしておきます。

また、事前に弁護士と打ち合わせを行い、法的観点から主張の根拠や回答のポイントを理解しておけば、想定と多少異なる質問であっても適切に回答することができます。
綿密な事前準備が成功の鍵となりますので、リハーサルは必ず行いましょう。

労働審判の第1回期日で行われること

労働審判の第1回期日は、大きく前半と後半に分かれて進行します。
それぞれの場面で会社側が行うべき対応のポイントは以下の通りです。

【前半】

前半では、労働審判委員会が当事者や関係者に対して事実関係に関する質問を行い、必要な証拠調べ(審尋)が実施されます。これは、労働審判委員会が紛争の内容を正確に把握するための重要なプロセスです。

会社側は答弁書や証拠に基づき、要点を整理して誠実に回答することが求められます。
正確に回答することはもちろん、自社の主張を裏付ける根拠を示して説明する必要があります。
前半が終了すると、労働審判委員会が協議を行い、その結果をふまえて後半へと移行します。

【後半】

後半では各当事者が交互に入室し、裁判官と個別に対話をしながら話し合いによる解決を目指します。会社側は、自社の立場を明確にしつつ、柔軟な姿勢で和解の可能性を探ることも大切です。
ただし、不当な要求には毅然と対応し、会社の利益を損なわない範囲で合意点を見つける必要があります。

和解による労働審判の終了

労働審判では、第1回期日から和解を目指す手続きが重視されており、双方が話し合って合意に至れば、和解による解決が可能です。和解が成立した場合、会社側が労働者に対して支払う和解金(解決金)は、事案や請求内容によって幅はありますが、一般的には50万円から数百万円程度が相場となります。

統計によると、労働審判の解決金額の中央値は150万円となっていますが、あくまで統計データですので、目安としてみるべきでしょう。もし第1回期日で和解が成立しない場合は、2回目、3回目の期日に移行し、最終的に労働審判委員会が労働審判を下します。

労働審判は、裁判所の判決と同様の効力を持ちますが、確定判決とは異なり、異議申し立てをすることができます。労働審判の結果に納得できない場合は、当事者が異議申し立てを行うことで、通常の訴訟手続きへ移行することになります。ただし、訴訟は労働審判以上に時間と費用がかかるため、弁護士と十分に相談したうえで慎重に判断することをおすすめします。

労働審判における和解について、以下のページをご参考下さい。

さらに詳しく労働審判を申し立てられたら和解すべき?会社側のメリットや解決金について

第1回期日にかかる時間・期間は?

労働審判の第1回期日にかかる時間は、一般的に2時間から4時間程度が標準です。審理の進行状況や争点の複雑さによって前後する場合もありますが、ほとんどの場合はこの範囲内で終了します。

また、労働審判手続にかかる全体の審理期間については、申立てから終了までの平均日数が約82日とされています。このように、労働審判は短期間で集中的に手続きが進められるため、会社側も限られた時間の中で十分な準備を行い、第1回期日に臨むことが重要になります。

労働審判の期間についての詳細は、以下のページで解説しています。

さらに詳しく【企業向け】労働審判にかかる期間はどれくらい?早期解決のポイントも解説

労働審判を有利に進めるためにも、専門知識を持つ弁護士にご相談下さい。

労働審判は専門的な法律知識や迅速な手続き対応が求められるため、会社が独自で対応するのは難しいといったケースも珍しくありません。特に、第1回期日までは非常に短期間となっており、そのなかで効果的な準備や証拠整理を行うには、経験豊富な弁護士のサポートが不可欠です。

弁護士法人ALGでは、労働紛争の豊富な実績と対応力を活かし、会社の事情に応じた最適な法的サポートを提案しております。事実関係の精査や適切な証拠収集へのアドバイスはもちろん、書面作成や期日に向けたリハーサルまで一貫して対応しております。

労働審判に少しでも不安があれば、ぜひ私どもにご相談ください。

この記事の監修

担当弁護士の写真

弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 執行役員

保有資格
弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

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