子供からいじめられていると打ち明けられたとき、保護者の方はどのような対応をすればいいか悩まれるでしょう。
子供がいじめを受けていることが判明したら、子供を護るためにも、学校に連絡・通報して適切に対処する必要があります。
この記事では、子供がいじめを受けている場合の対処法や、いじめの解決に向けて対処する際のポイントなどについて解説していきます。
ぜひご参考ください。
目次
いじめの定義は時代に合わせて何度も改正されてきましたが、平成25年に施行されたいじめ防止対策推進法では、以下の通り定義されています。
いじめ防止対策推進法第2条
「児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。」
つまり、被害を受けている子供が心身の苦痛を感じているかどうかが判断基準となります。
いじめの具体例
近年、いじめは学校の内外を問わず発生し、その行為がエスカレートしているといわれています。どのような行為がいじめに該当するのか、具体例を見ていきましょう。
子供がいじめを受けていると知った際、親は気付けなかった自分を責めてしまうかもしれません。
しかし大切なのは、いじめられている状況に対して必要な対策を取り、子供の健全な学校生活を守ることです。
そのために効果的な対処法について解説します。
まずは学校に相談しましょう。学校に話すべきか迷っていじめへの対処が遅れると、いじめの被害が深刻化する場合もありますので、速やかな対処が必要です。
学校に相談する際のポイント
学校へ相談する際は、次のようなことに注意しましょう。
学校にいじめの相談があった場合、学校側にはいじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずる義務があります(いじめ防止対策推進法第23条2項)。
また、いじめ重大事態にあたる場合には、第三者委員会を設置して、当該重大事態にかかる事実関係を明確にするための調査を進めなければならないとされています(同法第28条)。
学校に相談する際は、「いじめがあったこと」のほか、調査を求めていじめの事実を把握してもらうことが大切です。
いじめの有無について学校側と争いになった場合、いじめの証拠が重要となります。
子供が受けたいじめを裏付ける客観的な証拠があれば、より確実にいじめを立証できるだけでなく、加害者側や学校側との交渉、損害賠償請求の際も有効です。
証拠の具体例
いじめを立証するための証拠としては、次のようなものが挙げられます。
いじめは、対処が遅れると被害が拡大したり、深刻になることがあります。
対応に悩んだときには、次のような相談窓口に相談してみましょう。
「いじめにどう対応すればいいかわからない」「学校に相談しても適切に対応してもらえない」という場合には、弁護士への相談をおすすめします。
弁護士に相談することで、法的な観点からいじめ問題への解決策についてアドバイスをもらえたり、弁護士が代理人として学校側と交渉することで、学校側の対応がスムーズに進むことが期待できます。
また、生命の危険があるような悪質ないじめの場合は、警察への相談も検討しましょう。
犯罪行為に該当するようないじめを受けていることが分かった場合は、子供の命や安全を守るためにも一刻も早く弁護士や警察に相談することが大切です。
いじめの被害を受けた場合、加害者側および学校側に対する法的措置を検討できます。
具体的には、民事訴訟と刑事告訴の2通りがあります。
いじめ被害を受けた場合、法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
ここでは、いじめの対処を弁護士に依頼するメリットについて見ていきましょう。
大事な子供がいじめを受けていると知ったとき、精神的ショックや怒りを覚えるのは当然のことです。
いじめの解決に向けて対処する際には次のポイントを押さえておきましょう。
では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
子供がいじめを受けていることを知ると、親として「何とかしてあげたい」と、たくさんの対応を考えるかと思います。
しかし、例えば子供が嫌がっているのに、親が学校や加害者のもとに怒鳴り込んでいけば、子供に大きなストレスが生じ、味方であるはずの親を信頼できなくなってしまいます。
保護者が先走って行動してしまうと、子供に対するいじめの状況がかえって悪化してしまうおそれもありますので、まずは子供の意見や考え方をしっかりと聞き取り、できる限り子供の意思を尊重してあげることが大切です。
後から「言った・言わない」のトラブルにならないようにするためにも、学校とのやり取りは記録に残しておくことが重要です。
また、学校にいじめ問題の解決に向けた相談をするときには、口頭ではなく書面で行うようにしましょう。
口頭での申し出は、後からトラブルになる可能性や、担任で話が止まってしまい対応が進まない可能性があります。
学校宛てに書面を送付することで、担任だけでなく学校全体で問題を共有することができます。
その結果、より適切な解決に向けた取り組みが期待できるでしょう。
いじめの問題は、学校と協力して対応していかなければならない問題です。
被害児童・生徒の保護者としては、いじめに気付かず放置したことや、いじめ問題への対応に不満や疑問を抱き、学校は「敵」であると考えてしまう場合もあるでしょう。
しかし、学校を敵対視して感情的に交渉してしまうと、その後の交渉が難航するおそれがあります。
学校との関係が悪化してしまうと、いじめ問題の解決が遅れるだけでなく、子供の学校生活にも悪影響を及ぼす可能性がありますので、学校を敵対視し過ぎず、話し合いを進めましょう。
令和4年度の文部科学省の調査によると、小学生のいじめで最も多いのは「言葉によるいじめ(56.4%)」となりました。次いで多いのが「暴力によるいじめ(25.7%)」です。
小学生に起こるいじめは、言語表現が未熟なことが原因と考えられます。
自分の気持ちを上手に表現できないことや、日常的な不満やストレスの解消について適切に対処できないことが大きな原因でしょう。
小学生のいじめへの対処法
小学生のいじめと聞くと、「複雑ではないだろう」「子供同士で解決できるだろう」などと、軽視されがちです。
いじめ問題で悩む子供が居場所を失わないよう、保護者が子供の気持ちを理解してあげることが大切です。
令和4年度の文部科学省の調査によると、中学生のいじめで最も多いのは「言葉によるいじめ(62.0%)」、次いで多いのが「暴力によるいじめ(14.3%)」となり、小学生と同じような傾向が見受けられます。
ただし、暴力によるいじめは、からかいやいたずらの要素が多かった小学生に比べて態様がエスカレートしやすく、注意が必要です。
中学生のいじめへの対処法
中学生にとって学校は生活時間の多くを占める場所です。いじめにあって学校に居場所がないと感じると、「自分には何もない」と思う子供も多くいます。
そこで、子供には「家庭」という「学校以外の居場所」を作ることが大切です。
令和4年度の文部科学省の調査によると、高校生のいじめで最も多いのは「言葉によるいじめ(59.4%)」となりました。
次いで多いのが「SNSによるいじめ(16.5%)」となり、小・中学生との違いが分かります。
特にインターネットやSNSを使用した誹謗中傷によるいじめが多く見受けられます。
高校生は、ほとんどがスマートフォンを持っていて、学校内でも使用できる環境があることも原因のひとつでしょう。
高校生のいじめへの対処法
高校生は多感で難しい時期でもあります。
しかし、話を聞いてくれる大人が身近にいることは高校生の子供にとって大切なことです。
無理に会話をするのではなく、子供が悩んでいる時、困っている時に相談できる関係性を意識してみてください。
学校や部活のように集団で活動する場面では、ひとりに対して複数人によるいじめが起きることがありあます。
集団によるいじめは、小規模で始まったいじめが次第に大きなものになり、止められる人がいなくなるパターンが多く見られます。
なかには、「いじめはよくない」と考えている子供もいると思いますが、「被害生徒の味方をすると自分がいじめられるのではないか」という不安からいじめを止めることができず、どんどん加害者グループが増長していきます。
部活や集団でのいじめへの対処法
集団でいじめを受けている場合は、速やかな対処が求められます。
子供が集団いじめに耐えかねている場合は、学校へ行くことをやめることも検討すべきです。
そのため、保護者として代替的な学習環境を確保することが求められます。
子供がいじめを受けていると気付いたときには、ショックや怒りの気持ちがあると思いますが、まずは、子供の心のケアを優先してください。
そして、迅速に対処するためにも、いじめの対処法については弁護士にご相談ください。
弁護士が代理人として介入することで、証拠集めのアドバイスだけでなく、加害者側や学校側と交渉していくことが可能です。
弁護士が法的な観点から冷静に交渉を進めることで、スムーズな解決が期待できます。
私たち弁護士法人ALGは、いじめの被害を受けたお子様、保護者様に寄り添い、スムーズな解決となるよう尽力いたします。
お子様の健全な学校生活や成長のためにも、いじめの対処法に悩まれた場合は、まずは一度私たちにご相談ください。
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監修 : 弁護士 谷川 聖治 / 弁護士法人ALG&Associates執行役員
保有資格弁護士(愛知県弁護士会所属・登録番号:41560)
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