中学生の子供が学校でいじめを受けている場合、迅速に対処し、早期解決を目指すことが大切です。
いじめ被害に遭った子供は人を信じられなくなったり、自分に自信がなくなったりすることも多く、保護者の方の対応にも注意が必要です。
この記事では、中学生のいじめの対処法や、保護者が気を付けたいことなどについて解説していきます。ぜひご参考ください。
目次
文部科学省が発表した令和5年度のデータによると、中学生のいじめは「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる(63.6%)」が最も多くなり、その他にも、軽いぶつかり合いや仲間はずれ、集団無視、ネットでの誹謗中傷などがあります。
中学生のいじめは小学生とは異なり、男女でいじめの内容も変化する傾向にあります。
いじめに計画性があり、仲間はずれにしたり、悪い噂を広げたり、心理的ないじめが多いです。また、女の子は、女の子からも男の子からもいじめ被害を受けることがあります。
男の子のいじめ突発的ないじめが多く、内容も暴力的ないじめが大半です。身体的ないじめが多いため、大人が気付きやすいでしょう。また、男の子は男の子の間だけでいじめが起こることが多い傾向にあります。
中学生は、心も体も大きく成長する時期ですが、思春期特有の心の不安定さや、複雑な人間関係、SNSの影響などの様々な要因が重なり、いじめが起こりやすいタイミングともいわれています。
中学生のわが子がいじめられていると知ったとき、すぐに相談してくれなかった子供を責めたり、気付けなかった自分を責めたりするかもしれません。
しかし、大切なことはいじめ問題に対して適切に対応することです。まずは以下の対処法を検討しましょう。
いじめの対処法については、以下のページで詳しく解説しています。ご参考ください。
さらに詳しく学校のいじめに対する対処法は?解決のポイントなどを解説学校に相談すべきか迷っていると、いじめへの対応が遅れていじめが深刻化するおそれもあります。
いじめ問題は学校の協力がなければ解決が難しくなりますので、まずは以下の点に注意しながら、中学校へ相談しましょう。
また、いじめ防止対策推進法第23条では、学校は、児童・生徒やその保護者からいじめ被害の通報があった場合には、速やかにいじめの事実確認のための措置を講ずるとともに、その結果を学校の設置者に報告すると定めています。
そのため、学校に相談する際は、いじめの報告だけでなくいじめの事実確認のための調査を求めるようにしましょう。
いじめ防止対策推進法については、以下のページで詳しく解説しています。ご参考ください。
さらに詳しくいじめ防止対策推進法とは?被害者を守る法律と弁護士ができることいじめ問題の解決には客観的な証拠をできる限り集めることが大切です。
証拠は、学校側へ対応を求めるときだけでなく、加害者等との交渉や、損害賠償請求の場でも重要な役割を持ちます。
加害者等にいじめの証拠を集めていることがバレてしまうと、いじめが深刻化する危険もあります。
どのように証拠を集めたら良いかご不安な場合は、弁護士にご相談ください。
いじめの相談ができるのは学校だけではありません。
学校がいじめ問題に対応してくれない場合には、以下の「いじめ相談窓口」に相談することも検討しましょう。
24時間子供SOSダイヤル(文部科学省)
子供の人権110番(法務省)
東京都いじめ相談ホットライン(東京都教育委員会)
ヤング・テレホン・コーナー(警視庁)
暴行や脅迫、恐喝によるいじめは、犯罪に該当する悪質ないじめです。
こうしたいじめ被害にあわれた場合は、学校だけでなく警察にも相談・通報しましょう。
例えば、暴力によるいじめは、傷害罪や暴行罪に問われる可能性があり、「殴るぞ」など本人や本人の財産に危害を加えることを告げて脅す行為は脅迫罪に該当する可能性があります。
犯罪に該当するいじめを受けた場合、被害者は刑事告訴をすることで、加害者等に刑事責任を追及することができます。
告訴状が受理されると、警察は相談内容と証拠を基に捜査を開始します。
捜査の結果、加害者等が行ったいじめが犯罪行為に該当すると判断される場合には、警察は検察庁へ事件を送致します。
中学生のいじめは弁護士に相談することで、早期解決が期待できます。いじめ問題を弁護士に相談するメリットは以下のとおりです。
このほかにも、いじめの態様やご相談者様のお悩みに沿ってさまざまなサポートが可能です。まずは一度弁護士へご相談ください。
いじめ問題を弁護士に相談するメリットについては、以下のページで解説しています。ご参考ください。
さらに詳しくいじめ被害は弁護士に相談すべき?メリットや費用などを解説CONTACT
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います。
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。 ※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
子供がいじめられていると知ったとき、「どうにかして解決しないと」と様々な対処法をご検討されるかもしれません。
しかし、中学生のいじめの対応をするうえでは、以下の点に注意が必要です。
では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
いじめ問題の解決には、子供の意思を尊重することが大切です。
子供がいじめられていると知ったとき、怒りや悲しみを覚えるのは当然です。
しかし、いじめ問題は子供が主体の問題ですので、まずは子供の話をしっかりと聞き、子供に確認をとってから動くようにしましょう。
保護者が良かれと思って行動したことが、もしかすると子供が望んでいる対処法ではないかもしれません。
このように、保護者が先走って行動してしまうと子供の状況がかえって悪化してしまうおそれがあります。
まずは保護者として、「子供の絶対的な味方である」と伝えて寄り添ってあげることが大切です。
子供が学校でいじめ被害に遭っていると気付いた場合、怒りや悲しみの気持ちでいっぱいになるでしょう。しかし、感情的にならず冷静に対応することが大切です。
怒りや悲しみの気持ちを引きずったまま学校に相談してしまえば、「いじめ問題を相談しに来た」のではなく、「クレームを入れに来た」と思われてしまう可能性もあります。
いじめを早期に解決するためにも、まずは子供から「いつ・どこで・誰に・どんないじめを受けたのか」を聞き取り、時系列をはっきりさせてから冷静に学校に相談しましょう。
加害者やその保護者と直接やり取りするのはおすすめできません。学校関係者や弁護士などの第三者を介して行うようにしましょう。
中学生の子供から聞いた話だけをもとに加害者の保護者にいきなり連絡するのは、話がこじれるだけでなく、いじめが加速するなどのトラブルに発展する可能性もあります。
加害者の保護者といじめ問題について話し合いたい場合には、学校関係者や弁護士などを間に挟み、冷静な話し合いができるようにしましょう。
学校とのやり取りは記録に残しておくことで、後から「言った・言わない」の争いを防ぐことができます。そのため、できる限り記録が残るメールや書面でのやり取りをおすすめします。
また、学校側のいじめ問題への対応が不十分な場合は、学校側へ損害賠償請求をすることも考えられます。こうした事態に備えるためにも、学校側とのやり取りは記録に残しておくと安心です。
中学生は義務教育期間であるため、加害者等を停学・退学処分にすることはできません。
ただし、「いじめ防止対策推進法」では、いじめ加害児童・生徒への対応を以下のように明記しています。
(いじめ防止対策推進法 第26条)
市町村の教育委員会は、いじめを行った児童等の保護者に対して学校教育法第35条第1項の規定に基づき当該児童等の出席停止を命ずる等、いじめを受けた児童等その他の児童等が安心して教育を受けられるようにするために必要な措置を速やかに講ずるものとする。
つまり、いじめの被害を受けた児童・生徒のみならず、ほかの児童・生徒も安心して授業を受けるために、出席停止措置が定められています。
ただし、出席停止は学校の判断だけではできず、教育委員会の決定が必要です。「学校へ来ない」ことを強制する重い措置であり、その判断は慎重なものとなっています。
中学校は義務教育課程であるため、加害者等の停学や退学の処分を求めることが難しく、被害者が不登校や転校を余儀なくされるケースも少なくありません。
不登校や転校によって被った損害について、加害者側や学校側に賠償を請求できるのか、次項で解説します。
「いじめ」は民法上の不法行為に該当します。民法第709条では、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定められています。
よって、いじめ加害者は被害者に対して損害を賠償する責任があります。
また、学校側もいじめを防止し、いじめを把握したら適切に対処する安全配慮義務があるため、学校側が不十分な対応によって、被害者が不登校になった場合は、学校側も加害者側と同じく、被害者に対して損害を賠償する責任があります。
被害者は以下のような損害の賠償を請求できます。
具体的にどのくらいの損害賠償金を請求できるかは、いじめの態様によってさまざまです。いじめ被害によって不登校になった場合は、不登校の期間も考慮されて判断されるでしょう。
いじめによる不登校については、以下のページで詳しく解説しています。ご参考ください。
さらに詳しくいじめで不登校になったときの対応は?加害者や学校への法的措置などいじめが原因で転校や引っ越しを余儀なくされた場合、加害者や学校に対して損害賠償を請求できる可能性があります。
たとえば、転校や転居にかかった費用、学用品の購入費などが損害として認められることがあります。
実際の裁判でも、加害児童に対して損害賠償が命じられた例がありますが、学校側の責任が認められないケースもあります。
ただし、これらの費用を賠償してもらうには、「いじめと転校・転居との間に明確な因果関係があること」を証明する必要があります。
加害者側はその関係性を否定することが多いため、裁判では証拠に基づいた立証が求められます。
いじめによる転校については、以下のページで詳しく解説しています。ご参考ください。
さらに詳しくいじめを理由に転校できる?学校や加害者への責任追及などを解説いじめの問題は、早めの対応がとても大切です。もし中学生のお子様がいじめに遭っている場合は、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。
私たち弁護士法人ALGには、学校やいじめ問題に詳しい弁護士が多数在籍しています。
ご相談者様のお話を丁寧にお聞きし、加害者や学校とのやり取り、法的な対応、再発防止のためのアドバイスなど、いじめに関する問題を幅広くサポートいたします。
いじめを受けたお子様には、保護者の方の支えがとても重要です。
少しでもそのご負担を軽くできるよう、私たちが全力でお手伝いします。まずはお気軽にご相談ください。
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監修 : 弁護士 谷川 聖治 / 弁護士法人ALG&Associates執行役員
保有資格弁護士(愛知県弁護士会所属・登録番号:41560)
愛知県弁護士会所属。私たちは、弁護士82名、スタッフ171名(司法書士1名を含む)を擁し(※2021年6月末現在)、東京、札幌、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、神戸、姫路、大阪、広島、福岡、タイの13拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。
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