学校でいじめ被害を受けた子供が「学校に行きたくない」と感じるのは自然な気持ちです。
一方で、保護者はどのように対応すべきか、不安や悩みを抱えてしまう方も多いでしょう。
いじめによる不登校は非常にデリケートな問題であり、大切な子供にさらなる精神的負担をかけないためにも、慎重な対応が求められます。
この記事では、いじめが原因で不登校になった際の対応や、加害者等やその保護者に対しての責任追及などについて解説していきます。
目次
いじめが原因で学校に通えなくなる子供は年々増加しており、不登校は深刻な社会問題となっています。
背景には、いじめによる精神的負担や学校環境への不信感があります。
ここでは、近年の不登校児童・生徒数の推移と、実際に不登校を引き起こすいじめの事例を取り上げ、現状をより具体的に解説していきます。
文部科学省の調査によると、令和6年度の全国小中学校で不登校の児童・生徒は35万3970人に上ります。
そのうち、いじめが原因で不登校となった児童・生徒は4913人です。
令和5年度の同調査では、不登校児童・生徒は34万6482人、いじめが原因のケースは4463人でした。
わずか1年で不登校の人数が約7500人増加しており、いじめによる不登校も増えています。
いじめは不登校の大きな要因のひとつであり、学校現場での対応や早期発見が重要です。
不登校を引き起こすいじめの事例には、以下のようなものが考えられます。
上記のようないじめは、子供の心理的負担を大きくし、学校への恐怖や不安を強めます。
特にSNSを使ったいじめは、家庭にいても被害が続くため、逃げ場がありません。
暴力や言葉の攻撃だけでなく、無視や孤立も深刻な影響を与え、不登校につながります。
早期発見と学校・家庭の連携による対応が不可欠です。
いじめや不登校の問題は、子供の心身に深刻な影響を与える社会課題です。
文部科学省は、法整備や支援策を通じて学校現場の対応を強化しています。
ここでは、以下のような主要な取り組みを解説します。
不登校は、いじめ防止対策推進法のいじめ重大事態に該当する可能性があります。
いじめ防止対策推進法とは?
いじめ防止対策推進法は、児童生徒の尊厳を守るため、いじめの防止・早期発見・適切な対処を総合的に推進する法律です。
いじめは「児童生徒が心身の苦痛を感じる行為」と定義され、学校・設置者・国・地方公共団体に防止策や組織設置を義務付けています。
いじめ重大事態とは?
特に深刻な事案は「いじめ重大事態」とされ、①生命・心身・財産に重大な被害が生じた疑い、②長期欠席を余儀なくされた疑いがある場合を指します(第28条)。
学校は重大事態を認めた際、速やかな調査、保護者への報告、再発防止策を講じる義務があります。
いじめ重大事態に該当する場合は、被害者の安全を守り、加害者の行動を改善するために、加害児童・生徒に出席停止などの措置を取ることができます。
文部科学省は、急増する不登校への対応として「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」を令和5年に公表しました。
従来の「学校復帰」重視から、一人ひとりに合った学びの保障へと方針を転換した点が特徴です。
COCOLOプランの3つの柱
文部科学省は、いじめや不登校の深刻化に対応するため不登校・いじめ緊急対策パッケージを公表しました。
目的は、不登校の児童・生徒が安心して学べる場の確保と、心のSOS早期発見です。
不登校・いじめ緊急対策パッケージの主な取り組み
上記の施策により、被害児童・生徒が孤立せず、安心して学び続けられる環境づくりを目指しています。
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まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います。
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。 ※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
いじめが原因で不登校になった場合、子供は強い不安や孤独を抱えています。
保護者は、子供の気持ちを尊重しながら、学校との連携や環境の見直しを進めることが重要です。
ここでは、親ができる具体的な対応を4つの視点から解説します。
子供が不登校になると、「勉強についていけなくなるのでは」と不安や焦りを感じ、無理に登校を促してしまう場合があります。
しかし、子供が「学校に行きたくない」と言っているのであれば、無理に行かせず、どうしたいのか子供の意思を確認し、尊重するのが大切です。
不登校の原因が学校で行われたいじめである場合は、学校に連絡して事実確認や調査を求めましょう。
学校には、いじめ防止対策推進法により、いじめに関する通報があった際に調査を行う義務があります。
子供が安心して学校に通えるよう、いじめの事実確認と調査をしっかりと求めるのが重要です。
併せて、不登校による学習の遅れが心配な場合は、学習機会の確保についても相談しておくとよいでしょう。
いじめによる不登校が長引く場合、状況によっては転校を選択肢に入れることも有効です。
新しい環境への移行は、子供が人間関係や学習への不安をリセットし、前向きな気持ちを取り戻すきっかけになります。
ただし、転校は生活や学習環境が大きく変わるため、子供の意思を尊重し、十分に話し合ったうえで慎重に判断することが重要です。
学校や教育委員会とも相談し、学習の継続やサポート体制を確認してから決定しましょう。
いじめを理由とした転校については、以下のページでも詳しく解説しています。
いじめが原因の不登校は、被害者である子供の精神的ケアやきめ細やかなサポートが重要ですが、保護者だけで対応するのは難しい場合もあります。
学校へ行かない子供を責めたり、無理に登校を促したりしても問題は解決せず、保護者の負担も大きくなります。
いじめによる不登校の悩みは、ひとりで抱え込まず、以下のような専門機関に相談しましょう。
スクールカウンセラー
子供の人権110番:法務省
電話番号:0120-007-110
受付時間:月~金曜日、8時半~17時15分
※メールやLINEでも相談可能
24時間子供SOSダイヤル:文部科学省
電話番号:0120-0-78310
受付時間:24時間
チャイルドライン:チャイルドライン支援センター
電話番号:0120-99-7777
受付時間:午後4時~午後9時
学校問題やいじめ問題に詳しい弁護士への相談も有効です。
弁護士であれば法的な観点からアドバイスを受けられます。
いじめが原因で不登校になった場合、学校側および加害者等、その保護者に対して法的責任を追及できます。
具体的には、学校や加害者に損害賠償請求をする民事訴訟と、犯罪行為について処罰を求める刑事告訴などがあります。
いじめの損害賠償請求や刑事告訴については、以下のページで詳しく解説しています。
さらに詳しくいじめで損害賠償請求できる?誰に何を請求できるのか・相場など さらに詳しくいじめの被害で刑事告訴できる?流れや加害者の処分・費用など学校側には、児童・生徒が安心かつ健全な学校生活を送れるようにする安全配慮義務があり、いじめ防止や適切な対応を行う責任があります。
安全配慮義務を怠った場合、民法第415条に基づく債務不履行として損害賠償請求が認められる可能性があります。
安全配慮義務違反が認められる例としては、次のような場合です。
学校側に対する損害賠償請求には、いじめの事実や学校の対応状況を示す証拠が重要です。
専門家である弁護士に相談し、適切な法的手続きを進めましょう。
いじめは法律上の不法行為に該当し、被害者は加害者に対して損害賠償を請求できます(民法第709条)。
請求できる内容には、慰謝料(民法第710条)、治療費、転校や引越しに伴う費用などが含まれます。
ただし、加害者本人に責任能力がない場合(民法第712条)、損害賠償請求はできません。
責任能力の明確な基準はありませんが、おおむね10歳~12歳程度で備わると考えられています。
加害者本人に請求できない場合は、保護者に対して監督義務者としての責任を問うのが一般的です。
いじめが犯罪行為に該当する場合、刑事告訴(刑事訴訟法第230条)が可能です。
加害者が14歳未満の場合、刑罰は科せられませんが、家庭裁判所の審判により保護観察処分などが科される可能性があます。
14歳以上の場合は、保護観察や少年院送致などの処分が検討されます。
犯罪行為に該当するいじめの例
刑事告訴には、いじめの事実や被害状況を示す証拠が不可欠です。
悪質な行為に対しては、民事請求と併せて刑事手続きを検討しましょう。
刑事告訴については、以下のページでも詳しく解説しています。
さらに詳しくいじめは犯罪にならないの?法律で裁けない?被害者がとれる対処法CONTACT
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います。
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。 ※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
いじめが原因で不登校になった際、保護者だけで対応するのは難しく、法的な視点からの支援が必要になる場合があります。
弁護士への依頼によって、学校や加害者への対応を任せられるだけでなく、損害賠償請求や刑事告訴など複雑な手続きを代理してもらえます。
保護者は精神的負担が軽減され、子供が安心できる環境づくりに集中できるでしょう。
いじめ被害を弁護士に依頼するメリットについては、以下のページでも解説しています。
さらに詳しくいじめ被害は弁護士に相談すべき?メリットや費用などを解説いじめが原因の不登校で、保護者が子供のケアをしながら解決に向けて対応するのは、精神的負担が大きいです。
弁護士に依頼すれば、弁護士が窓口となり対応を任せられます。
弁護士ができる具体的な対応
弁護士が介入することで、被害者の意向に沿った対応をしてもらえやすくなり、学校側も法的リスクを意識して迅速な対応を取る可能性が高まります。
さらに、弁護士は法的知識を活用し、必要に応じて損害賠償請求や刑事告訴への準備も並行して進められるため、問題解決のスピードが向上します。
いじめ被害が深刻な場合、弁護士への依頼によって損害賠償請求や刑事告訴などの複雑な手続きをスムーズに進められます。
これらの手続きは専門的な知識が必要であり、保護者自身で対応するのは困難です。
弁護士は、請求や告訴が可能かどうかを法的観点から判断し、最適な方針を提案します。
また、裁判や交渉で必要となる証拠の種類や収集方法について具体的なアドバイスを受けられる点も大きなメリットです。
診断書、相談記録、SNSのやり取りなど、どの証拠が有効かを弁護士が指示することで、手続きの成功率が高まります。
いじめを受けた場合の慰謝料請求については、以下のページで詳しく解説しています。
さらに詳しくいじめを受けたら慰謝料を請求できる?相場や請求方法などを解説いじめを理由に不登校になった場合でも、一定の条件を満たせば「出席扱い」となる制度があります。
文部科学省の通知に基づき、学校外や自宅での学習活動を在籍校の出席日数として認める仕組みです。
対象となる学習は、ICTを活用した自宅学習や教育支援センター、フリースクールでの学習などです。
出席扱いとなるためには、学校と保護者の連携、学習計画の明確化、学習状況の報告などが必要になります。
校長が総合的に判断し、指導要録に記載すると正式に認められ、不登校が進級や進学に不利にならないよう配慮されています。
制度の利用を希望する場合は、在籍校に相談し、必要な手続きや条件を確認することが重要です。
いじめが原因で不登校となり、転校を余儀なくされた場合、かかった費用を加害者本人やその保護者、学校の設置者に請求できる可能性があります。
請求できる費用には、転校に伴う転居費用、学用品費などが含まれます。
ただし、転居費用などを請求するには「いじめと転校の因果関係」が認められることが必要で、証拠の提出が重要です。
また、公立学校側の対応が不適切だった場合、国家賠償法に基づき自治体へ請求できます。
請求を進めるには、学校の対応記録、診断書、領収書などの証拠を集め、示談交渉や民事訴訟を検討します。
まずは弁護士に相談し、適切な請求方法を確認することが望ましいでしょう。
お子様がいじめで不登校になった場合、保護者として加害者側や学校側に責任を問いたいと思うのは当然です。しかし、お子様の心のケアと並行して対応するのは大きな負担となります。
いじめによる不登校は、弁護士に相談することで、状況に応じた最適な対応を検討できます。
例えば、学校に対して安全配慮義務を果たすよう求めたり、学習機会の確保を働きかけられます。また、加害者側への損害賠償請求や慰謝料請求など、法的措置も任せられます。
弁護士法人ALGには、いじめ問題や学校問題に詳しい弁護士が多数在籍しています。
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監修 : 弁護士 谷川 聖治 / 弁護士法人ALG&Associates執行役員
保有資格弁護士(愛知県弁護士会所属・登録番号:41560)
愛知県弁護士会所属。私たちは、弁護士82名、スタッフ171名(司法書士1名を含む)を擁し(※2021年6月末現在)、東京、札幌、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、神戸、姫路、大阪、広島、福岡、タイの13拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。
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