家宅捜索とは?流れやその後の手続き、対処法などを弁護士が解説

家宅捜索とは?流れやその後の手続き、対処法などを弁護士が解説

監修
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

警察や検察などの捜査機関が、令状を持って捜索対象者の家や会社を突然訪ねて証拠を押収する手続きを「家宅捜索」「ガサ入れ」などといいます。捜索対象者は、捜査機関から家宅捜索されることを事前に知らされないため、多くの方が突然の出来事に驚きます。

本記事は、家宅捜索に着目して、家宅捜索の流れや家宅捜索を受けた際の対処法、家宅捜索を受けた後の手続きなどについて、詳しく解説していきます。

家宅捜索とは

家宅捜索とは、警察や検察などの捜査機関が犯罪に関する証拠物を差し押さえるために、被疑者の自宅や関連する場所を強制的に捜索する手続きのことです。「家宅捜査」と呼ばれることもありますが、法律上は「家宅捜索」または「捜索差押え」と呼ばれています。

家宅捜索の目的は、主に犯罪の証拠となる物を収集することです。被疑者の自宅や関連する場所には、犯罪に使用された凶器や犯行時に着用していた衣服などの重要な証拠が隠されている可能性が高いと考えられています。そのため、刑事事件の捜査において、家宅捜索は重要な証拠を得るために行われます。家宅といっても、捜索の対象は被疑者の自宅だけでなく、被疑者と関連する場所(会社、倉庫、車両など)と広範囲に及びます。

どんなときに家宅捜索が行われるのか?

家宅捜索が行われる可能性が高いのは、次のような場合です。

  • 捜査機関が犯罪の証拠を押収したい場合
  • 被疑者が証拠隠滅を試みるおそれがある場合
  • 犯罪が計画段階または進行中であると疑われる場合
  • 被疑者が逃亡中である場合
  • 被害者の所在を確認する場合 など

特に、盗撮などの性犯罪や薬物犯罪、窃盗罪は、その犯罪を裏付ける証拠が被疑者の自宅や関連する場所に隠されているケースが多く、家宅捜索されやすい傾向にあります。

家宅捜索の主な目的は証拠の収集ですが、事件によっては、被害者が監禁されている場所や行方不明となった被害者を発見するために行われる場合もあります。誘拐事件などでは、証拠の収集よりも「被害者の解放」を目的とした家宅捜索が行われます。

家宅捜索は拒否できるのか?

家宅捜索は、裁判所が発布した令状に基づき行われる強制捜査に該当する手続きであるため、拒否できません。

正当な家宅捜索を妨害した場合は、公務執行妨害罪が成立し、「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」が科せられる可能性があります。ただし、裁判所が発布した令状が提示されない場合や認められた捜索範囲を超えた捜索が行われた場合には、不当な家宅捜索として捜索対象者はその点を指摘できます。とはいえ、家宅捜索の捜索範囲や方法が不適切であるケースはないに等しいため、捜査機関からの家宅捜索は拒否できないのが基本です。

家宅捜索が行われる条件

家宅捜索は、裁判所が発布する「捜索差押許可状(令状)」がある場合にのみ、行うことができます。

捜査機関が家宅捜索の実施を決めた後は、裁判所に対して令状の発布を請求します。これに対し裁判所は、捜査機関が提供する証拠や情報などを踏まえ、家宅捜索の実施を認めた場合に令状を発布します。

令状には、主に以下のような項目が記載されます。

  • 捜索対象者である被疑者又は被告人の氏名、年齢
  • 罪名
  • 捜索すべき場所、身体又は物
  • 差し押さえるべき物
  • 有効期間

家宅捜索は、被疑者または被告人のプライバシーを侵害する行為でもあるため、上記のように捜索できる範囲が限定されています。

裁判所から認められた範囲外の捜索は「違法捜索」となるため、捜査機関であっても、勝手な捜索は許されません。

家宅捜索の流れ

家宅捜索は、主に以下のような流れで行われます。

  • 内偵捜査
  • 裁判所から捜査令状を取得
  • 令状を持って家宅捜索
  • 証拠品の押収

家宅捜索の実施には、厳格な手続きと法律が絡んでくるため、必要な手順を踏まなければ行えません。
家宅捜索を実施するまでに、各手続きがどのように行われていくのか、次項で具体的に解説します。

①内偵捜査

捜査機関は、家宅捜索に至るまでに必ず内偵捜査を行って被疑者を絞り出していきます。内偵捜査とは、捜査機関が対象者に気付かれないように密かに捜査を進めて容疑を固めていくことをいいます。

内偵捜査では、捜査員が偽の身分を装って対象者に接触したり、組織に潜入するなどの捜査が行われます。被疑者や共犯者の行動パターンを監視し、十分な証拠を確保できたら家宅捜索に入る準備が進められます。

内偵捜査は、対象者やその組織に対して直接的な証拠を収集せずに容疑を固めていく捜査手法であるため、捜査は秘密裏に進められるのが基本です。

②裁判所から捜索令状を取得

内偵捜査によって容疑が固まると、捜査機関は裁判所に「捜索差押許可状(捜索令状)」の発付を請求します。裁判官は、捜査結果をもとに「犯罪の疑いがある」と合理的に判断できる場合に限り、令状を発付します。

この令状には、被疑者の氏名や年齢、罪名、捜索場所、押収対象物、有効期間などが記載されており、原則として発付日から7日以内に家宅捜索が行われます。ただし、裁判所が特別に認めた場合は、有効期間が延長されることもあります。

③令状を持って家宅捜索

令状を取得した後は、捜査員が捜索対象者に令状を提示し、内容を読み上げ、家宅捜索が開始されます。このとき、捜査員が令状の提示と内容を読み上げるのは、家宅捜索が合法的に行われていることを証明するためです。

家宅捜索は、捜索対象者が在宅している可能性の高い早朝に行われるケースが多く、証拠隠滅を防ぐために予告なしに行われます。捜査員は捜索対象者の家の中や関連する場所に入り、証拠が隠されている可能性の高い場所を徹底的に調べます。

家宅捜索は、犯罪事実を裏付ける証拠を収集する目的で行うのが大半であるため、起訴か不起訴かを判断する前の捜査段階で行われることが多いです。家宅捜索により犯罪事実を裏付ける決定的な証拠が押収された場合は、高確率で起訴されます。押収された証拠物については、捜査機関によって詳細に記録され、裁判などで使用する重要な証拠物として保管されます。

④証拠品の押収

捜索の過程で発見された証拠物は、捜査員によって押収され、押収品目録交付書が作成されます。押収品目録交付書とは、家宅捜索などで捜査機関が押収した物品の詳細を記載した書類で、捜索対象者またはその代理人に交付されます。

押収品目録交付書には、主に以下の項目が記載されます。

  • 被疑者または被告人の氏名、罪名
  • 押収物品の詳細
  • 押収日時、場所 など

押収品目録交付書は、捜査機関が適法に証拠を押収したことを証明し、捜索対象者の権利を保護する重要な役割を果たすために必要です。

また、その後の証拠管理や法的手続きの透明性を確保するためにも必要な書類です。

家宅捜索は立ち会うべき?本人不在の場合は?

家宅捜索の立ち合いは義務ではありませんが、基本的には立ち会いを推奨します。家宅捜索に立ち会えば、令状を確認でき、捜査機関の捜索が不正に行われるのを防げます。

家宅捜索の立ち合いが認められているのは、主に以下の人物です。

  • 捜索対象者本人
  • 捜索対象者の代理人
  • 捜索対象者の同居人

家宅捜索は、捜査機関が令状に従って適正に行っているかを確認する必要があるため、必ず立会人の同席が求められます。

そのため、捜索対象者本人や同居人がどうしても立ち会えない場合には、「隣人」や「地方公共団体の職員」などを立ち会わせることができます。後から押収品目録交付書は受け取れますが、捜索の過程をリアルタイムで監視し、不正な捜索を防ぐためにも家宅捜索には立ち会うことが望ましいです。

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家宅捜索を受けた後の手続き

家宅捜索を受けた後は、押収した証拠を基に、以下のような流れで法的手続きが進められます。

  • 1.任意聴取もしくは逮捕
    逮捕の理由(罪を犯したと疑うに足りる相当な理由)と逮捕の必要性(逃亡または証拠隠滅のおそれ)が認められない場合は任意聴取を受けますが、認められる場合には逮捕される可能性があります。
  • 2.勾留請求
    逮捕によって身柄を拘束された場合は、その後の状況に応じて検察官から裁判所に対して勾留請求(引き続き身柄を拘束する)が行われます。勾留請求が行われなければ、直ちに釈放されます。
  • 3.起訴・不起訴の決定
    勾留請求が行われた場合は、勾留満了日までに検察官から起訴・不起訴の判断が下されます。家宅捜索で有効な証拠が収集された場合は、起訴される可能性が高いです。一方で、有効な証拠が見つからなかった場合には、不起訴の可能性があります。
  • 4.刑事裁判
    正式起訴された場合は、刑事裁判が開かれて裁判官から有罪・無罪の判断が下されます。

家宅捜索の対応を弁護士に依頼するメリット

家宅捜索の対応を弁護士に相談すると、不当な逮捕や勾留などを回避できる可能性が高まります。
具体的には、以下のような弁護活動を行ってもらえます。

  • 家宅捜索のやり方が適法かどうかをチェックしてもらえる
  • 自首する場合は、途中まで同行してもらえる
  • 逮捕された場合は、早期釈放や不起訴処分の獲得に向けた弁護活動を行ってもらえる
  • 起訴された場合は、減刑を目指した弁護活動を行ってもらえる など

家宅捜索が行われる際には、捜査が適正に行われているかを確認するために、本人または弁護士が立ち会うことが重要です。特に弁護士が同席すれば、捜索対象者本人では気づきにくい違法な手続きや不備にも対応できるため、安心です。

また、早い段階から弁護士のサポートを受けることで、不当な逮捕や勾留を防げる可能性も高まります。家宅捜索の通知を受けたら、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。

家宅捜索に関するQ&A

家宅捜索で押収された物は返還してもらえますか?

家宅捜索で押収された物は、捜査機関に一定期間保管され、捜査が終了した時点で返還されるのが基本です。

所有者に返還されるタイミングは、刑事処分によって異なり、捜査が終了した時点で返還される場合もあれば、起訴・不起訴の判断が下された時点の場合もあります。基本的には、押収した物の必要性がなくなった時点で返還されますが、以下のような場合は返還されません。

押収物が返還されないケース
  • 所有者が所有権を放棄した押収物である場合
  • 押収物が覚醒剤や銃器などの没収対象である場合

ただし、仮返還請求によって一時的に押収物を返還してもらう手続きは行えます。仮返還請求は、裁判所が押収物の一時的な返還を認めた場合に限り、応じてもらえます。

警察が家宅捜索に来たら近所の人にバレますか?

家宅捜索は、捜索対象者に知らされることなく突然行われるため、近隣住民にバレる可能性があります。

捜索は、裁判所が発布する令状を基に行われるものの、大勢の警察官が自宅に訪れます。その騒ぎに近隣住民が気付けば、家宅捜索が行われている=「何か事件を起こした」と疑われるでしょう。

捜索対象者が家宅捜索に抵抗すればさらに騒ぎが大きくなるため、近隣住民にバレる可能性がより高まります。近隣住民にバレたくない場合には、家宅捜索に冷静に対応する必要があります。捜査が円滑に進み、近隣住民への影響も最小限に抑えられるでしょう。

家宅捜索で証拠品が何も出てこない場合はどうなりますか?

家宅捜索で証拠品が見つからなかった場合は、単純に捜索終了となります。
捜索終了となっても、自動的に事件が終結するわけではないため、捜査は引き続き継続される可能性が高いです。

家宅捜索の実行には、必ず裁判所からの「捜索差押許可状(令状)」が必要となります。令状の発布は、裁判所が家宅捜索の実行を認めていることを意味し、被疑者に犯罪の嫌疑が認められなければ、裁判所は令状を発布しません。つまり、捜索で証拠品が見つからなくても、犯罪の嫌疑がゼロになるわけではないため、事件終了となる可能性は低いでしょう。

家宅捜索を受けた・受けそうな場合は早期に弁護士法人ALGにご相談ください

家宅捜索を受けたということは、捜査機関から何らかの犯罪の疑いをかけられている可能性が高いことを意味します。捜索で証拠が押収され、その内容によっては逮捕に至るケースもあります。

不当な逮捕や長期間の勾留を避けるためには、法律の専門家である弁護士のサポートが欠かせません。

弁護士法人ALGには、刑事事件に強い弁護士が多数在籍しており、迅速かつ的確な対応が可能です。家宅捜索を受けた、またはその可能性がある場合は、できるだけ早くご相談ください。

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