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傷害罪は、我々にとって身近な犯罪かもしれません。以下では、傷害罪の刑罰や成立要件等を説明し、傷害罪で逮捕された場合どうすべきか、傷害罪における示談の重要性等を解説していきます。
なお、逮捕までされなくとも、在宅事件として傷害事件の被疑者となってしまった場合でも、示談の重要性等、身柄拘束に関わる部分以外は、同様です。
傷害罪・傷害事件の刑罰
傷害罪
15年以下の懲役又は50万円以下の罰金(刑法204条)
傷害致死罪
3年以上の有期懲役(刑法205条)
傷害罪とは
傷害罪は、他人に何らかの怪我を負わせる犯罪として認識されているでしょう。もちろん、他人に怪我をさせることは、典型的な傷害罪になりえますが、傷害罪は怪我をさせた時だけに留まりません。
傷害罪における傷害の定義は、人の生理機能の侵害とされ、PTSDも傷害に該当するとされています。
傷害罪の刑罰
傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
傷害罪において、懲役刑となるか、罰金刑に留まるかについては、傷害の程度が大きな考慮要素となるでしょう。
事件発生に至る経緯、示談の有無、被疑者・被告人の前科によって大きく変わるところだと思いますが、骨折を伴う等の重症事案は、懲役刑が選択されやすくなると思われます。
なお、刑事施設に収容する刑罰は、禁固刑と懲役刑とありますが、法改正により拘禁刑に統一される予定です。
傷害罪の成立要件
傷害罪の成立要件は4つあります。まず、①傷害の実行行為が必要です。次に②傷害結果が生じたことが必要です。
さらに、③実行行為と傷害の結果発生の間に因果関係が必要です。加えて、④故意も必要となります。
人をわざと殴って怪我をさせたら傷害罪ですが、自転車で誤って人にぶつかって怪我をさせても傷害罪にはならないのは、④故意が無いからです。
傷害罪と暴行罪の違い
暴行罪も傷害罪も、人に対して有形力の行使をすることは同じです。傷害罪と暴行罪との違いは、暴行罪が規定されている刑法208条に「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは」とあるのが回答です。
つまり、人に暴力をふるった場合を例にとると、怪我をさせてしまった場合は傷害罪で、怪我はしなかった場合は、暴行罪となります。
暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。
傷害結果までは発生させていないことが前提のため、当然、傷害罪より法定刑が軽く、暴行罪の初犯で懲役刑が課されるということは、考え難いといえます。