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駅構内や商業施設のエスカレーターで女性のスカートの中を撮影等することが典型的な盗撮です。
このような盗撮は、各都道府県で制定されている条例で取り締まられていましたが、2023年に性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(以下では、撮影罪とします)が制定、施行され、今後は、撮影罪で規律されていくことになります。
以下では、盗撮について解説していきます。
盗撮に関する罪についての刑罰
盗撮
公共の場所、乗り物等で盗撮した場合
6ヵ月以下の懲役又は50万円以下の罰金
(迷惑防止条例8条1項、5条1項2号(東京都の場合))
公共の施設内で盗撮した場合
3年以下の懲役または10万円以下の罰金
(建造物侵入罪:刑法130条)
映画を盗撮の場合
10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金
(知的財産権侵害)
盗撮で逮捕されるケースと該当する罪とは
東京都の条例においては「通常衣服で隠されている下着又は身体」を撮影することが犯罪となる盗撮と規定されています。
ですので、犯罪となる盗撮は、相手に無断で撮影した場合を全て含むわけではありません。
もっとも、相手の顔等の容貌を無断で撮影することは、犯罪にはならないにしても、相手とトラブルの元となるので、慎むべきであることは言うまでもありません(肖像権の侵害という問題発生しえます)。
撮影罪
前述のように、2023年の法改正により、撮影罪が制定されました。
電車内、駅構内、商業施設内、路上、会社の更衣室内等、場所を問わす、スカートの中や下着姿を盗撮する行為は、この撮影罪によって処罰されることになるでしょう。
ただし、撮影罪の施行は2023年7月13日からですので、それ以前の盗撮行為については、各都道府県が定める条例によって規律されます。
迷惑防止条例違反
撮影罪が制定される前、盗撮行為は、各都道府県が定めている条例の規制が及べば、条例違反として扱われていました。例えば、電車内、駅構内といった公共の場所での盗撮は、条例違反となりえます。
電車内や駅構内といった公共の場所ではない、会社内での盗撮は、かつては、条例の規制が及びませんでしたが、近年の改正により(例えば、東京都の条例では2018年の改正)、会社内での盗撮も条例の規制が及ぶようになりました。
その他の罪
盗撮目的で商業施設や役所の女子トイレに侵入した場合、例え、盗撮が成功していなくとも、女子トイレに侵入する行為自体が建造物侵入罪となるでしょう。
また、盗撮の対象が18歳未満の児童であった場合、児童が性交している姿であった場合等、盗撮内容によっては、児童ポルノ製造等の罪が成立する可能性があります。
盗撮で有罪となった場合の刑罰
撮影罪の刑罰は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金となっています。なお、従来、刑務所に行く刑罰は、懲役刑と禁固刑でしたが、拘禁刑に1本化される予定です。
東京都の条例での盗撮の刑罰は、(常習でない場合)1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金であり、撮影罪の方が刑が重くなっています。
また、建造物侵入罪の刑罰は、3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金であり、児童ポルノ製造罪の刑罰は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。