起訴とは?流れや前科がつく可能性、不起訴を目指すための方法

起訴とは?流れや前科がつく可能性、不起訴を目指すための方法

監修
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

「起訴」は、刑事事件に関わるニュースや新聞などで目にすることの多い言葉です。では、いったん起訴されてしまえば、必ず有罪となって前科がついてしまうのでしょうか。

検察官によって起訴された場合、どのような流れで刑事手続きが進んでいくのかまでは知らない方が多いでしょう。

本記事では、起訴に着目し、起訴までの流れや期間をはじめ、不起訴を獲得するための方法などについて、詳しく解説していきます。

起訴とは

起訴とは、検察官が被疑者に犯罪事実があると判断し、裁判所に審理を求める手続きです。起訴には、主に次の3種類があり、犯罪の軽重や被害程度によってどのようなかたちで起訴するのかが決まります。

  • 正式起訴
  • 略式起訴
  • 在宅起訴

テレビドラマなどで見られる刑事裁判のシーンは、正式起訴によるものです。3つは、同じ起訴であっても、手続きの方法や流れが大きく異なります。

では、それぞれの違いを以下で詳しく解説していきます。

起訴と不起訴の違いや生活への影響について知りたい方は、以下のページをご覧ください。

起訴と不起訴、それぞれの違いや生活への影響について

正式起訴

正式起訴は、公判請求とも呼ばれる通常の起訴方法です。正式起訴されると、公開の法廷で刑事裁判が開かれ、裁判官の審理を受けることになります。

身柄を拘束されている場合は、起訴後勾留となり、刑事裁判が終了するまで拘置所に収容されます(拘置所の状況次第では、留置場になる場合もあります)。

起訴後の勾留は、原則最大2ヶ月ですが、必要に応じて1ヶ月ごとに更新できるため、刑事裁判で判決が確定するまで引き延ばされるのが一般的です。

ただし、このとき保釈が認められれば、一時的に身柄拘束が解かれます。

略式起訴

略式起訴とは、法廷で裁判を開かずに、書類だけで審理を行い、罰金などの刑罰を科すよう求める手続きです。

この方法では、被疑者の話を直接聞くことなく処分が決まるため、略式起訴をするにはいくつかの条件があります。

たとえば、被疑者がこの手続きに同意していること、事件が100万円以下の罰金や科料にあたる軽い内容であることなどが必要です。

在宅起訴

在宅起訴は、被疑者の身柄拘束(逮捕・勾留)が伴わない起訴方法です。

在宅のまま事件の手続きが進むため、自宅で普段どおりの生活を送りながら、有罪・無罪の判決が下されるのを待ちます。

在宅起訴となるのは、軽微な犯罪や逃亡・証拠隠滅のおそれがない事件に限られます。検察官や裁判官が手続きを進めるうえで、「身柄を拘束する必要がない」と判断した場合には、在宅起訴となるでしょう。

しかし、少しでも身柄を拘束する必要があると判断されれば、在宅起訴はなされません。

在宅起訴となる条件や流れについて詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

在宅起訴とは?在宅起訴になる条件や在宅起訴の流れについて

起訴・不起訴は誰が決めるのか?

被疑者を起訴するかどうかを決めるのは、検察官です。逮捕や証拠の収集は警察が行いますが、集められた証拠をもとに、裁判にかけるかどうかを判断するのは検察官の役割です。

起訴するか不起訴にするかの決定権は、法律上、検察官だけに認められています。

検察官が不起訴と判断した場合、その時点で刑事手続きは終了します。逮捕されて身柄を拘束されていた場合でも、不起訴が決まればすぐに釈放されます。

検察官は、証拠の内容や事件の重大さ、被疑者の反省の様子や示談の有無など、さまざまな事情を考慮して、最終的な判断を下します。

不起訴と無罪の違い

不起訴と無罪は、刑事裁判の有無身の潔白の有無に違いがあります。

不起訴は、検察官が被疑者を刑事裁判にかける必要がないと判断する処分ですが、その理由には無罪相当の「嫌疑なし」のほか、「嫌疑不十分」、有罪相当の「起訴猶予」があり、身の潔白が証明されるものではありません。

一方、無罪は刑事裁判を経て裁判官が被告人は罪を犯していないと判断する処分で、身の潔白が証明されます。

どちらも処罰を受けない点は同じですが、処分の意味合いが大きく異なります。

なお、どちらも前科はつきませんが、捜査機関の捜査対象となった経歴である前歴はつきます。

起訴猶予による不起訴処分とは

起訴猶予による不起訴処分とは、検察官が「犯罪の嫌疑や証拠はあるものの、被疑者を起訴する必要はない」と判断し、起訴しない処分のことをいいます。

被疑者が罪を犯したことが証拠などで明らかであっても、以下の事情が考慮され、起訴猶予となる場合があります。

  • 犯罪の軽重
  • 被疑者の事情(年齢、性格、境遇など)
  • 示談成立の有無
  • 反省の態度 など

日本の司法は、処罰だけでなく更生も重視するため、軽微な事件や被疑者に反省が見られる場合などに、社会復帰を促す目的で起訴猶予が選択されることがあります。

実務上、不起訴とする理由のなかで起訴猶予がもっとも多いです。

起訴までの流れと期間

以下では、身柄事件、在宅事件の起訴に特有なことや、起訴までの期間の目安等について解説します。

身柄事件の場合

身柄拘束が伴う身柄事件の場合、起訴までの流れは以下のとおりとなります。

  • ①逮捕
    逮捕後は、警察による取り調べを受けて、逮捕されてから48時間以内に身柄と事件の資料が検察に引き継がれます(これを、「送致」といいます)。
  • ②検察へ送致
    送致後は、検察による取り調べを受けて、送致されてから24時間以内に勾留請求を行うかどうかの判断が下されます。
    被疑者の身柄を引き続き拘束した方が良いと判断した場合に、検察官によって勾留請求が裁判所に対して行われます。
  • ③勾留
    裁判官が検察官からの勾留請求を認めると、まず10日間の勾留が実施されます。
    勾留は必要に応じてさらに10日間の延長が可能なため、最大で20日間の勾留が実施されます。
  • ④起訴・不起訴の判断
    検察官は、勾留が終了するまでに被疑者を起訴とするか、不起訴とするかを判断します。

逮捕から判決までの流れを詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

逮捕から判決までの流れを詳しく見る

在宅事件の場合

身柄拘束を伴わない在宅事件の場合は、警察が事件記録と証拠を検察に送致した後に、検察官が起訴・不起訴を決定します。

身柄事件とは異なり、起訴まで時間制限がないため、起訴されたかどうかわかるまでに数ヶ月~1年以上かかることもあるでしょう。

在宅事件の送致は、「書類送検」と呼ばれるもので、被疑者の身柄は引き継がれずに、捜査内容を記した書類や証拠のみが検察に送られます。

そのため、被疑者は、日常生活を送りながら刑事処分の結果を待つことになります。

在宅事件について、さらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

在宅事件は長期化する可能性も。呼び出しや示談など在宅捜査中の注意事項

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起訴された後の流れ

正式起訴の場合

正式起訴された場合は、以下のような流れで手続きが進んでいきます。

  • ①裁判所から起訴状が郵送
    検察官から裁判所に起訴状が提出され、被疑者や弁護人に起訴状の謄本が郵送されます。
  • ②公判日程の通知
    裁判所から指定された公判日程が通知されます。
    なお、第1回公判期日は、起訴されてから1、2ヶ月後である場合が多いです。
  • ③裁判所に出廷し裁判を受ける
    公開の法廷で冒頭手続き、証拠調べ、証人尋問、論告・弁護人の主張が行われます。
  • ④判決、刑の執行
    弁論の終結後、裁判官から判決が言い渡され、刑が執行されます。

被告人が罪を認めている場合は、第1回公判期日で審理が終わり、次回の期日に裁判官から判決を言い渡されることが多いです。

略式起訴の場合

略式起訴された場合は、以下のような流れで手続きが進んでいきます。

  • ①検察官による同意の確認と略式命令の請求
    検察官から略式起訴の手続きと罰金・科料についての説明を受け、同意を求められます。
    同意後は、裁判所に対して同意書が送られ、略式命令の請求が行われます。
  • ②裁判所から略式命令
    提出書類を確認し、問題なければ、裁判所から略式命令が発令されます。
    略式命令には、罪となるべき事実や罰金・科料、納付期限などが記載されています。
  • ③検察庁から罰金・科料の納付通知
    検察庁から罰金・科料の納付通知が送られます。
  • ④罰金・科料の納付
    略式命令を受けてから14日以内であれば、正式裁判が申し立てられますが、期限を超えれば命令内容が確定します。
    なお、罰金・科料が納付できない場合は、労役場留置となる可能性があります。

起訴されたらどうなる?

起訴されると、裁判を受けなければならなくなります。

また、起訴されると、被疑者から被告人に呼称が変わる、身柄事件の場合は、保釈請求が可能になる等の変化があります。

立場が変わる

起訴される前は、被疑者と呼称されますが、起訴されると、被告人と呼び名が変わります。

被疑者の場合、捜査のための取調べが実施されますが、被告人となると、原則として、取調べは行われません。

また、身柄事件の場合、起訴されて被告人になると、保釈請求が可能となります。

身柄の拘束が続く

身柄事件の場合、起訴されると、勾留が継続します。起訴後の勾留の期間は2ヶ月間で、その後、1ヶ月ごとに更新されます。

起訴後、裁判が終わり、執行猶予判決となれば、釈放されますが、起訴から裁判が終わるまで、罪を認めている自白事件でも1~2ヶ月程度はかかります。

裁判が長引くと、1ヶ月ごとの更新が延々と繰り返され、起訴後の勾留がずっと続くということになるでしょう。

在宅事件の場合、起訴されても在宅事件のままで、勾留されないのが通常です。

生活への影響が大きくなる

身柄事件において、裁判が終わり、執行猶予判決となれば釈放されます。

もっとも、起訴から裁判が終わるまで、罪を認めている自白事件でも1~2ヶ月程度はかかります。

勾留されていると、仕事や学校等に行けないことはもちろん、家族との面会も平日のみで、時間も1日20分程度しか許されません。

起訴後も勾留が続けば、肉体的・精神的苦痛が増大するだけでなく、社会生活上、大きな不利益となるでしょう。

身柄事件で起訴された場合は、一日も早い釈放のため、保釈請求をすることが重要となります。

前科がつく可能性が高くなる

起訴されると、有罪判決を受け、前科がつく可能性が高まります。起訴後に前科がつく可能性が高いのは、その理由が日本の有罪率の高さにあるためです。

日本における有罪率は、99.9%といわれており、起訴された場合には100%に近い確率で有罪判決を受けることになります。

そのため、起訴後に無罪を獲得し、前科を回避できる可能性はごく僅かです。

前科は、書面審理で判決が下される略式起訴の場合であっても、有罪となればつきます。

前科がつけば、資格の取得や職業などが制限されるため、社会的影響を大きく受けるでしょう。

前科が及ぼす影響、前科を回避するための方法についてさらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

前科が及ぼす影響-生活や仕事にどう影響するのか 罰金でも前科がつく!前科をつけたくない場合はどうしたらいい?

起訴された場合の有罪率

起訴された場合の有罪率は、99%を超えています。高い有罪率の理由は、いくつか考えられます。

まず、多くの事件で、被告人が罪を認めている事件(自白事件)が多く、そのような事件は、当然、有罪となるでしょう。

また、否認事件の場合、検察官が起訴するか否かにあたり、証拠上、立証が困難な事件は不起訴とし、起訴する事件を厳選しているという面も影響しているでしょう。

起訴を回避する・不起訴を獲得するための方法

罪を認めている事件を前提とすると、起訴された場合、拘禁刑、罰金刑なり、前科がついてしまいます。
そのため、起訴されないように、不起訴処分を獲得することが重要です。

被害者と示談を成立させる

不起訴を獲得するには、被害者との示談を成立させることが大切です。

示談成立は、傷害罪や窃盗罪などの被害者が存在する刑事事件においては、不起訴獲得のために極めて重要です。

事件の当事者である被害者との和解を示す示談の成立は、被疑者・被告人にとって有利な事情として働きます。その結果、不起訴と判断される可能性が高まり、起訴回避につながります。

しかし、被害者との示談成立は難航する場合が多く、適切に対応できる弁護士の力が必要です。

弁護士であれば、被害者の心情に配慮しながら、示談交渉を円滑に進められます。

謝罪や反省の態度を示す

薬物犯罪や公然わいせつ罪などの被害者が存在しない刑事事件では、謝罪や反省の態度を示すことが不起訴処分獲得の可能性を高めます。もちろん、被害者が存在する刑事事件も同様です。

反省の態度を示すと、検察官から「更生に期待できる」と判断されやすくなります。

したがって、反省文の提出や贖罪寄付などの行動を起こし、深く反省している態度を示すことが大切です。

なお、誓約書や行動計画の作成といった取り組みも、再犯防止や誠意を示すのに効果的です。

起訴後の保釈請求を目指す

不起訴を獲得できずに起訴された場合は、起訴後に保釈請求を目指す必要があります。保釈請求とは、勾留状態から釈放されるために保釈保証金を納付して一時的な釈放を認めてもらう手続きです。

身柄を拘束されている状態で起訴されれば、起訴後勾留となり、裁判が終わるまで拘束が続きます。

そうなれば、解雇や退学の可能性が高まり、さまざまな面に悪影響が及びます。

保釈請求は、起訴後のみ行える手続きであり、裁判所に対して保釈請求書や身元引受書などを提出することで進められます。なお、保釈請求の手続きは、弁護士に一任することが可能です。

弁護士の関与により、請求の手続きや保釈条件を認めてもらうための調整などを、適切に行ってもらえます。

そのため、円滑に進めたい場合には、弁護士に相談するとよいでしょう。

早めに弁護士へ相談する

起訴を回避して不起訴を獲得するには、捜査機関からの取り調べを受ける段階で弁護士に相談することが重要となります。

逮捕により身柄を拘束されれば、起訴・不起訴の判断が下されるまで最大で23日間しかありません。

その間に、不起訴の獲得に向けて、被害者との示談交渉を進めたり、取り調べ対策を行う必要がありますが、弁護士への相談が遅れると、それだけ弁護士が活動できる時間が限られてしまいます。

そのため、充実した法的サポートを受けるためには、早期段階から弁護士へ相談するようにしましょう。

起訴に関するよくある質問

被害者と示談出来た場合、起訴を取り消してもらうことはできますか?

起訴された後に、被害者と示談が成立した場合、示談成立を理由に起訴が取り消されることはありません。

起訴後に示談が成立しても、何かしらの刑事罰を受け、前科が付くことは避けられないでしょう。

起訴されないようにする、前科を付けないようにするには、検察官が起訴する前に、示談を成立させ、不起訴処分を獲得することが必須です。

なお、起訴後の示談については、裁判において、被告人に有利な証拠となります。

具体的には、検察官が示談の成立を前提に求刑したり、裁判官が示談を減軽要素として考慮したりするのが一般的です。

被害者との示談成立の有無が、実刑か執行猶予かの分かれ目となる事件も多くありますので、起訴後の示談に意味がないというわけではありません。

起訴と告訴は何が違いますか?

起訴と告訴は、刑事事件の手続きにおける役割に違いがあります。

起訴は、検察官が犯罪の嫌疑がある被疑者を刑事裁判で処罰するように求める訴えですが、告訴は被害者が犯罪事実を捜査機関に申告し、犯人の処罰を求める意思表示です。

起訴は「訴え」であるのに対し、告訴は「意思表示」ですので、捜査機関が犯罪事実を知るための一手段に過ぎません。

起訴されるかもしれない場合、一刻も早く弁護士へご連絡ください

起訴されると、有罪判決を受けて前科がつく可能性が高くなります。前科がつけば、社会的な影響が生じやすくなり、さまざまな場面で不利益を受けます。

このような事態を回避するには、不起訴獲得に向けた活動を開始する必要がありますが、身柄の拘束を伴う身柄事件では、活動が制限されてしまいます。

そのため、弁護士の力を借りて、早期段階から弁護士による弁護活動を開始することが重要です。

起訴されたとしても、弁護士であれば、保釈請求や執行猶予付き判決獲得に向けた弁護活動を適切に進められます。

より充実した法的サポートを受けるためにも、起訴される可能性がある方は、なるべく早めに弁護士にご相談ください。

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監修 : 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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