夫(旦那)が逮捕されたら?今後の対応や流れ、弁護士依頼のメリットなど


警察から突然、「ご主人を逮捕しました」という連絡を受けた際に、冷静に動ける方はかなり少ないでしょう。
思いがけない連絡に対して、状況を理解できずに気が動転してしまうことも少なくありません。
しかし、刑事事件では、逮捕後に行う初動の対応次第で身柄拘束される期間に大きな影響を与える場合があります。
そのため、逮捕された夫の身柄の早期釈放や減刑を目指すためには、できるだけ早めに弁護士へ相談することが大切です。
そこで本記事では、夫が逮捕された場合にどのように対応すればよいのかという点に重点を置き、逮捕後の流れや弁護士に相談するべき理由などについて、詳しく解説していきます。
目次
夫が逮捕されたらどうすればいい?
夫が逮捕された場合には、まず以下のことに順次対応していきましょう。
- なるべく早く弁護士に依頼する
- 夫の職場へ欠勤連絡をする
- 被害者と示談する
これらの対応を直ちに行うことで、早期釈放や減刑となる可能性を高めることができます。
では、それぞれの対応について、詳しく解説していきます。
なるべく早く弁護士に依頼する
夫が逮捕された直後は、証拠隠滅を防ぐために配偶者である妻であっても、連絡や面会は認められていません。
具体的には、逮捕されてから最大72時間(3日間)は、夫と連絡・面会できないことになります。
しかし、弁護士であれば、逮捕直後の72時間であっても、夫と面会(接見)することが可能です。
また、接見できる時間や回数に制限はないため、弁護士に依頼することで、「夫がどうして逮捕されたのか」について詳しく知ることができます。
こうした事実確認をすぐに行うことで、今後の方針を早めに立てることができます。
弁護士に接見を依頼する方法には、次の2つが挙げられます。
なお、①の当番弁護士は、1度だけ無料で弁護士に接見を依頼することができます。
- 弁護士会に依頼して、当番弁護士を派遣する方法
- 自ら弁護士を探して依頼する方法
夫の職場へ欠勤連絡をする
夫の職場で事件が起きたわけではない場合は、警察から夫の職場へ逮捕した旨の連絡がいくことはありません。
そのため、夫は逮捕された日からずっと無断で欠勤している状態になってしまいます。
職場は当然、どうしたのだろうと不信に思ってしまうため、必ず夫の職場へ欠勤の連絡を入れておきましょう。
その際に、夫が逮捕された事実を伝える必要はないため、「体調不良」や「家庭の事情」などと伝えるとよいでしょう。
ただし、勾留が決定した場合には、最大で20日間身柄を拘束されることになります。
そのため、勾留決定後はさらにごまかしが利かなくなってくるため、注意が必要です。
被害者と示談する
夫が、被害者が存在する罪を犯した場合には、被害者と示談することがもっとも重要となります。
被害者と示談することで、早期の身柄釈放や不起訴処分の獲得を得やすくなり、その結果、起訴されて前科がつく可能性を低くすることに期待できます。
しかし、性犯罪や暴行罪など、犯罪の内容次第では、被害者が加害者である被疑者に抱く処罰感情が非常に強く、連絡先を教えてもらえない場合や接触自体を拒否される場合も決して少なくありません。
そのため、弁護士を通じて被害者の心情を考慮した極めて丁寧な示談交渉を進める必要があります。
夫はいつ帰ってくるのか?逮捕後の流れ
夫が逮捕された後の手続きは、基本的に図のように進んでいきます。
なお、これらの手続きの中で、夫が釈放されるチャンスが複数回訪れます。その際に弁護士が就いていれば、各手続きの段階でご主人が釈放されるための有効な弁護活動を行うことができます。
そのためには、夫の逮捕を知った後なるべく早めに弁護士に相談することが重要です。
では、「夫が逮捕された後、どのように手続きが進んでいくのか」逮捕後に行われる各手続きについて、さらに詳しく解説していきます。

①逮捕から48時間以内に送致
逮捕された後、夫はまず警察署で取り調べを受けることになります。
取り調べでは、夫の生い立ちから家族関係、趣味や嗜好、犯行動機など様々なことについて聞かれます。
比較的軽い犯罪である場合には、警察から注意を受けて釈放されるケースもありますが、そうでない場合には、逮捕から48時間以内に事件と夫の身柄が検察に引き継がれる(送致)ことになります。
自宅ではない場所で夫が逮捕され、家族への連絡を夫が希望する場合には、この段階で警察から家族に逮捕の連絡が入ることになります。
ただし、連絡するかどうかは警察の裁量に委ねられています。
②送致から24時間以内に勾留
警察から送致を受けた検察官は、送致後24時間以内に夫を勾留するかどうかの判断を下します。
そのため、警察から引き継いだ事件関係書類とあわせて、再度夫の取り調べを行います。
取り調べにて、検察官が夫の身柄を引き続き拘束するべきだと判断した場合には、裁判所に対して勾留請求が行われます。
捜査機関の取り調べを受けている間は、弁護士に限り夫と面会することができます。
さらに逮捕直後から弁護士に依頼することにより、早期段階で夫本人から弁護士を通じて事件についての事実関係を把握することができます。
その結果、捜査機関に対して身柄拘束の必要性がないことなどを訴えることができるため、早期釈放の可能性を高めることに期待できます。
③勾留(最大20日間)
検察官からの勾留請求を裁判所が認めた場合には、はじめに10日間の勾留が実施されます。
また、捜査状況次第では、そこからさらに10日間勾留を延長することができるため、最大で20日間の勾留を実施することが可能です。
この勾留期間の間に、検察官は被疑者である夫を刑事裁判にかけるかどうか=“起訴するかどうか”の判断を下します。
日本の刑事事件における有罪率は99.9%と非常に高く、起訴が確定してしまえば、有罪判決となる可能性がきわめて高くなります。
そのため、弁護士は検察官に対して、「勾留請求はすべてきでない」と主張し続け、早期釈放の実現に向けた弁護活動を行うことが大切です。
④起訴
検察官が起訴すると判断した場合は、保釈保証金(保釈金)を支払い保釈されない限り、刑事裁判が終わるまで勾留が続くことになります。
なお、起訴とは、被疑者を刑事裁判にかけることをいいます。
起訴後の有罪率について高い数値を誇る日本では、「起訴されれば有罪判決は避けられない」といっても過言ではありません。
そのため、弁護士は不起訴処分の判断が下されるように尽力します。また、起訴されてしまった場合でも、保釈保証金を支払うことで身柄拘束を解くことができます。
保釈保証金は、裁判所に納めると刑事裁判の終了後に全額戻ってきますが、裁判所から提示された条件を守る必要があります。
逮捕後72時間以内の弁護活動が運命を左右します
刑事弁護に強い弁護士が迅速に対応いたします。
逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。
夫の逮捕後なるべく早く弁護士に相談すべき理由
夫が逮捕された後に、なるべく早く弁護士に相談すべき理由には、主に以下のようなことが挙げられます。
- 捜査機関から受ける取り調べに対してアドバイスを得られること
- 夫との懸け橋になってもらえること
- 早期釈放や不起訴処分の獲得に期待できること
- 被害者との示談交渉を進めてもらえること
- 捜査機関と交渉してもらえること など
このような対応は、弁護士だからこそできると言っても過言ではありません。
被疑者である夫が逮捕・勾留による身柄拘束を受けている場合は、尚更単独で行動することができないため、弁護士の力が必要不可欠となります。
今後どのように対応すればよいのかを導いてもらえる点は、弁護士へ相談したからこそ得られる最大のメリットです。
そのメリットをより充実なものとするために、弁護士への相談はなるべく早めに行うことが大切です。
弁護士費用の相場
夫の弁護を弁護士に依頼する際にかかる弁護士費用の相場は、弁護士事務所によって異なります。
そのため、具体的な相場をお伝えすることは難しいですが、基本的にかかる弁護士費用の内訳は以下のとおりです。
<刑事事件にかかる弁護士費用の内訳>
相談料 | 初回の法律相談時に支払う費用 |
---|---|
着手金 | 正式に依頼する際に弁護士へ支払う費用(成功・不成功にかかわらず支払う必要があります) |
成功報酬 | 弁護活動の成果に応じて弁護士へ支払う費用 |
その他(接見費用、出張費用など) | 接見や出張の際に生じた費用 |
弁護士費用は、決して低額ではありません。
費用でトラブルを起こさないようにするためにも、必ず依頼する前の相談時に、「今後必要となる弁護士費用の詳細」について確認しておくようにしましょう。
夫が逮捕された場合によくある質問
夫が逮捕されました。仕事はクビになりますか?
ご主人が逮捕された罪の内容によっては、解雇される可能性も考えられます。
殺人や強盗などの重大な犯罪である場合には、解雇される可能性が高いといえますが、勤務先次第となるでしょう。
勤務先からの解雇を防ぐためには、早期釈放を求めることが大切です。また、万が一解雇された時のために再就職への影響を最小限にするべく、前科を付けないようにすることなどが重要となります。
これらを実現するためには、刑事事件を得意とする弁護士への相談がもっとも効果的です。
逮捕された夫に差し入れや直接面会することはできますか?
逮捕された夫に差し入れや直接面会することはできます。
ただし、逮捕直後(逮捕から最長72時間まで)は、家族であっても弁護士以外の面会=接見はできません。
その理由には、面会による証拠隠滅を防ぐためということが挙げられます。また、接見禁止命令が出ている場合には、逮捕から72時間経過した後でも面会することができませんので、注意が必要です。
差し入れは、留置場によってルールが異なりますので、事前に留置場に問い合わせたうえで行うとよいでしょう。
窓口にて「差し入れ申込書」に記入し、案内に従い申し込みをします。その際に身分証明書と印鑑が必要となることもあるため、予め用意しておくことをおすすめします。
夫が逮捕されると会社にバレますか?
事件が会社に関係していない場合には、警察から会社に逮捕した旨の連絡が入ることは基本的にありません。
そのため、逮捕されたことが会社にバレる可能性は低いでしょう。
しかし、逮捕・勾留による身柄拘束が長期にわたると、会社を長期間休むことになるため、そこから怪しまれてしまい逮捕されたことが会社にバレる可能性があります。
最初は、「家庭の事情」や「体調不良」を理由に会社を休めていても、段々と言い訳できなくなってきます。
夫の逮捕後、収入・生活費を確保する方法はありますか?
夫の逮捕によって一時的に収入が途絶えてしまい、家計が苦しくなるご家庭は決して少なくありません。
犯罪内容次第では、解雇や懲戒となる可能性もあります。貯蓄がない場合や親族からの援助を受けられない場合などには、国の支援制度を利用することができます。
<利用できる国の支援制度>
- 生活保護(申請先:住居地を管轄する福祉事務所)
- 失業保険(申請先:住居地を管轄するハローワーク)
なお、支援制度の利用を円滑に進めるためには、まず申請先の窓口に問い合わせを行い、利用可能かどうか確認してから手続きを行うとよいでしょう。
逮捕された夫と離婚することはできますか?
夫が離婚に対して同意している場合は、協議離婚することが可能です。
しかし、離婚に同意していない場合には、裁判を起こして離婚を認めてもらう必要があります。
刑事事件による裁判離婚で離婚が認められるためには、“夫の逮捕が「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するか否か”ということが重要となります。
たとえば、夫が殺人罪や不同意性交等罪などの重大な犯罪で逮捕された場合や、夫のDVが傷害罪に該当するとして逮捕された場合などは、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当すると判断されやすく、離婚できる可能性が高いです。
夫の逮捕を理由に生活保護を受けることはできますか?
夫の逮捕を理由に、生活保護を受けることはできます。
ただし、必ず受けられるというわけではないため、まずはお住まいの住居を所轄する福祉事務所にご相談されることをおすすめします。
なお、生活保護を受けるためには、以下のような条件があります。
これらの条件をクリアし、生活保護を受給するべきと判断された場合に限り、生活保護を受けることができます。
<夫の逮捕を理由に生活保護を受けるための条件>
- 身内に援助してくれる人がいないこと
- 預貯金や資産がないこと
- 理由があり働けないこと など
夫が逮捕された際はすぐに刑事事件に強い弁護士法人ALGにご相談ください
警察から「ご主人を逮捕しました」という連絡を受けて、冷静でいられる方はまずいらっしゃいません。
多くのご家族が、パニック状態となり、茫然自失してしまいます。刑事事件の手続きは、驚くほど早く進んでいくため、残されている時間も僅かしかありません。
そのため、ご主人の早期釈放や不起訴処分の獲得を目指すためには、早期段階で刑事事件に精通した弁護士への相談が必要不可欠となります。
弁護士法人ALGには、刑事事件を得意とする弁護士だけでなく、離婚問題に強い弁護士も多数在籍しております。
ご主人の刑事弁護だけでなく、ご主人の逮捕を理由に離婚を検討されている方も、まずはお気軽に弁護士法人ALGにご相談ください。