接見禁止はいつまで?解除方法や弁護士に依頼するメリットなどを解説


接見禁止とは、刑事事件で勾留中の被疑者・被告人に対して、弁護士以外の人との面会(接見)を禁止する処分です。
通常、逮捕されてから72時間は、弁護士以外と接見できません。つまり、72時間経過した後は、家族や友人との接見が認められていることを意味します。
しかし、接見禁止処分中は、処分が解除されない限り、弁護士以外の人と接見できません。
そこで本記事では、接見禁止について着目し、接見禁止となる期間や接見禁止を解除する方法などについて、詳しく解説していきます。
目次
接見禁止はいつまで続く?
接見禁止となる期間は、事件によってさまざまですが、一般的には以下のとおりです。
起訴前 | 起訴されるまでの間(勾留期間中10~20日間) |
---|---|
起訴後 | 第一回公判期日が終了するまでの間 |
事件次第では、刑事裁判が終了するまでの間解除されず、弁護士以外の人と数ヶ月接見できない場合もあります。
接見禁止の決定・期間については裁判官が決めますが、それが被疑者・被告人の家族に知らされることはありません。
そのため、担当の弁護士または捜査機関(警察・検察)に連絡して確認する必要があります。
なお、接見禁止の期間に制限はないため、裁判官が解除するまで続きます。
逮捕後72時間は弁護士しか接見できない
通常、逮捕されてから72時間は、弁護士だけが被疑者と接見できます。
これは、弁護士以外の人との接見を禁止し、被疑者が証拠隠滅や証人を脅したりすることを外部の人に依頼させないようにするためです。
逮捕後は、まず警察の取り調べが行われ48時間以内に事件と被疑者の身柄が検察に引き継がれます。その後、検察による取り調べが行われ24時間以内に勾留請求についての判断が下されます。
検察が「被疑者の身柄拘束を継続するべき」と判断した場合には、裁判所に対して勾留請求が行われます。
この勾留請求の判断が下されるまでの72時間は、証拠隠滅や逃亡のおそれを阻止するために、弁護士以外の人との接見が禁止されています。
最大で23日間接見できない場合もある
捜査機関の捜査状況次第では、勾留請求がなされた後に、勾留期間中の接見禁止を命じられる場合があります。
この場合、勾留請求の判断が下されるまでの期間(=72時間)と勾留期間(=最大20日間)は接見できないため、家族や友人と最大で23日間会えなくなります。
逮捕後は留置場に収容され、連日に渡り捜査機関の取り調べを受けます。取り調べは数時間に及ぶこともあり、心身ともに疲弊していくでしょう。
そのような中で、家族や友人と接見できれば、心身の負担軽減に大きくつながりますが、接見禁止を命じられれば、解除されるまで家族や友人と会えません。
そもそも接見禁止とは?
接見禁止とは、「勾留中の被疑者や被告人が、弁護士以外の人と接見(面会)できなくなる処分」のことをいいます。
被疑者・被告人との面会の他、手紙のやり取りなど、一切の接触を禁止されます。
接見禁止にするかどうかの判断は、裁判官または裁判所が下します。第一回公判期日の前に接見禁止とする場合は、「裁判官」が判断し、公判期日後は「裁判所」が判断を下します。
なお、「被疑者・被告人を接見禁止にすべき」と検察官が請求すれば、裁判官や裁判所が接見禁止を命ずるケースがほとんどです。
次項では、接見禁止となる理由について、詳しく解説していきます。
なぜ接見禁止になるのか?
接見禁止となるのは、被疑者や被告人が弁護士以外の人と接見すると、捜査に支障をきたすと判断されたからです。
具体的には、次のような場合に接見禁止が命じられます。
- 逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合
- 被疑者が容疑を否認している場合
- 組織的な犯罪が疑われる場合
勾留による身柄拘束だけでは、逃亡や証拠隠滅を阻止できないと考えられる場合に限り、接見禁止が認められます。たとえば、住所不定者や重大な罪を犯した者などが該当します。
被疑者が容疑を否認している場合は、証拠隠滅や共犯者との口裏合わせを防ぐために、接見禁止となる可能性が高いです。さらに、勾留期間や判決までの期間が長期間となり、接見禁止期間も長くなりやすいです。
組織犯罪が疑われる場合にも、証拠隠滅や共犯者との口裏合わせを防ぐために、接見禁止となりやすいです。
接見禁止になりやすい犯罪
組織犯罪が疑われる事件の場合は、接見禁止となる可能性が高いです。
たとえば、詐欺事件、覚醒剤や大麻といった薬物事件、暴力団抗争事件などが挙げられます。
これらの事件では、単独犯よりも複数人、つまり共犯による犯罪の実行の可能性が高いと考えられるため、共犯者との口裏合わせを封じるべく、接見禁止となりやすいです。
逮捕後72時間以内の弁護活動が運命を左右します
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逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。
接見禁止を解除する方法は?
裁判官・裁判所が下した接見禁止に対し、以下の方法をもって解除を求めることができます。
- 準抗告・抗告
- 接見禁止処分の一部解除申立て
- 勾留理由開示請求
接見禁止の解除が認められると、家族や友人との接見が可能となります。接見が可能となれば、面会だけでなく、差し入れもできるようになります。
また、以下の時期は、接見禁止の解除が通りやすいとされています。
- 否認事件が自白事件となったとき
- 起訴されたとき
- 刑事裁判で証人尋問が終わったとき
- 刑事裁判で証拠調べが終わったとき
では各方法について、次項にて詳しく解説していきます。
準抗告・抗告
接見禁止を解除する方法に、準抗告・抗告の申立てが挙げられます。
準抗告・抗告とは、裁判官や裁判所の決定に対して不服を申し立て、正面から争う方法で、初公判前の申立てを準抗告、初公判後の申立てを抗告といいます。
準抗告・抗告が認められると、接見禁止が解除され、面会や手紙のやり取りができるようになります。
しかし、裁判官や裁判所が一度決定した判断を覆すのは容易ではないため、接見禁止の不要性を適切に主張・立証し、説得していく必要があります。
たとえば、必要な証拠の収集ができ、捜査が終了している場合には、「被疑者・被告人にはもう逃亡や証拠隠滅のおそれがない」と主張し、接見禁止の解除を求めます。
接見禁止処分の一部解除申立て
接見禁止処分の一部解除申立ても、接見禁止を解除する方法のひとつです。
この申立ては、準抗告や抗告のように法律で定められておらず、あくまで裁判官・裁判所に対するお願いに過ぎません。
そのため、裁判官・裁判所が、当該申立てをきちんと判断する義務はない点に注意が必要です。
なお、接見禁止処分の解除の申立ては、「全部」と「一部」の2種類があります。
一部解除申立ては、被疑者・被告人の家族や恋人など、一部の人との接見禁止を解除するというものです。一部解除であれば、全部解除よりも認めてもらえる可能性が高いでしょう。
勾留理由開示請求
勾留理由開示請求は、本来、接見禁止処分の解除を求める手続きではありません。
勾留理由開示請求とは、「勾留中の被疑者・被告人が、裁判官・裁判所に対して勾留の理由について開示を求める手続き」のことをいいます。
勾留理由の開示は、公開の法廷で行われ、被疑者・被告人も出席します。そのため、会話はできないものの、傍聴席から被疑者・被告人の姿を確認でき、顔を合わせられます。
なお、勾留理由開示請求は、被疑者・被告人の弁護人に限らず、以下の者であれば、請求可能です。
- 法定代理人
- 配偶者
- 直系の親族
- 兄弟姉妹
- 利害関係人 など
接見禁止中の差し入れについて
接見禁止中であっても、以下のものは差し入れできます。
差し入れ可能なもの | ・現金(拘置所内で買い物ができる程度) ・衣類(紐なしなど条件あり) ・書籍(書き込みのない市販の書籍) ・新聞(書き込みのない新聞)など |
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差し入れ不可能なもの | ・嗜好品 ・ゲーム ・シャンプー、歯磨き粉 ・手紙、写真 など |
上表のものであれば、基本的に差し入れできますが、収容されている留置場によっては、差し入れ不可となるものもありますので、事前に確認した方がよいでしょう。
接見禁止で弁護士に相談するメリット
接見禁止を命じられた際に弁護士に相談すると、次のようなメリットを得られます。
- 接見禁止期間でも弁護士なら接見できる
- 時間や回数制限なく面会できる
- 警察の立ち会いなく自由に話ができる
弁護士であれば、誰とも面会できない接見禁止期間中でも、制限されることなく自由に面会できます。次項では、それぞれのメリットについて、詳しく解説していきます。
接見禁止期間でも弁護士なら接見できる
接見禁止期間中に唯一接見できるのは、弁護士だけです。
弁護士であれば、通常接見が禁止される逮捕から勾留までの72時間の間も、自由に接見できます。
被害者の存在する刑事事件の場合は、被害者との示談成立が被疑者・被告人の有利な情状となるため、弁護士に相談することで被害者との示談交渉を円滑に進められます。
接見では、状況を確認し、捜査機関から受ける取り調べについてアドバイスを行い、接見解除に向けた弁護活動を進めます。
その他にも、被疑者・被告人にとって有利となる証拠の収集や検察官・裁判官への働きかけを行います。連絡の取れない家族や大切な人にも、弁護士を通して状況を伝えられるため安心です。
ただし、証拠隠滅につながるような伝言を弁護士が預かることはできません。
時間や回数制限なく面会ができる
弁護士であれば、時間や回数制限なく被疑者・被告人と面会できます。
一般の方の場合、接見禁止命令が出ていない通常の接見でも、面会制限を受けます。収容されている留置施設の運用によって異なりますが、面会日や時間、人数などの制限を受けるため、注意が必要です。
【例】
- 面会は平日のみ可能
- 受付時間は午前9時から11時までまたは午後1時から4時まで
- 面会できるのは1日1組(最大人数3人)まで
- 面会時間は15~20分程度 など
このような制限がある中、弁護士であれば、時間制限や回数制限に縛られることなく、自由に接見できます。土日や夜間の接見も可能なため、弁護士と今後の方針をいつでも話せます。
弁護士は、刑事訴訟法第39条1項において、被疑者・被告人と自由に面会できることが保障されています(これを、接見交通権といいます)。
警察の立ち会いなく自由に話ができる
通常、一般の方の面会時には警察官が立会い、会話の内容が記録されます。一方で、弁護士の場合は、警察の立ち会いがないため、会話の内容を記録されません。
弁護士は、刑事訴訟法第39条1項において、被疑者・被告人との接見の内容を捜査機関に知られずに面会できることが保障されています(これを、秘密交通権といいます)。
警察官の立ち会いが必要となる一般の方の接見では、接見中に不適切な発言とみなされた瞬間に、その場で接見が打ち切られます。
弁護士の場合は、打ち切られる心配はないため、事件について自由に話し、弁護士から適切なアドバイスやサポートを受けられます。
接見禁止期間や解除方法などは刑事事件に精通した弁護士にご相談ください!
接見禁止となれば、家族や大切な人と面会できず、精神的にも肉体的にも厳しい環境下に置かれます。
解除されるまで厳しい環境下に置かれるため、精神的負担は大きくなっていくでしょう。
しかし、弁護士であれば、接見禁止期間中にかかわらず、逮捕直後からの接見が可能です。
捜査機関からの取り調べについて、どのように対応すれば良いのかなど、適切なアドバイスが受けられるため、不安の軽減につながります。
また、面会できない家族や大切な人に状況を伝えてもらえ、弁護士が懸け橋となってくれます。
特に、刑事事件に精通した弁護士であれば、接見解除に向けた弁護活動を適切に行え、実現できる可能性を高めてくれるでしょう。
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