窃盗罪とは?構成要件や刑事処分について
窃盗罪は、簡単にいうと、「他人の物を勝手に盗む行為」です。いわゆる万引きや他人の自転車を勝手に盗むなどが典型例で、窃盗事件の認知件数は多く、身近な犯罪として知られています。
また、軽微な犯罪であることがほとんどで、不起訴と判断されるケースが多いですが、内容次第では罰金刑や実刑もあり得る犯罪です。
この記事では、窃盗罪に着目し、窃盗罪の成立要件や刑罰、時効、窃盗罪で逮捕された場合の対処法などについて、詳しく解説していきます。
目次
窃盗罪とは
窃盗罪とは、刑法第235条に規定されている「他人の財物を窃取した者」に適用される犯罪のことです。
出来心からの万引きや自転車盗、置き引きなどが典型例で、日常生活で起こりやすい犯罪とされています。
動機が軽い場合が多く、場所を選ばないため、発生件数が多いのが特徴です。
強盗・横領との違い
強盗と横領は、窃盗罪と似ていますが、奪い方や状況が異なります。
強盗罪(刑法第236条)は、他人の財物を奪うために暴行や脅迫といった強硬な手段を使用する行為で、法定刑は5年以上の有期拘禁刑と窃盗罪よりも重いです。
窃盗罪はこっそり盗む行為ですが、強盗罪は暴行や脅迫で奪う行為ですので、この点に大きな違いがあります。
窃盗罪に似ている横領行為には、拾った物をそのまま自分の物にしてしまう「遺失物横領罪(刑法第254条)」が挙げられます。
遺失物横領罪の法定刑は、1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金で窃盗罪より軽いです。窃盗罪と比べると、横領罪もまた強盗罪と同様に奪い方や状況が大きく異なります。
窃盗罪の成立要件
窃盗罪が成立するためには、「1.他人が占有する財物」を「2.不法領得の意思」を持って「3.窃取」するという3つの要件をすべて満たす必要があります。
他人の占有する財物
他人の占有する財物とは、簡単にいうと、他人が実際に持っていたり管理している物のことです。法律上の所有者でなくても、現実にその物を支配していれば「占有している」といえます。
窃盗罪が成立するためには、盗んだ物が他人の占有物であることが必要で、所有権があるかどうかは関係ありません。
例えば、駐輪場に置かれた自転車や、他人の家の家具などがこれにあたります。
不法領得の意思
不法領得の意思とは、簡単にいうと、「持ち主に返すつもりがなく、自分のものとして使うつもりがある」ということです。
つまり、盗んだ物を自由に使ったり処分したりする意思がある場合に、不法領得の意思が認められます。この考え方は、単なる一時的な使用(使用窃盗)との違いを判断するために重要です。
窃取
「窃取」とは、簡単にいうと、他人の物を勝手に自分の支配下に移すことをいいます。
窃取のポイントとなるのは、相手の許可なく、相手が管理している物を自分のもののように扱うために盗む点です。
窃盗というと、万引きやスリのように、見つからないようにこっそり盗むイメージがあるかもしれませんが、ひったくり等、公然と盗む場合も窃盗罪となりえます。
窃盗罪になる可能性のある行為
法務省が公表する犯罪白書では、窃盗の手口や態様によって、窃盗を「侵入窃盗」「非侵入窃盗」「乗り物盗」の3種類に大きく分類しています。
これらの分類は、あくまで犯罪白書などの統計上で使われる区分であるため、どの種類の場合でも成立するのは原則「窃盗罪(刑法第235条)」です。
侵入窃盗(空き巣・事務所荒しなど)
侵入窃盗とは、他人が管理する建物や住居に侵入して財物を盗む行為を指します。「空き巣」や「事務所荒らし」などが典型例で、鍵を壊したり、窓から侵入したりするのが特徴です。
他人が管理する建物に侵入する行為は「建造物侵入罪」が、他人の住居に侵入する行為は「住居侵入罪」が成立しますが、窃盗罪も成立する場合は、刑罰の重い窃盗罪で処分されます。
また、窃盗の際に住居人に対して、暴行・脅迫を行えば、強盗罪または事後強盗罪が成立する可能性があります。
- 強盗罪:盗むために暴行・脅迫を行った場合に成立
- 事後強盗罪:逃亡、逮捕回避、証拠隠滅などのために盗んだ後に暴行・脅迫を行った場合に成立
非侵入窃盗(万引き・ひったくり・置き引き・車上荒らしなど)
非侵入窃盗とは、侵入窃盗の反対で、他人が管理する建物や住居に侵入せずに財物を盗む行為を指します。
「万引き」や「ひったくり」、「置き引き」、「車上荒らし」などが典型例で、店舗や公共の場で発生しやすいのが特徴です。
非侵入窃盗は、防犯カメラ等から犯人を特定し、後日逮捕となるケースが多いです。
現行犯逮捕も少なくありませんが、万引き行為が見つかった際に暴力を振るえば、強盗罪が成立してさらに重い刑罰が科される可能性があります。
乗り物盗(自動車盗・オートバイ盗・自転車盗など)
乗り物盗とは、自動車やオートバイ、自転車などの乗り物を盗む行為を指し、駅前や駐輪場で発生しやすいのが特徴です。
近年では、盗んだ乗り物をそのまま売りさばく行為が急増しています。
乗り物の鍵を壊したり、車内の物を盗むために窓ガラスを割ったりして損壊した場合には、窃盗罪だけでなく、器物損壊罪も成立する可能性があります。
また、乗り物の価値が高ければ高いほど、科される刑罰は重くなる傾向にあるため、軽い気持ちで行うのは大変危険です。
窃盗罪の刑罰
窃盗罪の刑罰は、刑法第235条で10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金と定められています。
量刑を決める際は、主に以下の要素が考慮され、総合的に判断されます。
- 被害額(高額なら重い刑)
- 犯行態様(計画的・侵入ありは重い)
- 前科の有無(累犯は加重)
- 示談成立の有無(成立すれば軽減)
- 反省の態度 など
刑事事件では、初犯であることが減軽につながる場合がありますが、初犯であっても犯行態様が悪質だと執行猶予がつかずに実刑判決が下される可能性があります。
不起訴を獲得したい場合は、被害者との示談成立がもっとも有効的です。
前科をつけたくない方は、以下のページもあわせてご覧ください。
罰金でも前科がつく!前科をつけたくない場合はどうしたらいい?何度も繰り返す常習犯は刑が重くなる
何度も窃盗を繰り返していると、常習累犯窃盗罪となり、通常の窃盗罪よりも重く処罰されてしまう可能性があります。
常習累犯窃盗罪は、①常習として②今回の犯行から10年以内に窃盗罪で6月以上の拘禁刑を3回以上受けていた場合に成立します。
常習累犯窃盗は、3年以上20年以下の拘禁刑であり、窃盗罪が10年以下の拘禁刑となっているのに比べ、格段に重い法定刑となっています。
未遂でも刑罰が科される可能性がある
窃盗罪は、刑法第243条にて、未遂でも処罰することが明確に規定されています。
窃盗の未遂とは、盗もうと行動を開始したが盗めなかった状態を指し、以下のような場合に該当します。
- 商品をバッグに入れようとしたが、店員に見つかって盗めなかった
- ATMで他人のキャッシュカードを使って現金を引き出そうとしたが、カードが無効で失敗した
- 自販機の釣銭口に細工をしたが、通報されて逮捕された
未遂犯の場合は、「自分の意思で中止した」などの一定条件を満たせば、刑の減軽や免除が認められる可能性があります。
窃盗の初犯でも逮捕・起訴される可能性はある?
窃盗罪は、初犯であっても、逮捕・起訴される可能性は十分にあり得ます。
特に、以下のような事情がある場合には、逮捕・起訴される可能性が高いでしょう。
- 被害額が大きい(高額商品など)
- 犯行態様が悪質(計画的、複数回、組織的)
- 常習性が疑われる(余罪がある、証拠品多数)
- 逃亡や証拠隠滅のおそれがある など
初犯は寛大な処分が下される傾向があり、「被害額が少額で軽微」「被害者と示談成立済」などの事情があれば、微罪処分となる可能性があります。
微罪処分となれば、警察で刑事手続きが終了するため、前科をつけずに済みます。
窃盗で逮捕されたあとの流れ
逮捕後72時間以内の弁護活動が運命を左右します
刑事弁護に強い弁護士が迅速に対応いたします。
逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。
窃盗罪の時効について
窃盗罪の時効(公訴時効)は、犯罪が終わった日から7年間です。公訴時効とは、一定期間が過ぎると検察官が起訴できなくなる仕組みのことで、例えば、万引きから7年経過すると、時効が成立し、起訴されることも処罰されることもなくなります。
窃盗罪で逮捕された場合に弁護士に相談するメリット
窃盗罪で逮捕された場合に弁護士に相談するメリットは大きく、早期釈放や不起訴獲得を目指すには、専門家のサポートが重要となります。
具体的には、以下のようなメリットを得られます。
- 早期釈放の可能性が高まる
- 示談や被害金の弁済で不起訴を目指す
早期釈放の可能性が高まる
弁護士は、勾留請求に対する意見書の提出や準抗告などの手続きを通じて、早期釈放を目指します。
逮捕直後の72時間は、原則弁護士以外の人との面会を禁じられますが、弁護士であれば接見により早期段階から弁護方針の構築が可能です。
また、早期釈放の可能性を高めるために、家族との連絡や身元引受人の確保などの調整も可能なため、早期釈放の実現が期待できます。
示談や被害金の弁済で不起訴を目指す
窃盗罪では、被害金の弁済による被害者との示談成立が、不起訴獲得の実現につながります。
被害者との示談交渉は決して容易ではありませんが、弁護士が間に入ることで、被害者への謝罪や損害賠償についての話が円滑に進められるでしょう。
しかし、被害者によっては、損害賠償による被害弁償を受け入れてもらえない場合があります。その場合は、「供託(きょうたく)」という手続きを取り、被害弁償と同等の効果を得る必要があるため、弁護士との相談が不可欠です。
供託とは、「債務者が債権者に直接支払えないときに、法務局に預けて法律上の債務を果たす制度」で、家賃や債務の支払いでよく使われます。
窃盗罪に問われた場合は、刑事事件に強い弁護士へご相談ください
窃盗罪は、比較的軽微な犯罪とされていますが、犯行態様次第では逮捕・起訴される可能性のある犯罪です。
しかし、初犯や被害者との示談が成立しているなどの事情があれば、早期釈放や不起訴獲得を実現できる可能性が高まります。ただし、実現には刑事事件に詳しい弁護士への相談が不可欠でしょう。
弁護士法人ALGには、刑事事件の経験が豊富な弁護士が複数名在籍しており、充実した法的サポートの提供が可能です。窃盗罪に問われ、お困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
