在宅事件とは?流れや呼び出し・起訴率・不起訴を獲得する方法など
在宅事件とは、刑事事件において被疑者を逮捕せずに捜査を進める事件のことを指します。逮捕による身柄拘束がないため、被疑者は通常通りの日常生活を送りながら警察や検察からの呼び出しに応じます。
この記事では、在宅事件に着目し、在宅事件の流れや捜査機関から呼び出しを受けるタイミング、不起訴を獲得するための方法などについて、詳しく解説していきます。
目次
在宅事件とは?
在宅事件は、逮捕や勾留による身柄拘束を受けずに捜査が進められる刑事事件のことで、反対に身柄拘束を受ける事件を身柄事件といいます。
在宅事件と身柄事件の違いは、主に以下のとおりです。
| 在宅事件 | 身柄事件 | |
|---|---|---|
| 身柄拘束 | なし | あり |
| 取り調べの方法 | 呼び出し | 留置所での拘束 |
| 学校や会社 | 行ける | 行けない |
| 起訴される可能性 | あり | あり |
身柄拘束が伴う身柄事件は、法律で厳格な時間制限が課されており、逮捕から最長23日以内に起訴・不起訴の決定が下されます。一方、在宅事件には、こうした時間制限が課されていないため、捜査が長期化する傾向にあります。
また、逮捕・勾留されないからといって、起訴されないわけではなく、証拠次第では起訴され、裁判で有罪判決が下される可能性があります。
在宅事件となる条件
在宅事件となるには、比較的軽微な犯罪で「逃亡や証拠隠滅のおそれがない」と判断される必要があります。具体的には、以下の要素が重視されます。
在宅事件となる主な条件
犯罪が比較的軽微であること
殺人や強盗などの重大事件の場合は、「重い刑罰を避けるために逃げる」と判断されやすいため、原則在宅事件にはなりません。そのため、在宅事件は万引きや傷害などの軽微な犯罪に限られます。
逃亡や証拠隠滅のおそれがないこと
定職がある、家族と同居している、社会的基盤が安定しているなどの場合は、「逃亡のおそれがない」と判断されやすいです。また、犯行を認めている、主要な証拠が揃っている場合は、「証拠隠滅のおそれがない」と判断されます。
在宅事件の割合
法務省の検察統計によれば、在宅事件の割合は約63%でしたので、刑事事件の過半数以上を占めることがわかります(2023年のデータより)。
在宅事件の割合が多いのは、「軽微な犯罪が圧倒的に多い」「人権保護の観点から逮捕・勾留を安易に行わない運用である」などの理由が挙げられます。
在宅事件の流れ
在宅事件は、主に以下のような流れで進んでいきます。
- 1.捜査
警察が被害届や通報などで事件を認知すると、被疑者特定のために事情聴取や証拠収集が行われます。被疑者は警察署に呼び出され、任意で取り調べを受けます。 - 2.検察官送致
一通り捜査が終わると、検察に捜査の書類と証拠を送付して事件を検察に引き継ぎます(書類送検)。 - 3.検察から呼び出し
被疑者は、検察からの取り調べを受け、その後検察官が起訴・不起訴の決定を下します。 - 4.在宅起訴
検察官が起訴した場合は、「在宅起訴」となり、被告人は在宅のまま裁判に出廷します。略式起訴の場合は、被疑者の同意のもと裁判を行わずに刑が確定します。 - 5.刑事裁判
刑事裁判が開かれ、裁判官によって有罪・無罪の判決が下されます。
在宅起訴になる条件や流れについて詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
在宅起訴とは?在宅事件の捜査期間は長すぎる?
在宅事件は、身柄拘束を伴わないため、法律上の時間制限が適用されず捜査期間が長くなりやすいです。
身柄拘束を伴う身柄事件の場合は、逮捕後から最長で23日以内に起訴・不起訴の判断が下されますが、在宅事件だと数ヶ月かそれ以上に及ぶ可能性があります。
また、在宅事件のほとんどは軽微な犯罪ですので、捜査機関が重大事件の捜査や手続きを優先し、在宅事件を後回しにする傾向もあります。こうした理由から、在宅事件の捜査期間は長期化しやすいといわれています。
在宅事件で不起訴はいつわかるのか
在宅事件で不起訴がわかる時期は、身柄事件と比べて遅くなる傾向にあります。
検察官からの取り調べの際に、「不起訴の見込みです」と言われることはありますが、いつその判断が下されたのかは確認しないとわかりません。
起訴の場合は起訴状が手元に届きますが、不起訴は通知義務がないため、検察庁に問い合わせるか不起訴処分通知書を請求する必要があります。弁護士に依頼している場合は、弁護士が定期的に検察官に処分結果を確認してくれます。
在宅事件で警察・検察からの呼び出しはいつ?
警察からの呼び出し
警察からの呼び出しは、早ければ事件発覚から1週間以内に連絡が来ます。ただし、捜査が複雑な場合や、警察が他の事件で忙しい場合は、1ヶ月以上かかることもあります。
呼び出しに応じると、まず事情聴取が行われ、その後、証拠の確認や供述内容の確認のために再度呼び出されることがあります。呼び出しの回数は、容疑を認めている場合は1~2回程度ですが、否認している場合は3回以上になることもあります。
警察からの呼び出しについて詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
警察から呼び出しがきたらどうする?検察からの呼び出し
検察からの呼び出しは、書類送検後おおむね1ヶ月後に行われることが多いです。検察が他の事件で忙しい場合は、数ヶ月後になることもあります。
在宅事件は身柄を拘束しないため、呼び出しが複数回に及ぶケースもありますが、容疑を認めている場合は1回で終わることが多いです。否認している場合は2~3ヶ月以上続くこともあります。
また、書類送検された時期を本人では確認できないため、早く知りたい場合は弁護士に相談するのがおすすめです。
在宅事件の起訴率・不起訴率
検察統計によると、令和4年の刑事事件全体の起訴率は32.2%で、不起訴率は67.8%でした。
在宅事件は、比較的軽微な事件であるため、不起訴となりやすい傾向にあります。「在宅事件であれば、必ず不起訴になる」というわけではありませんが、全体の起訴率を上回ることはないでしょう。
とはいえ、在宅事件は不起訴になりやすいからという理由で何も対応を行わないでいると、不利益を受ける可能性が高くなるため、注意が必要です。
在宅事件であっても、不起訴獲得や減刑を目指したい場合には、弁護士から法的サポートを受け、適切に対応することが大切です。
逮捕後72時間以内の弁護活動が運命を左右します
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逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。
在宅事件で不起訴を獲得するための方法
在宅事件で不起訴を獲得するためには、検察官が「起訴の必要なし」と判断する材料を整えることが重要です。材料を整えるためには、以下の点を押さえる必要があります。
刑事事件に強い弁護士に依頼する
刑事事件に強い弁護士に依頼することは、在宅事件に限らずすべての刑事事件で重要となります。弁護士による弁護活動は、刑事処分の判断に大きな影響を与えますが、身柄を拘束されない在宅事件は危機感に欠け、弁護士に相談するタイミングを逃しがちです。
弁護士に依頼すると、主に以下のような弁護活動を行ってもらえます。
- 不当な逮捕や勾留回避に向けた弁護方針を早期に構築してもらえる
- 不起訴獲得に向けた弁護活動を適切かつ円滑に進めてもらえる
- 有効な証拠を収集してもらえる
- 有利な情状となる要素の主張・立証を適切に行ってもらえる など
弁護士であれば、法的観点から処分軽減のための戦略を立てられます。特に刑事事件に詳しい弁護士を選択すれば、より充実した法的サポートを受けられるでしょう。
在宅事件であれば、自ら刑事事件に詳しい弁護士を探して相談や依頼をお願いできるため、起訴される前に活用されることをおすすめします。
被害者との示談成立を目指す
窃盗罪や傷害罪などの被害者がいる事件では、被害者との示談成立が不起訴獲得にもっとも有効的です。
示談成立は、事件の当事者同士の和解を示すだけでなく、被害者が加害者に対して抱く処罰感情の軽減も示せます。被害者の処罰感情や被害弁償の有無は、起訴・不起訴の判断において重要な判断材料です。
示談では、加害者が被害者に示談金を支払う代わりに、被害届や訴えの取り消しを求めます。示談書には被害者に「処罰を求めない」旨を記載してもらい、検察官に提出することで、起訴猶予や不起訴の可能性が大幅に高まるでしょう。
しかし、自ら示談交渉するのはリスクがあるため、弁護士を通じて行うのが安全です。
取り調べに備えて対策を立てる
身柄を拘束されない在宅事件であっても、捜査機関から取り調べのために呼び出されることがあります。取り調べでのやり取りは、すべて「供述調書」として記録されるため、誤った発言をしてしまうと、不利な供述調書が作成されてしまいます。
そのため、取り調べに備えて対策を立てることが大切です。
しかし、取り調べでどのように対応するのが適切なのか判断がつかない方もいらっしゃるでしょう。そのような場合には、弁護士に相談し、取り調べに対する対応の仕方についてアドバイスを受けることが得策です。
在宅事件に関するよくある質問
在宅事件で連絡がこないのはどうしてですか?
在宅事件で警察や検察から連絡がこないのは、「捜査がまだ進行中」「事件の優先度が低く、後回しにされている」などの理由が考えられます。在宅事件は、身柄拘束が伴う身柄事件とは違い、法律上の時間制限がありません。
そのため、「いつまでに起訴・不起訴の判断を下さなければならない」ということがなく、長期化しやすいです。
どうしても現在の状況を知りたい場合には、警察署や検察庁に問い合わせるとよいでしょう。
在宅事件で後から逮捕されることはありますか?
在宅事件の場合でも、捜査が進んでから逮捕されるケースがあります。
捜査によって証拠が集まり、実刑判決が予想されるような重大犯罪を行ったと疑われたケースや、明確な証拠があるのに不合理な弁解を繰り返したため、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがあるとみなされたケース等です。
在宅事件でも報道されますか?
在宅事件でも、「社会的に注目度が高い事件」や「社会的関心が高いテーマ」などの場合は、報道される可能性があります。
社会的に注目度が高い事件
- 政治家、芸能人、大企業役員など、有名人や社会的地位の高い人物が関与している場合
- 公務員、教師、医師、弁護士など、社会的信用の高い職業の人が被疑者の場合 など
社会的関心が高いテーマ
- 特定の犯罪が社会問題化している場合(例:特殊詐欺、児童虐待、性犯罪)
- 被害者が多数いる事件や、被害者との関係が強い非難を浴びるケース(例:教師による生徒へのわいせつ)など
在宅事件でも逮捕や起訴される可能性があるため、早急に弁護士にご相談ください
在宅事件であっても、「逃亡や証拠隠滅のおそれがある」と判断されれば、逮捕される可能性は十分にあります。身柄拘束の長期化は、社会的信用の低下につながり、解雇や退学のおそれが生じやすくなります。
在宅事件だからといって安易に考えるのではなく、早期段階から適切に対処することが大切です。
刑事事件に詳しい弁護士であれば、早期に弁護方針を構築し、適切かつ円滑に行動できます。万が一、起訴されたとしても、刑事裁判の対応や減刑に向けた弁護活動を行えます。
私たち弁護士法人ALGには、刑事事件の経験が豊富な弁護士が複数在籍しているため、充実した法的サポートの提供が可能です。決してお一人で不安を抱えずに、在宅事件でお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。
