物損事故で慰謝料はもらえない?請求が認められるケースなどを解説

物損事故で慰謝料はもらえない?請求が認められるケースなどを解説

幸いにも死傷者の出なかった物損事故では、基本的に慰謝料を請求することができません。
これは、事故で物を壊されたことによる精神的苦痛は、修理代などの財産的損害が賠償されることで同時に回復すると考えられているためです。

とはいえ、事故で家族同然のペットや、墓石・自宅などが損害を受けた場合には、例外的に慰謝料請求が認められることもあります。

本記事では【物損事故の慰謝料】に着目して、例外的に慰謝料請求が認められるケースや慰謝料を請求する方法について解説していきます。

経済的全損のケースにおいて、追加パーツの時価相当額及び新車購入手続費用の一部を賠償額に含められた事例
  • 争点:賠償金額

弁護士依頼前

事故当時の時価額

弁護士介入

弁護士依頼後

追加パーツの時価相当額及び新車購入手続費用の一部も賠償

物損事故で慰謝料はもらえない?

物損事故では、基本的に慰謝料を請求することができません。

交通事故における慰謝料とは、ケガや死亡といった人体の被害(人的損害)から生じる精神的苦痛に対して支払われる金銭を指します。

したがって、死傷者のいない物の被害(物的損害)だけの物損事故では、慰謝料を請求することができないのです。

たとえ、事故で大切にしていた物を壊されて精神的に大きなショックを受けたとしても、修理代などの財産的損害が賠償されることで精神的苦痛もなぐさめられたと考えられているため、残念ながら慰謝料請求が認められることはほとんどありません。

物損事故とは

そもそも物損事故とは、物だけが被害を受けた交通事故のことを指します。

対して人身事故は、物だけでなく、人がケガをしたり亡くなったりして人体にも被害を受けた交通事故のことを指します。

【物損事故と人身事故の主な違い】
  物損事故 人身事故
補償の範囲 物的損害のみ 物的損害・人的損害
慰謝料の請求 基本的に請求できない 請求できる
自賠責保険の適用 適用されない 上限額までは適用される
刑事処分 刑事罰を受けない 刑事罰を受ける可能性がある
免許の点数 減点なし 減点あり
実況見分調書 作成されない 作成される

物損事故で慰謝料請求が認められたケースもある

物損事故では慰謝料請求できないのが原則となっていますが、例外的に、ペット・墓石・芸術品・家屋などの物的損害に関して、単に財産的損害を賠償しただけでは償い得ないほど大きな精神的苦痛を被ったとして慰謝料請求が認められた事例があります。

  • 家族同然のペットの死傷に関して慰謝料請求が認められた
  • 強い敬愛・追慕の念の対象となる墓石の損壊に関して慰謝料請求が認められた
  • 代替性のない芸術作品の損壊に関して慰謝料請求が認められた
  • 転居を余儀なくされた家屋の損害に関して慰謝料請求が認められた など

このうち、ペットの死傷に関して実際に慰謝料請求が認められた裁判例を紹介します。

【平20(ネ)483号 名古屋高等裁判所 平成20年9月30日判決】

交通事故によって後部座席に乗っていた、子供のいない夫婦にとってかけがえのない飼い犬が後肢麻痺となり、日常的に排せつの介護を要する傷害を負った事案です。

負傷の内容・程度、介護内容・程度から、夫婦それぞれに20万円ずつの慰謝料が認められました。

物損事故で請求できる損害賠償の範囲

物損事故では慰謝料請求できないのが基本ですが、交通事故によって壊れた物に関して損害賠償請求することができます。 請求の対象となる物損事故の損害賠償項目には、次のようなものがあります。

  • 車の修理費用・買い替え費用 必要かつ相当な範囲で、車の修理費用が請求できます。
    修理ができない全損などのケースでは、買い替えで生じた差額が請求できます。
  • 車の評価損 事故によってその車の価値が下がってしまう場合に請求できる可能性があります。
  • 代車費用 必要かつ相当な範囲で、代車の使用料が請求できます。
  • 休車損害 タクシーやトラックなどの営業車両が事故で使用できずに減少した営業利益を請求できます。
  • レッカー費用 車が自走できずにレッカー移動が必要となった場合に請求できます。
  • 車以外の、事故で破損した物の修理費用・弁償代 事故によって損壊した建物、設備、積荷、衣服などの修理費・弁償代や、ペットの治療費などを請求できます。

物損事故の損害賠償の範囲については以下ページで詳しく解説していますので、あわせてご参考ください。

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※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。 ※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください
料金について、こちらもご確認ください。
  • ※諸経費20,000円( 税込22,000円 )がかかります。
  • ※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合
  • ※事案によっては対応できないこともあります。
  • ※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。

物損事故で慰謝料を請求するには?

物損事故で慰謝料を請求するには、事故によって被害者の方が受けた精神的苦痛の大きさを示す証拠や、類似の事案で慰謝料が認められた過去の裁判例を集めて、示談交渉のなかで適切な主張をする必要があります。

もっとも、「物損事故では慰謝料請求は認められない」というのが基本なので、物損事故に遭い慰謝料を請求する場合は、交通事故に強い弁護士へ相談することをおすすめします。

軽傷でもケガをしていれば人身事故に切り替えましょう

事故時に物損事故で届け出ていても、後日むちうちの症状があらわれたなど、少しでも痛みや違和感が生じた場合には、すぐに病院を受診して物損事故から人身事故に切り替えましょう。

人身事故に切り替えることにより、次のようなメリットがあります。

  • 人身事故であれば、法的に慰謝料や治療費の請求が認められる
  • 警察が実況見分調書を作成するため、過失割合の交渉もスムーズに行える
  • 加害者に対して刑事責任を問える など

人身事故の慰謝料請求については以下ページで詳しく解説していますので、あわせてご参考ください。

物損事故から人身事故に切り替える方法

物損事故から人身事故に切り替えるためには、次の手順を踏む必要があります。

  • ①病院で診断書を作成してもらう
    まずは病院を受診して、医師に診断書を作成してもらいます。
  • ②警察署に人身事故への切り替えを依頼する
    作成してもらった診断書や切り替えの申請書などの必要書類を、事故現場を管轄する警察署に提出して、人身事故への切り替えを依頼します。
    事故後10日以内であれば、切り替えられる可能性が高いです。
  • ③実況見分が行われる
    切り替えの申請が受理されると、被害者と加害者立ち合いのもと警察による実況見分が行われ、実況見分調書が作成されます。
    ご自身と加害者の保険会社に人身事故へ切り替えられた旨を連絡しておきましょう。

物損事故の慰謝料請求については弁護士法人ALGにご相談ください

物損事故では慰謝料請求が認められないのが基本ですが、例外的に認められるケースもあります。

弁護士であれば、過去の裁判例や証拠を揃えて「事故で大切な物を壊されたことによって大きな精神的苦痛が生じた」と立証することができるので、慰謝料請求が認められる可能性が高まります。

弁護士法人ALGでは、これまでに数多くの交通事故案件に取り組んだ実績があり、人身事故への切り替えを含め、慰謝料請求できる余地がないかどうかを適切に判断することができます。

物損事故では壊れた物の損害額についても揉めることが多いので、まずは交通事故案件の実績豊富な私たちへご相談ください。

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  • ※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合
  • ※事案によっては対応できないこともあります。
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弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治
監修 :福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

福岡県弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名を擁し()、東京、を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。