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交通事故により大きな衝撃が加わり頭部を強く打ち付けたりした場合に、意識不明となってしまうことがあります。意識不明になると身体に大きな負担がかかり、様々な支障が生じます。
被害者本人や同乗者が意識不明となってしまったとき、どのように対応すれば良いのでしょうか。
本記事では「意識不明となった場合の示談や後遺症」について着目し、事故後の対処法や意識不明による障害の種類などを詳しく解説していきます。
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目次
意識不明になると、外部からの呼びかけや刺激に対して一切反応できず、目も開けることができません。意識不明となる原因は様々ですが、交通事故による主な原因は以下とされています。
いずれも事故により外から頭部に強い力が加わり、脳にダメージを与えたことによる損傷です。
意識不明になった場合の生存率や回復率は、脳損傷や意識消失時間の程度により異なります。 また、損傷した箇所や程度によっては重大な後遺障害が残ってしまう可能性があります。
被害者本人の意識が戻らない場合は、被害者自ら相手方保険会社と示談交渉することができないため、一般的には被害者のご家族が代理で行うことになります。
ただし、被害者が未成年者である場合を除いて、ご家族が代理で示談交渉を行うためには代理権を授与された「成年後見人(せいねんこうけんにん)」をご家族の中から選任する必要があります。
また、成年後見人を選任するためには裁判所に成年後見の申し立てを行わなければなりません。成年後見の申し立ての準備を行いながら交通事故の対応をすることは容易ではないため、成年後見の申し立ても含めて交通事故の対応を弁護士に依頼すると良いでしょう。
意識不明(意識障害)の状態が長く続けば続くほど後遺障害が残る可能性が高くなります。意識不明による後遺障害等級認定においては、他覚的所見(画像所見)の有無よりも「意識障害の継続」が重要といわれています。
では、意識が戻る場合と戻らない場合ではどのような違いがあるのでしょうか。
事故により意識不明となり、そのまま回復しない状態を、遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい)といいます。 遷延性意識障害とは、頭部外傷により脳の広範囲が壊死または深刻に損傷することで発症し、いわゆる植物状態のことを指します。
脳死と違う主な点は「回復する可能性があるかどうか」、「自発呼吸ができるかどうか」というところです。脳死はいつか心臓や呼吸が停止して死に至るのに対し、遷延性意識障害は意識障害の継続時間が短ければ、長期のリハビリにより回復する可能性があります
遷延性意識障害となれば、1級1号(要介護)の後遺障害等級認定が認められるでしょう。
症状固定とは、これ以上治療を続けても改善の見込みがないと医師が判断することです。意識不明の症状固定時期の目安は、1年程度とされており、症状や意識レベルに応じて被害者のご家族と医師にて慎重に決定することが一般的です。
症状固定後にかかった治療費や入通院慰謝料などの損害は請求することができません。そのため、症状固定の時期は慎重に判断しなくてはなりません。
交通事故により意識不明になった後、幸いなことに意識が戻る場合もあります。
特に6時間以内に意識が回復した場合は、軽い脳震盪(のうしんとう)など損傷の程度が軽いことが多く、後遺症が残らないか、比較的軽度である可能性が高いです。
一方、6時間以上継続して意識不明の状態が続く場合は、脳挫傷などによって脳が傷ついている可能性があります。
脳の損傷は回復が難しいため、意識が回復した後に、高次脳機能障害・麻痺・外傷性てんかんなど、様々な後遺障害が残ってしまうことも、残念ながら少なくありません。
脳に大きな損傷を受けた場合、「高次脳機能障害(こうじのうきのうしょうがい)」が残ることがあります。高次脳機能障害とは、主に下表のような症状が生じる障害です。
高次脳機能障害により認められる後遺障害等級は、症状の程度により以下の等級が認められます。
重度な高次脳機能障害となると介護を要する場合が多く、被害者を支えるご家族にも大きな精神的負担が生じることから、被害者本人と同様にご家族にも固有の慰謝料請求権が認められています。
高次脳機能障害の主な症状
記憶障害 | 記憶ができない、新しく何かを覚えられない、などの自身の記憶に差し障りが生じてしまう障害です。 |
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注意障害 | 集中力が低下し、他の刺激に気を取られやすく注意散漫になってしまう障害です。注意機能が障害され、ミスが増える、落ち着かないなどの症状が生じます。 |
遂行機能障害 | 物事や行動を計画し、順序を立てて行うことができなくなる障害です。 人に指示してもらわないと何もできない、約束の時間に間に合わないなどの症状が生じます。 |
社会的行動障害 | 行動や言動、感情をその場の状況に合わせてコントロールすることができなくなる障害です。いらいらしやすい、暴力的になる、意欲が湧かない、などの症状が生じてしまい対人関係に支障をきたします。 |
言語障害 |
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半側空間無視 |
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失認症 |
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意識不明の状態から目が覚めても、身体の一部に「麻痺(まひ)」が残ることがあります。 交通事故による外部からの強い衝撃により、脳が損傷することで麻痺をはじめ、身体に様々な障害を残します。
麻痺の種類は四肢麻痺、対麻痺、片麻痺、単麻痺の4つがありますが、脳損傷による麻痺では対麻痺が生じることはありません。
脳損傷の程度により、麻痺では以下の後遺障害等級が認められます。
交通事故により頭部に強い衝撃を受けたことにより、「外傷性てんかん(がいしょうせいてんかん)」が残ることがあります。
外傷性てんかんとは、大脳の神経細胞が過剰な興奮状態となったことで異常放電が起き、脳全体に広がっていくことにより発症するけいれん発作をいいます。外傷性てんかんの主な症状は意識消失や強直性けいれん、脱力発作などが挙げられます。
発作のパターンや頻度により、外傷性てんかんでは以下の後遺障害等級が認められます。
交通事故によってご家族が意識不明となったとき、落ち着いて行動できる方は少ないでしょう。しかし、状況を受け止め、冷静に判断し行動することが後に必ず活きてきます。
そのためにも、対処法をしっかりと押さえておきましょう。
交通事故により脳に大きな損傷を負ってしまった場合、早急に病院で処置を受ける必要があります。 脳損傷は、身体に何らかの障害=後遺障害を残してしまう可能性が大きいからです。
また、脳損傷の初期治療で後遺障害の程度が左右される場合があります。 そのため、脳障害の専門医(脳神経外科や脳神経内科)による治療を受けることが重要です。
しかし、救急搬送された場合は自ら病院を選ぶことができません。搬送された病院に脳障害の専門医が在籍していない場合には、紹介状を発行してもらい、できるだけ早めに転院を検討すると良いでしょう。
意識不明となった場合、適切な損害賠償請求や後遺障害等級認定を受けるためにも、交通事故後の様子をよく観察し、治療経過を詳細に記録しておきましょう。医師のカルテや医療記録にも治療経過は記載されます。
ですが、「事故前はしなかった行動をとる」、「事故前と性格が変わったように感じる」など、家族にしか気づけない変化が、後に重要になることがあります。
記録があるかないかで損害賠償額が大きく変わることもあるので、次のような内容について、些細なことであっても日々の記録をしっかり残しておくようにしましょう。
ご家族が意識不明となった後、何の支障もなく普段通りの日常を過ごせる方はいないでしょう。少しでもご家族のことに時間を割けるよう、弁護士に相談・依頼されることをおすすめします。
弁護士に依頼することにより、以下のようなメリットを得ることができます。
など、弁護士ならではのサポートを受けることができます。
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交通事故で意識不明となった場合に請求できる慰謝料は、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の2種類です。
意識不明に陥ると後遺症が残る可能性が高く、その後遺症が後遺障害等級認定されると、入通院慰謝料とは別に後遺障害慰謝料が請求できるようになります。
入通院慰謝料
入通院慰謝料は入院・通院に要した期間に基づいて算出されるので、治療期間が長いほど慰謝料が高額になります。
弁護士が入通院慰謝料を算出する際は、下図の慰謝料算定表を使用して、横軸の入院月数と縦軸の通院月数が交わるマス目の数字を目安にします。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、算定に用いる基準と、認定された後遺障害等級に応じて、次のような相場が定められています。
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
1級1号(要介護) | 1150万円(1650万円) | 2800万円 |
2級1号(要介護) | 998万円 (1203万円) | 2370万円 |
3級3号 | 861万円 | 1990万円 |
5級2号 | 618万円 | 1400万円 |
7級4号 | 419万円 | 1000万円 |
9級10号 | 249万円 | 690万円 |
12級13号 | 94万円 | 290万円 |
入通院慰謝料や後遺障害慰謝料以外にも、以下のような費目を損害賠償請求できます。
その他にも、被害者の損害の内容に応じて別の費目の損害賠償請求することもできます。 そのため、交通事故に遭わなければ生じなかった損害があれば、請求できるかどうかにかかわらず、証拠として領収書の原本や関係資料を残しておくと良いでしょう。
損害賠償請求についての詳細は以下のページで解説しておりますので、併せてご覧ください。
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意識不明に陥った後に、回復することなく被害者が亡くなってしまうこともあります。 被害者が交通事故により死亡した場合には、以下のような費目を損害賠償請求できます。
死亡事故の損害賠償請求については、以下のページにて詳細を解説しておりますので、ぜひご覧ください。
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加害者が生きている場合、示談交渉する相手は主に加害者が加入している任意保険会社となります。しかし、任意保険会社は「任意保険を使用して賠償金を支払うこと」の了承を加害者本人から得なければなりません。
加害者が意識不明となれば当然意思確認ができないため、加害者側に成年後見人が選任されない限りは、任意保険会社は一切動けないことになります。
そのため、加害者の意識不明が続く場合は、先に加害者の自賠責保険へ直接、保険金の請求をしましょう。それと並行して、加害者の家族や親族に対し、速やかに加害者に成年後見人を選任するよう要請することになります。
成年後見人には、被害者の親族が第一候補に挙がるでしょう。配偶者および4親等以内の親族であれば申立人になることができます。しかし、誰を選任するかは裁判所が判断します。
被害者の意識不明の時間が長いと、重度の後遺障害が残り損害賠償金が高額になる可能性があることから、家庭裁判所は被害者の親族ではなく弁護士を成年後見人に選任することがあります。親族が成年後見人に選任されることもありますが、その場合は後見監督人に弁護士が選任されることが多いです。
なお、裁判所が判断した成年後見人に対して「納得いかない!」と不服申立てを行うことは認められていません。
大切な家族が突然交通事故に遭い、意識不明となったご家族の悲しみや不安は計り知れないものです。現実を受け止めることができず、ただ目の前の状況を把握することで精一杯という方もいらっしゃるでしょう。
心の整理ができないまま、相手方保険会社とのやり取りや書類の手続きを行うことはさらに大きなストレスとなってしまいます。少しでも安心してご家族に時間を割けるようにするためにも、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士に依頼することにより、相手方保険会社とのやり取りはもちろんのこと、煩雑な手続きなどもすべて任せることができます。
また、不安なことがあれば相談してアドバイスを得ることもできるため、不安の軽減につながります。
まずは相談からはじめることも可能ですので、弁護士法人ALGへお気軽にご相談ください。
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