過失割合が10対0になる事故のケースとは?示談する際の注意点など

過失割合が10対0になる事故のケースとは?示談する際の注意点など

過失割合10対0の事故とは、被害者には事故の責任がなく、加害者側に全責任があることを指しています。

交通事故は、被害者・加害者ともに事故の責任があることが一般的ですが、なかには被害者に全く事故の責任がないこともあります。

被害者の過失が0の場合、損害賠償金のすべてを受け取ることができ、一見有利に見えますが、注意すべき点も少なくありません。

この記事では、過失割合が10対0になる事故のケースや、10対0を主張する場合の注意点などについて解説していきます。

弁護士により過失割合を7対3→10対0に修正できた事例

弁護士依頼前

過失割合7対3

弁護士介入

弁護士依頼後

過失割合10対0

適正な示談金を獲得

交通事故で過失割合が10対0とは?

交通事故の過失割合が10対0とは、事故が起きた責任が、加害者側だけにあると判断されるケースを指します。つまり、被害者に一切非がない事故のことです。

【例】被害者が赤信号で停車しているときに後ろから追突されたケース

被害者はきちんと道路交通法を守っていただけであり、加害者が前方不注意や車間距離を十分に取っていないことが原因で事故が発生したと考えられるため、加害者にすべての事故の責任があるとされます。

このように、もらい事故のような事故が、過失割合10対0になることが多いです。

そもそも過失割合とは?

過失割合とは、事故が起きた原因の責任度合いを割合で表したものです。「8対2」「75対25」などと表示され、数字の大きい方の責任が大きいことを表しています。

交通事故においては、どちらか一方だけの原因となるケースは少なく、被害者側にも過失が付くケースが多いです。

被害者にも過失が付く事故の場合、被害者にも事故の責任があるという理由から、被害者の過失分が損害賠償金から減額されます(過失相殺)。

交通事故の過失割合については、以下のページでも詳しく解説位しています。ぜひご参考ください。

過失割合10対0は誰が決める?

過失割合は、当事者間の話し合いで決めていきます。基本的には、被害者と加害者の保険会社が交渉を行い、過失割合が決められます。

当事者間の話し合いの際に参考とされるのが、過去の判例に基づき作成された事故様態ごとの基本過失割合です。

この基本過失割合に、事故当時の具体的な発生状況を考慮して、双方の合意によって過失割合が決まります。

ここで注意したいのは、相手方保険会社が提示する過失割合が、必ずしも適切であるとは限らないという点です。

そのため、提示される過失割合に納得できない場合は、修正してもらうように交渉する必要があります。

10対0の事故の示談金の相場については、以下のページで詳しく解説しています。ぜひご参考ください。

交通事故の過失割合が10対0になるケース

自動車同士の事故

まずは、自動車同士の事故における、過失割合10対0のケースを見ていきましょう。

直進車同士の衝突・接触信号機のある交差点で、青信号を直進していたA車に、赤信号を直進してきたB車が衝突・接触した場合は、過失割合10(B車)対0(A車)となります。B車には、信号無視という明らかな過失が認められます。

駐停車車両に対する追突駐停車可能な位置に駐停車していたA車に、後方から走行してきたB車が追突した場合は、過失割合10(B車)対0(A車)となります。B車には、前方不注意という明らかな過失が認められます。

自動車同士の追突事故

直進車とセンターラインオーバー車との衝突・接触対向車同士で直進していたA車に対し、センターラインを越えて侵入してきたB車が衝突・接触した場合は、過失割合10(B車)対0(A車)となります。B車には、左側通行違反という明らかな過失が認められます。

自動車とバイクの事故

次に、自動車とバイクの事故における、過失割合が10対0のケースを見ていきましょう。

交通弱者の観点から、自動車側の過失が10割になるだろうと思われる方もいるかもしれませんが、バイク側の過失が10割と認められるケースもあるため、注意が必要です。

赤信号無視のバイクと自動車の衝突・接触信号機のある交差点で、青信号で直進した自動車に、赤信号で直進したバイクが衝突・接触した場合は、過失割合10(バイク)対0(自動車)となります。バイク側には、信号無視という明らかな過失が認められます。

赤信号無視のバイクと右折自動車の衝突・接触信号機のある交差点で、青矢印で右折した自動車に、赤信号で直進してきたバイクが衝突・接触した場合は、過失割合10(バイク)対0(自動車)となります。バイク側には、信号無視という明らかな過失が認められます。

自動車とバイク

センターラインオーバーのバイクと自動車の衝突・接触対向車(バイク)がセンターラインを越えて侵入し、直進中の自動車に衝突・接触した場合は、過失割合10(バイク)対0(自動車)となります。バイク側には、左側通行違反という明らかな過失が認められます。

自動車と自転車の事故

次に、自動車と自転車の事故における、過失割合が10対0のケースを見ていきましょう。

自転車も道路交通法上の「車両」にあたりますが、四輪車との比較では交通弱者とされるため、自転車側の過失が10割になることはほとんどありません。

赤信号無視の自動車と自転車の衝突・接触信号機のある交差点で、青信号で直進した自転車に、赤信号で直進した自動車が衝突・接触した場合は、過失割合10(自動車)対0(自転車)となります。自動車側には、信号無視という明らかな過失が認められます。

自動車と自転車

左折自動車と直進自転車の衝突・接触交差点において、直進していた自転車に、自転車を追い越して左折しようとした自動車が衝突・接触した場合は、過失割合10(自動車)対0(自転車)となります。いわゆる巻き込み事故で、自動車側には、追越違反という明らかな過失が認められます。

センターラインオーバーの自動車と自転車の衝突・接触直進していた自転車に対し、センターラインを越えて侵入してきた、対向車(自動車)が衝突・接触した場合は、過失割合10(自動車)対0(自転車)となります。自動車側には、左側通行違反という明らかな過失が認められます。

自動車と歩行者の事故

次に、自動車と歩行者の事故における、過失割合が10対0のケースを見ていきましょう。

歩行者は、交通弱者の観点において最も弱い立場とされるため、自動車側の過失が大きくなるように設定されています。

赤信号無視の自動車と歩行者の衝突・接触信号機のある交差点で、青信号で歩行者が横断歩道を横断中に、赤信号で直進した自動車が衝突・接触した場合は、過失割合10(自動車)対0(歩行者)となります。自動車側には、信号無視という明らかな過失が認められます。

自動車と歩行者の事故

車が通行してはならない道路上での衝突・接触路側帯上や歩行者用道路など、車が通行してはならない道路上で、歩行中の歩行者に、自動車が衝突・接触した場合は、過失割合10(自動車)対0(歩行者)となります。自動車側には、標識無視という明らかな過失が認められます。

右側通行の歩行者との衝突・接触歩車道の区別がない道路で、右側通行していた歩行者に対し、自動車が衝突・接触した場合は、過失割合10(自動車)対0(歩行者)となります。自動車側には、前方不注意という明らかな過失が認められます。

過失割合が10対0だと示談金はいくらもらえる?

過失割合10対0の事故の場合、被害者は損害賠償金のすべてを受け取ることができます。

例えば、被害者の損害の合計額が500万円で、過失割合8(加害者)対2(被害者)のケースでは、500万円から被害者の過失分2割(100万円)が減額され、400万円しか受け取れなくなってしまいます。

ところが、被害者にまったく過失のない事故であれば、損害の全額である500万円を受け取ることができます。

このように、被害者にも過失が付くと損害賠償金が減額されてしまうため、過失割合に納得できない場合は、安易に合意せず交渉することが大切です。

10対0の事故の示談金相場については、以下のページで詳しく解説しています。ぜひご参考ください。

交通事故で過失割合10対0を主張するときの注意点

過失割合10対0だと保険会社の示談サービスが使えない

過失割合10対0を被害者・加害者双方が合意する場合や、被害者が過失0を主張する場合は、自身が加入する任意保険の、「示談交渉サービス」が使えません。

被害者側が過失0の場合、被害者側の保険会社は相手方保険会社に支払いをしないことになります。自社の損失がないのに勝手に被害者の代理で示談交渉をすると弁護士法違反となってしまうのです。

そのため、被害者に過失がない事故では、保険会社に代わり、被害者ご自身で相手方保険会社と交渉する必要があります。

保険会社から低額な示談金を提示される可能性がある

被害者に過失がない事故であっても、相手方保険会社が提示する金額が適切であるとは限りません。

相手方保険会社は独自の基準で損害賠償金を計算しており、受け取るべき適正な金額とはいえないことも多くあります。

交通事故の慰謝料や損害賠償金を計算する基準には以下の3種類があります。

  • 自賠責基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士基準

このなかで、相手方保険会社は「自賠責基準」や「任意保険基準」を使用した金額しか提示しないため、損害賠償金が相場より低額になっているのです。

被害者が受け取るべき適正な金額になるのは、弁護士基準を用いた場合です。

弁護士に依頼することで、弁護士基準で計算した金額を交渉してくれるため、損害賠償金に納得できない方は弁護士に依頼しましょう。

過失割合10対0でも物損事故だと慰謝料請求できない

身体への怪我がなく、車体などの損害だけ発生した事故を「物損事故」といい、基本的に慰謝料は発生しません。

慰謝料は精神的苦痛に対する補償であり、物損事故の場合は物的損害について金銭の支払いを受けることで慰められると考えられているため、基本的に慰謝料は請求できません。

物損事故の場合は、修理費や買替費、代車費用、休車損害などの費目を請求できます。

また、積荷や衣類、ペットに生じた損害についても請求できる場合もありますので、まずは弁護士にご相談ください。

物損事故の損害賠償については、以下のページで詳しく解説しています。ぜひご参考ください。

増額しなければ成功報酬はいただきません

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※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。 ※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください
料金について、こちらもご確認ください。
  • ※諸経費20,000円( 税込22,000円 )がかかります。
  • ※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合
  • ※事案によっては対応できないこともあります。
  • ※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。

過失割合10対0なら弁護士に示談交渉を依頼するのがおすすめ

過失割合が0ということは、被害者には何ら責任がないという意味です。そのため、「当然に適切な損害賠償を受けられるだろう」と思われている方も少なくありません。

しかし、そのような考えは要注意です。過失がないからこそ弁護士への依頼をおすすめします。

弁護士に依頼するメリット

  • 示談交渉を任せられる
  • 正しい過失割合を主張できる
  • 弁護士基準を使用した金額で交渉できる
  • 損害賠償金が増額する可能性が高まる

弁護士費用が心配な場合は、弁護士費用特約が付帯しているか確認する

弁護士費用特約は、被害者が加入する任意保険や火災保険などに付帯するオプションで、弁護士相談料・弁護士費用を一定額補償してくれます。

大半の被害者は実質自己負担ゼロで弁護士に依頼することができます。

交通事故を弁護士に相談・依頼するメリットについては、以下のページで詳しく解説しています。ぜひご参考ください。

交通事故の弁護士費用特約については、以下のページで詳しく解説しています。ぜひご参考ください。

過失割合の変更は可能?10対0を主張したいときはどうする?

相手方保険会社に過失割合「8対2」や「7対3」と提示された場合でも、修正要素によって変更できる可能性があります。

過失割合の修正要素とは?基本過失割合を加算・減算する要素で、「夜間」「視界不良」など実際の事故時の状況や、被害者の状況、加害者の過失の程度などを考慮して双方の過失割合を調整します。

修正要素を主張したい場合は、その根拠を裏付ける証拠を提示し、交渉していく必要があります。

どのような証拠があるのかといった点や、示談交渉については弁護士への相談をおすすめします。

弁護士の交渉により過失割合7対3を10対0に修正し、適正な示談金が支払われた事例

事案の概要

追突事故にもかかわらず、相手方保険会社は依頼者の過失が3割あると主張している事案です。

  • 相手方保険会社の主張 →依頼者が割り込みをしたうえ、急ブレーキを踏んだ
  • 依頼者の主張 →普通に車線変更をしたあと、信号で停車したところ追突された

依頼者は、相手方の主張や過失割合に納得できず、当事務所に依頼されました。

担当弁護士の活動

担当弁護士は、まず依頼者・相手方車両の損傷状況を確認しました。
次に、刑事記録を取得すると、防犯カメラ映像に関する捜査報告書が作成されており、車線変更前の両車両の位置関係について記載があり、依頼者が急な割り込みをしていないことは明らかでした。

解決結果

上記の証拠をもとに、相手方保険会社と交渉した結果、依頼者の過失が3割から0に変更され、修理費など適正な示談金を支払ってもらうことができました。

過失割合が10対0の場合は交通事故に強い弁護士にご相談ください

過失割合10対0の事故では、被害者に事故の責任がないため、有利に示談交渉を進められると思われる方もいらっしゃいます。

しかし、被害者に過失のない事故では、保険会社の示談交渉サービスが使えず、被害者本人が相手方保険会社と交渉していかなければならないなど、負担も多くなってしまいます。

こうした負担を軽くするためにも、被害者に過失のない事故は弁護士にご相談ください。

弁護士に依頼することで、示談交渉を任せられるだけでなく、弁護士基準での交渉によって、損害賠償金が増額する可能性が期待できます。

弁護士法人ALGでは、交通事故に詳しい弁護士がご相談者様のお悩みを丁寧にヒアリングし、解決できるよう尽力いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。

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※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。 ※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください
料金について、こちらもご確認ください。
  • ※諸経費20,000円( 税込22,000円 )がかかります。
  • ※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合
  • ※事案によっては対応できないこともあります。
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弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治
監修 :福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

福岡県弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名を擁し()、東京、を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。