後遺障害の認定期間は?時間がかかる理由や最短にするポイントなど

交通事故のケガが治療を尽くしても完治せず、後遺症が残ってしまった場合、後遺障害等級認定を申請することになります。
後遺障害の認定が受けられると、後遺症によって生じた損害に対する賠償金を請求することができるので、一刻も早く後遺障害の認定を受けたいとお考えの方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、後遺障害の認定期間について、結果がわかるまでに時間がかかる理由や、認定期間を最短にするポイントなどを解説していきます。
これから後遺障害の認定を受けようとされている方も、すでに申請して結果がいつわかるか不安に感じている方も、ぜひ参考になさってください。
目次
後遺障害の認定期間はどのくらい?
後遺障害の認定期間は、申請から調査が完了するまでに30日~60日程度かかることが多いです。
損害保険料率算出機構の統計によると、2022年度に自賠責損害調査事務所にて後遺障害の損害調査に要した日数は、受付から30日以内が73%と最も多く、60日以内の人を合わせると87%という結果になりました。
認定期間 | 割合 |
---|---|
30日以内 | 73.7% |
31日~60日 | 14.0% |
61日~90日 | 6.7% |
90日以上 | 5.6% |
この統計からもわかるように、ほとんどの方は後遺障害の申請から60日以内に結果が出ていることになります。
とはいえ、あくまで平均的な目安の期間にすぎないので、後遺症の内容や程度によっては審査に時間がかかり、結果がわかるまでに半年~1年以上かかるケースもあります。
後遺障害申請から認定までの流れ
交通事故が起きてから後遺障害が認定されるまでの流れを、簡単に紹介します。
- 医師に症状固定と診断されるまで治療を継続する
- 後遺障害診断書を医師に作成してもらうなど、必要書類を準備する
- 加害者側の任意保険会社に必要書類を提出する
- 保険会社が提出した書類をもとに自賠責損害調査事務所で審査が行われる
- 保険会社を経由して後遺障害等級認定の結果が通知される
このように、加害者側の任意保険会社を通して申請する方法を事前認定といいます。
事前認定のほかに、被害者ご自身が直接申請する被害者請求という方法もあります。
後遺障害の2つの申請方法については、以下ページで詳しく解説していますのであわせてご参考ください。
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後遺障害認定に時間がかかる理由
後遺障害は、早ければ60日以内に結果が通知されます。
もし、後遺障害等級認定の申請をしてから60日以上経っても結果が通知されない場合は、次のような事情で審査に時間がかかっていると考えられます。
- 保険会社の手続きが遅れている
- 提出書類に不備がある
- 病院の医療照会が進んでいない
- 審査が長引きやすい後遺症が残った
以下、詳しくみていきましょう。
保険会社の手続きが遅れている
保険会社の手続きが遅れていて、後遺障害の認定に時間がかかっている可能性が考えられます。
保険会社の担当者は、同時に多くの事故案件を対応していることが珍しくありません。
そのため業務が滞っていて、調査事務所への書類提出が後回しになってしまうケースがあります。
とくに、加害者側の任意保険会社を通して申請する事前認定の場合、申請に必要な書類のほとんどを保険会社側が用意することになるため、より手続きに時間がかかる傾向にあります。
提出書類に不備がある
提出書類に不備があって、後遺障害の認定に時間がかかっている可能性も考えられます。
後遺障害認定の審査の多くは、提出された書類に基づいて行われます。
そのため提出書類に不備があると、訂正や追加提出を求められることにより、書類の準備や提出の時間が余分にかかってしまうため、審査が長引く原因になります。
提出書類の不備は、審査に時間がかかるだけでなく、適切な等級認定を得られなくなるリスクもあるので注意しましょう。
病院の医療照会が進んでいない
病院の医療照会が進んでいないことで、後遺障害の認定が遅れている可能性も考えられます。
医療照会とは、被害者の後遺症の症状や所見、治療経過について、医師に対して書面で回答を求めることをいいます。
提出書類だけでは後遺障害の判断が難しいケースや、異議申立てによる再審査において医療照会が行われることがあります。
医療照会で医師からの返答が遅れていると、その間は待つしかないので審査が進まず、認定に時間がかかってしまいます。
審査が長引きやすい後遺症が残った
後遺症の症状が複雑だったり、複数の後遺症があったりすると、認定期間が長引く傾向にあります。 とくに審査が長引きやすいケースと、その理由は次のとおりです。
高次脳機能障害は時間経過とともに症状が軽減していく傾向があるので、そもそも症状固定診断までに時間がかかります。
また、症状が多岐にわたるので資料も多いことや、ほかの後遺症とは異なる専門の審査が必要になることから、認定期間が長引きやすいです。
外貌醜状では、ほかの後遺症では通常行われない面接が行われるため、その分認定までに時間がかかります。
複数の後遺症がある場合は、それぞれの後遺症ごとに審査を行ったうえで総合的な判断がなされるため、後遺症が多いほど認定までに時間がかかります。
後遺障害認定が遅い場合の対処法
後遺障害の認定が遅いと感じた場合に、被害者の方がとれる2つの対処法をご紹介します。
- 保険会社に状況を確認する
- 被害者請求に切り替える
いずれの方法も必ず認定が早まるとはかぎりませんが、試してみる価値はあります。
以下、詳しくみていきましょう。
保険会社に状況を確認する
保険会社に書類を提出してから2ヶ月以上なにも連絡がない場合は、まずは保険会社に進捗状況を確認してみましょう。
調査事務所への提出が遅れている場合、保険会社に問い合わせることで優先して対応してもらえる可能性がありますし、状況を確認することで安心して待つことができます。
もっとも、保険会社から調査事務所へ書類が提出されていて、審査がすでにはじまっている場合は、保険会社で対応してもらえることはないので、審査が終わるのを待つことになります。
被害者請求に切り替える
事前認定で後遺障害の認定に時間がかかっている場合は、被害者請求への切り替えを検討しましょう。
後遺障害等級認定の申請は、事前認定から被害者請求へ切り替えることができます。
加害者側の任意保険会社を通して申請したものの、保険会社の対応が遅く、手続きが滞っていて時間がかかるようであれば、被害者請求に切り替えてご自身主導で手続きを進めた方が、結果的に後遺障害の認定を早められる可能性があります。
被害者請求の場合、ご自身で申請書類を集める必要があるので、手続きに不安のある方は、一度弁護士に相談することをおすすめします。
被害者請求を弁護士に依頼するメリットについて、以下ページで詳しく解説していますのであわせてご参考ください。
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- 料金について、こちらもご確認ください。
-
- ※諸経費20,000円( 税込22,000円 )がかかります。
- ※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合
- ※事案によっては対応できないこともあります。
- ※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。
後遺障害の認定期間を最短にするポイント
後遺障害の認定期間を最短にするポイントを2つご紹介します。
- 最初から被害者請求で申請する
- 弁護士に依頼する
いずれも被害者ご自身でとれる対処法になるので、次項で詳しくみていきましょう。
最初から被害者請求で申請する
これから後遺障害等級認定を申請する方は、最初から被害者請求で申請することで、保険会社の対応を待つ時間を短縮できます。
被害者請求ではご自身で申請書類を準備・提出するので、保険会社による書類の提出遅れを回避できます。
また、後遺障害の認定に有効な証拠・資料をご自身で集めて提出できれば、納得いく結果が得られやすくなるので、審査や異議申立てにかかる時間を短縮できる可能性があります。
弁護士に依頼する
弁護士に依頼することで、後遺障害の申請手続きをスムーズに進めてもらえることから、認定期間の短縮が期待できます。
後遺障害の申請について経験・知識が豊富な弁護士であれば、煩雑な被害者請求の手続きをすべて任せることができます。
等級認定に備えた検査・通院の仕方、後遺障害診断書の内容のほか、事前認定で等級認定が見込めそうかもアドバイスが受けられるので、期間短縮だけでなく、被害者の方の負担軽減にもつながります。
なお、弁護士であれば弁護士基準で慰謝料請求することができるので、後遺障害が認定されなかった場合でも慰謝料の増額が見込めるというメリットもあります。
後遺障害に強い弁護士の探し方やメリットについては、以下ページで詳しく解説していますのであわせてご参考ください。
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- ※諸経費20,000円( 税込22,000円 )がかかります。
- ※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合
- ※事案によっては対応できないこともあります。
- ※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。
後遺障害の認定期間が長引きそうなときの注意点
後遺障害の認定期間が長引きそうなとき、次の事柄に注意しましょう。
- 損害賠償の請求には時効がある
- 安易に示談に応じない
後遺障害の認定期間が長引くと受け取れる損害賠償金に影響することがあるので、それぞれの注意点について次項で詳しくみていきましょう。
損害賠償の請求には時効がある
交通事故の損害賠償請求には時効があります。
- 人身事故(後遺障害なし):交通事故の翌日から5年
- 人身事故(後遺障害あり):症状固定の翌日から5年
時効が過ぎてしまうと、慰謝料を含めた損害賠償金を支払ってもらえなくなります。
後遺障害の認定期間が長引くと、示談交渉でつかえる時間が短くなるので、注意しなければなりません。
時効が迫っている場合には、時効の更新や完成猶予の措置をとることで、時効の完成を遅らせることができます。
後遺障害の認定に時間がかかりそうな場合は、認定に対する対策とともに、時効に対する対策も講じる必要があるので、一度弁護士に相談してみましょう。
交通事故の示談にかかる期間については、以下ページで詳しく解説していますのであわせてご参考ください。
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安易に示談に応じない
後遺障害の認定に時間がかかっているからと、焦って示談に安易に応じないようにしましょう。
示談が成立すれば賠償金を受け取れますが、後遺障害が認定されたかどうかで金額は大きく変わります。
一度成立した示談は基本的にやり直すことも、追加で損害賠償請求することもできません。
「経済的に苦しいから」や「相手方から示談交渉を進められたから」などの理由で、後遺障害が認定されるかわからない状態で安易に示談に応じてしまうと、本来受け取れるはずの賠償額よりずっと低額になるおそれがあるので、後遺障害の認定期間が長引いてお困りの方は、一度弁護士に相談してみましょう。
詳しくは以下のページをご覧ください。
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後遺障害認定を最短で受けたい・手続きの負担を軽減されたい場合は弁護士にご相談ください
後遺障害の認定に時間がかかると、賠償金の受け取りが遅れてしまい生活に影響することも少なくありません。
手続きが進められず焦ってしまうと、不利な結果となるおそれがあるため、「後遺障害の認定に時間がかかっている」と感じたら、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人ALGでは、これまで数々の交通事故問題に取り組んだ実績があり、後遺障害の認定に関する知識・経験が豊富な弁護士も多く在籍しています。
後遺障害の認定期間が長引いているときの対処法はもちろん、これから後遺障害の認定を最短で受けたいとお考えの方に向けてもアドバイス・サポートが可能です。
後遺障害の認定申請をどのように進めればよいか迷ったら、ぜひ私たちにご相談ください。
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