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交通事故による怪我の中でも、特に多いのがむちうちです。首に強い衝撃が加わることで起こるこの症状は、軽い痛みから神経に影響を及ぼす重い症状まで幅広いケースがあります。
事故直後は痛みや違和感を感じにくいこともあり、発見が遅れることも少なくありません。また、むちうちの治療や通院の状況は、慰謝料などの損害賠償額に大きく影響します。
適切な対応をするためにも、正しい知識を持っておくことが大切です。
この記事では、むちうちの主な症状や治療方法、慰謝料の相場など、事故後に知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。
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目次
交通事故でよく見られる怪我のひとつでもあるむちうちは、首に不自然な力が加わることで起こる頚椎捻挫や外傷性頚部症候群のことを指します。
衝撃により首がムチのようにしなることから「むちうち」と呼ばれていますが、これは正式な診断名ではありません。
むちうちは、追突事故などの衝撃によって起こることが多く、事故直後は痛みを感じにくい場合もあります。症状が数時間から翌日に現れることもあるため、注意が必要です。
主な症状には、以下のようなものがあり、中には神経に影響が出るケースもあります。
むちうちは、一般的に3ヶ月から半年ほどで治るとされていますが、症状が長引くと後遺症が残ることもあります。そのような場合には、後遺障害等級認定を受けることで、適切な損害賠償を請求することが可能になります。
交通事故に遭った直後は痛みがなくても、整形外科を受診するようにしましょう。むちうちは首の捻挫だけでなく、神経や靭帯、さらには脳にまで影響が及ぶことがあるため、専門的な検査が必要です。
骨折の有無を確認するためにはレントゲン検査が必須であり、神経や靭帯の異常を調べるにはMRI検査が有効です。これらの検査結果は、今後の治療方針を決めるだけでなく、損害賠償の請求や後遺障害等級の認定にも重要な資料となります。
事故後の初期対応が、今後の補償に大きく影響します。少しでも違和感がある場合はもちろん、症状がなくても早めに整形外科を受診することが大切です。
むちうちで首に痛みやしびれなどの症状があるとき、整骨院での施術を希望される方も多いかと思います。しかし、まずは整形外科で医師の診断を受けることがとても重要です。
整骨院では、医師ではなく柔道整復師が施術を行うため、診断書を作成することができません。その結果、損害賠償の請求や後遺障害等級認定申請に必要な書類が揃わず、適切な補償が受けられなくなる可能性があります。
整骨院に通いたい場合は、まず医師の診断を受け、許可を得たうえで通院するようにしましょう。また、整形外科での継続的な診療も並行して行うことが大切です。診療記録が不十分だと、後遺症が残った際に、補償が認められにくくなることがあります。
整骨院への通院については、以下のページで詳しく解説しています。
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交通事故によるむちうちの治療は、レントゲンやMRI検査で状態を確認したうえで、決められます。
むちうちの治療法として、次にあげる方法が主なものとなります。
では、それぞれどのような方法なのか、具体的に見ていきましょう。
むちうちの治療では、痛みや炎症を抑えるために、消炎鎮痛剤(ロキソニンなど)や筋弛緩薬が処方されることがあります。これらの薬は、首周辺の筋肉の緊張を緩和し、神経の圧迫による痛みやしびれを軽減する効果があります。
併せて、湿布や外用薬を使用することで、患部の炎症を抑え、血流を促進し回復を助けます。特に治療の初期段階では冷却湿布が有効で、炎症が落ち着いた後は温感タイプの湿布が使われることもあります。
むちうちによる強い痛みが続く場合、神経の興奮を抑えるためにブロック注射が行われることがあります。これは、痛みの原因となる神経周辺に麻酔薬を注入し、痛みの伝達を遮断する治療法で、即効性が期待できます。
また、首の安静を保つためには頚椎カラー(コルセット)などの装具を使用します。これにより、首の動きを制限し、炎症の悪化を防ぎながら回復を促します。
むちうちの治療では、炎症が落ち着いた後に理学療法が行われることがあります。
理学療法には、温熱療法や電気刺激によって血流を促進し、痛みや筋肉の緊張を緩和する効果があります。また、牽引療法で首の骨の間隔を広げて神経の圧迫を軽減したり、運動療法で可動域の改善や筋力の回復を図ることも可能です。
これらの治療は、症状の程度や回復状況に応じて段階的に進められ、一般的には3ヶ月程度の通院で多くの方が改善に向かうとされています。
むちうちの平均的な通院期間は、3ヶ月程度とされています。
ただし、個人差があるためこの目安がすべてではありません。
症状が軽い場合は、1~2ヶ月の通院で完治することが多いです。
一方、重症や神経症状を伴う場合は、6ヶ月以上の通院が必要となることもあります。
むちうちの通院は、医師から完治または症状固定(これ以上治療を続けても改善が見込めない状態)と診断されたタイミングで終えるのが通常です。
まずは主治医の指示に従い、適切な治療を受けて完治を目指しましょう。症状固定後も後遺症が残っている場合は、後遺障害等級の申請を検討することになります。
交通事故でむちうちを負った場合、以下のような損害賠償金を請求できる可能性があります。
ここからは、それぞれについてどのような補償なのか、詳しく解説します。
むちうちの治療のために医療機関に支払った費用を治療費として請求できます。
診療費や入院費、投薬料、レントゲンやMRIの検査料など、必要かつ相当な実費全額の支払いを受けられます。ただし、整骨院や接骨院での施術費については、医師の同意など一定の要件を満たした場合に限り治療費として認められる可能性があります。
治療費については、加害者側保険会社が直接病院に支払う一括対応がされることが多いです。
医療機関に通院するためにかかった交通費も請求できます。
電車やバスなど公共交通機関を利用したときは、支払った運賃の支払いを受けられます。
また、自家用車で通院した場合も、基本的に1kmあたり15円で計算したガソリン代や、駐車場代を請求できます。
ケガで移動が難しいなど必要性が認められれば、タクシー代の支払いも受けられる場合がありますが、あらかじめ保険会社に連絡して確認することをおすすめします。
交通事故による怪我で入院した場合、入院雑費として日用品や生活必需品の購入費などを損害賠償として請求できます。これは治療費とは別枠で認められる費用であり、例えば洗面用具、衣類、タオル、飲料など、入院生活に必要な物品の購入費が対象です。
入院雑費は1日あたり定額(通常1100円程度)で算定されるのが一般的です。入院期間が長くなるほど金額も増えるため、忘れずに申告しましょう。
休業損害とは、むちうちの治療のために仕事を休んだ期間の収入減の補償です。
職業や収入、休業日数などによって金額が変わり、治療のために有給休暇を使った場合でも請求できます。休業損害は会社員やアルバイト、自営業者など働いている人だけでなく、専業主婦も家事労働をお金に換算して請求可能です。
また、学生でもアルバイトをしていて現に収入が減ったり、留年や内定取り消しによって就職時期が遅れたといった事情が認められれば請求できる場合があります。
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むちうちで請求できる可能性のある慰謝料には、以下の2つがあります。
慰謝料算定には自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3種類があり、最も高額になるのは弁護士基準です。
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後遺障害逸失利益とは、交通事故による後遺障害によって失われた将来の収入を補償するものです。
後遺障害が残ると事故前と同じく体を動かせなくなり、収入も下がると想定されます。このような失われた将来の収入をカバーするのが逸失利益です。
むちうちによる後遺症が後遺障害等級として認定された場合に、後遺障害の程度や労働能力の低下に応じて請求することができます。
会社員やアルバイト、自営業、専業主婦などだけでなく、子供や学生でも請求が可能です。
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交通事故でむちうちになった場合、治療費だけでなく以下の2つの慰謝料も損害賠償の対象となります。
ここでは、それぞれの慰謝料の相場や算定基準、請求時の注意点について詳しく解説します。
むちうちの慰謝料については、以下のページで詳しく解説しています。
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入通院慰謝料は、基本的に、治療期間の長さに比例して高額になります。例えば、慰謝料算定基準として弁護士基準を使うと、通院3ヶ月なら53万円、通院6ヶ月なら89万円が相場になります。
また、レントゲンやMRI画像などで、首に異常があり、痛みなどの症状を裏付ける他覚所見が確認できたときは更に高額になります(画像所見ありで通院6ヶ月:116万円)。
通院期間が6ヶ月程度になってくると、後遺障害等級に認定される可能性があります。むちうちに最も多い14級であれば、後遺障害慰謝料として110万円が見込まれます。
| 入通院慰謝料の相場 | |
|---|---|
| 1ヶ月通院 | 19万円 |
| 2ヶ月通院 | 36万円 |
| 3ヶ月通院 | 53万円 |
| 4ヶ月通院 | 67万円 |
| 5ヶ月通院 | 79万円 |
| 6ヶ月通院 | 軽症:89万円 重症:116万円 |
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後遺障害慰謝料は、後遺障害等級が認定された場合に請求できます。むちうちは、後遺障害等級12級13号または14級9号に認定される可能性があります。
以下の表では、後遺障害等級12級13号と14級9号の場合の、弁護士基準の後遺障害慰謝料の相場を表にしています。
| 後遺障害慰謝料の相場 | |
|---|---|
| 12級13号 | 290万円 |
| 14級9号 | 110万円 |
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交通事故で怪我を負うと、治療費の支払いは、相手方保険会社が一括して対応してくれることが多いです。
しかし、一定期間を過ぎると、保険会社から「そろそろ治療は終わりにしませんか?」と治療費の打ち切りを打診されたり、実際に打ち切られてしまうことがあります。
なぜなら、保険会社は自社の損失を少なくしたいと考えているからです。治療期間が短くなると、それだけ治療費を最低限におさえることができ、入通院慰謝料の金額も減ります。
後遺障害等級も認定されにくくなるため、治療開始から3ヶ月ほどで治療費打ち切りの打診が入るケースも多くあります。
また、通院頻度が少なすぎると、軽症と判断されてしまいますし、通院頻度が多すぎても、過剰治療として、早めに治療費の打ち切りを打診される可能性があるため、注意してください。
通院頻度は医師の判断に沿って適切な回数で通院しましょう。
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交通事故によるむちうちでは、保険会社から治療費の打ち切りを打診されることがあります。特に以下のようなケースでは、打ち切りの可能性が高まります。
通院回数が極端に少ない場合通院頻度が低いと、症状が軽いと判断されやすく、保険会社から治療費の打ち切りを打診される可能性が高まります。
ごく軽度な処置のみで治療が完了している場合湿布やマッサージなど簡易な処置だけだと、治療の必要性が低いと見なされ、早期に打ち切られることがあります。
車両などの損傷がほとんど確認できない程度の事故の場合物損が軽微だと、怪我も軽いと判断されやすく、定期的な通院がないと治療継続の正当性を疑われることがあります。
被害者側の感情的な主張が過度になっている場合感情的な言動は、保険会社との信頼関係を損ね、交渉が不利になる可能性があります。その結果、治療費の打ち切りにつながることもあります。
保険会社から治療費を打ち切られた場合の対処法は次のとおりです。
医師の協力を得る主治医に診断書や意見書を作成してもらい、治療継続の必要性を主張します。
弁護士に相談する医学的な観点だけでなく、法律的な観点からも治療継続の必要性を訴えて保険会社と交渉可能です。
健康保険で治療を続ける健康保険を利用し治療を継続します。打ち切り後の治療と事故との間に因果関係が認められれば、立替えた治療費は後日請求できます。
加害者側の自賠責保険に被害者請求する被害者請求すれば、傷害分の補償限度額120万円の範囲内で、示談成立前に立て替えた治療費を回収できます。
自分の保険を使う搭乗者傷害保険や人身傷害補償保険等に加入していたら、治療費の支払いが受けられる可能性があります。
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むちうちで後遺症が残った場合は、医師に後遺障害診断書を作成してもらい、後遺障害等級認定申請の手続きをしましょう。審査の結果、等級が認定されると、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求することが可能になります。
ただし、むちうちでは画像所見が得られにくく、非該当や低い等級になるケースも少なくありません。適正な認定を受けるためには、後遺障害に強い弁護士に相談することを強くおすすめします。
| 後遺症 | 症状 |
|---|---|
| 頚椎捻挫型 | 首の捻挫や、首周辺のコリ、痛み |
| バレリュー症状型 | 首の神経が傷つき、めまい、耳鳴り |
| 神経根症状型 | 首の神経根へ負荷がかかって痺れが残る |
| 脊髄症状型 | 脊髄損傷による歩行障害で、非常に重症となる |
| 脳脊髄液減少症 | 脳髄液が漏れ出す |
以下のページで詳しく解説しています。
むちうちで後遺障害等級を獲得するには、まず、治療の継続が重要です。一般的にむちうちで後遺障害等級の認定が見込まれるのは、通院期間6ヶ月程度といわれます。
治療実績が乏しいと、症状を軽くみられて非該当になる可能性が高くなりますので、症状固定までしっかりと通院しましょう。
そして、等級認定に必要な後遺障害診断書に、自覚症状や画像所見、神経学的検査所見がしっかりと記載されていることも重要です。
ただし、むちうちは画像所見で異常を確認できないことが多いので、その分、検査結果の記載や自覚症状の具体性が重要になります。
自覚症状はしっかりと主治医に伝えるようにして下さい。
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むちうちで後遺障害等級非該当との認定になる原因として、以下の3つが挙げられます。
事案の概要依頼者車両が道路を走行中、前方からセンターラインをオーバーした相手方車両と衝突した事故です。この事故により、依頼者はむちうちなどの怪我を負いました。
相手方保険会社より後遺障害等級14級9号に該当することを前提として、約175万円を支払うという賠償案の提示を受けましたが、提示された賠償額が適切なのか分からず、当事務所に依頼されました。
担当弁護士の活動担当弁護士が相手方保険会社の賠償案を精査したところ、提示金額が非常に低額なものであることが分かりました。そのため、それぞれの項目について当方主張の損害額が認められるべきであることを主張して粘り強く交渉しました。
結果その結果、慰謝料は一部譲歩しましたが、各項目で大幅に増額交渉に成功し、最終的には当初の相手方提示額と比較して2倍程度増額した約340万円で示談することができました。
交通事故に最も多くみられる、むちうちについてご紹介しました。むちうちと一言で言っても、事故態様や治療内容など、その状況によって取るべき対応は様々です。
後遺障害の等級認定も、他覚的所見が得られにくいので非常にやっかいです。気を付けないと、損害を低く見積もられやすい傷病といえるでしょう。
しかし、保険会社は交通事故の交渉を日々行っているプロですので、専門知識がない状態で、十分な対応をとることは不可能といえます。
早い段階で専門家に相談すれば、治療に専念しながら、適切なアドバイスを受けることもでき、示談交渉で適正な額を主張することができるでしょう。
交通事故に遭われたら、まずは弁護士へご相談されることを強くお勧めします。
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