40代で離婚を決意したら|必要な準備や気を付けるべきことは?

40代といえば公私ともに多くの経験を積み、今後の人生について考える機会が増える世代です。
仕事が安定したり、子育てがひと段落したりして、これからの人生について考えた結果、離婚を決意される方も少なくありません。
なかでも、婚姻期間をある程度重ねてきた40代では、子供の独立や経済的な不安を理由とした離婚が目立ちます。
この記事では、40代で離婚を決意したときに必要な準備や気を付けるべきことを解説していきます。
離婚を決意してから離婚するまでの流れも紹介していきますので、ぜひ参考になさってください。
目次
40代が離婚を考える理由
厚生労働省の人口動態統計によると、2022年に離婚した夫婦17万9099件のうち、40代男性が5万155件で全体の約28%を占めて最も多く、40代女性が4万8700件で全体の約27%を占める結果となりました。
40代で離婚する割合は、かなり高くなっています。
2022年に離婚した夫婦(17万9099件)の年代別離婚件数 | |
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<夫>
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<妻>
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日本の離婚率(人口千人あたりの離婚した人の数)は1.47でした。
40代に多い離婚理由は次のとおりです。
- 子供の独立
- 人生をやり直したい
- 収入や老後の資金に不安がある
- 子供や介護についての価値観の違い
- モラハラ・DVがある
- セックスレス
これらの離婚理由について、次項より解説します。
子供の独立
婚姻期間をある程度重ねてきた40代では、子供の独立を理由に離婚する夫婦も多く見受けられます。
子供が成人を迎えたり就職したりして独立すると、「子供が幼いから」と我慢していた方も離婚に踏み切りやすくなります。
また、子供がある程度成長して子育てがひと段落すると、社会復帰して離婚後の経済的不安が軽減されることも離婚の後押しになります。
人生をやり直したい
40代は公私ともにやり直しのチャンスがあることから、「人生をやり直したい」と考えて離婚を決意される方もいます。
40代になると仕事が安定し、子育てもひと段落することで、自分の人生を見つめ直す機会が増えるため、「仕事や趣味に集中したい」、「もっと自分らしく生きたい」と離婚に至るケースが少なくありません。
その結果、離婚してよかったと感じる方の声も多く聞かれます。
夫婦に子供がいない場合は、「再婚や出産のチャンスがあるうちに」と、40代での離婚を決意するケースも見受けられます。
収入や老後の資金に不安がある
40代は老後を意識しはじめるタイミングでもあり、将来の生活資金や介護費用といった経済的な不安を感じて離婚に踏み切る方もいます。
「夫(妻)の収入が増えない」、「夫(妻)の浪費が激しい」といった場合、貯金ができないことによる危機感から離婚を考える方も少なくありません。
40代の夫がリストラされて再就職に不安があったり、夫よりも妻の収入の方が多かったりすると、「離婚した方が経済的に楽になる」と考え、離婚に至るケースも見受けられます。
子供や介護についての価値観の違い
価値観の違いは世代や性別を問わず最も多い離婚理由ですが、40代夫婦の場合も同様で、子供の教育方針や、家族の介護に対する考え方にずれが生じて離婚を考え始める方もいます。
40代夫婦の場合、子供の受験・進学や習い事といった教育方針について、価値観の違いからずれが生じやすい傾向にあります。
また、自分や相手の親が高齢になって介護や同居が必要になったことをきっかけに価値観の違いが浮き彫りになって夫婦関係が悪化するケースもあります。
こうした価値観の違いから一緒に暮らすことが難しくなって、離婚へと至る40代の夫婦が少なくありません。
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モラハラ・DVがある
夫(妻)のモラハラやDV(家庭内暴力)を理由とした離婚は40代に限ったことではありませんが、「我慢の限界」、「子供が自立して我慢する必要がなくなった」といった理由から離婚に至るのが40代夫婦の特徴です。
結婚したばかりの頃や子供が幼い間は我慢できていても、子供の自立をきっかけに離婚に踏み切る方や、年月の経過にともない酷くなったモラハラやDVに耐えられなくなって離婚する方がいます。
ほかにも、管理職となった40代の夫(妻)から日常的にモラハラ・DVを繰り返されるようになって離婚に至ったケースもあります。
配偶者のモラハラやDVを理由に離婚を検討されている方は、以下ページもご参考ください。
セックスレス
40代になると、夫婦間のセックスレスが深刻な悩みとなり、離婚を考えるようになる場合があります。
セックスレスとは、パートナー間で1ヶ月以上性交やそれに類する行為がない状態を指します。
40代の夫婦では、性的な欲求が低下することや、マンネリになって性交を楽しめなくなること等の影響で、一方だけがセックスレスを望むようになり、夫婦間に対立が生じやすくなります。
セックスレスは婚姻を継続し難い重大な事由として、法定離婚事由に該当する可能性があります。特に、正当な理由なく性交渉を拒否し続け、夫婦関係が破綻している場合には、裁判で離婚が認められるケースもあります。
セックスレスを理由として離婚した場合の慰謝料について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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40代で離婚を考えたときに準備すべきこと
40代で離婚を考えたときに準備すべきことは、主に以下の3つです。
- 離婚後および老後の生活設計の見直し
- 仕事を始める・増やす
- 貯金なしの離婚は不安が大きいため備えをしておく
40代の離婚では離婚後、経済的に困窮するケースも多いので、事前の対策が必要です。
準備すべきことについて、次項より解説します。
離婚後および老後の生活設計の見直し
離婚後や老後の生活設計を見直して、どのくらいのお金が必要になるのか確認しておきましょう。
40代の場合、親も高齢になっていて経済的援助を期待できないことが多いです。
自分だけの収入で生活していくことを想定して、次に挙げるポイントを踏まえながら離婚後や老後の人生設計を見直しましょう。
- 離婚後の住居や収入をどうするのか
- 毎月いくらくらい支出があるのか
- 子供の養育費はいつまで支払ってもらえるのか
- 老後を安心して暮らすためにはどのくらいの貯蓄が必要なのか
- 何歳まで働く必要があるのか
なお、離婚後や老後の経済的な不安を軽減するために、離婚するにあたって財産分与や年金分割などでどのくらい受け取れるのか見通しを立てておくことも大切です。
仕事を始める・増やす
専業主婦(夫)の方や配偶者の扶養範囲内で仕事をしている方は、仕事を始めたり、勤務形態を変えたりして、離婚後の生活費を確保するために早めに行動しましょう。
離婚後、相手から養育費や慰謝料を受け取れるとしても、不払いが発生したときに備えてご自身で収入を確保しておく必要があります。
離婚後に仕事を探すことは可能ですが、40代では再就職の難易度が高くなる傾向があるため、早めの準備が重要です。
貯金なしの離婚は不安が大きいため備えをしておく
離婚にはある程度まとまったお金が必要になるので、事前に貯金をしておくことが大切です。
離婚するにあたって必要になる費用は次のとおりです。
- 離婚の手続きに必要な費用
- 引っ越し費用(敷金・礼金または保証金、仲介手数料、家具家電の購入費用など)
- 離婚後の生活費(家賃、水道光熱費、食費など)
- 弁護士に依頼する場合の弁護士費用
ただし、へそくりも財産分与の対象となる可能性があるため注意が必要です。
別居中に貯めた貯金は財産分与の対象に含まれませんが、離婚前に結婚生活の中で貯めた貯金は、離婚する準備のためのお金であっても財産分与の対象になってしまいます。
とはいえ、相手の財産が多い場合には最終的に獲得できる金額が増える可能性はあるので、離婚前に貯金をしておくことは非常に大切です。
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40代で離婚する際に決めるべきこと
40代で離婚する際に決めるべきことは次のとおりです。
- 親権
- 養育費
- 面会交流
- 財産分与
- 婚姻費用
- 年金分割
- 慰謝料
婚姻期間を重ねてきた40代が離婚する場合、子供がある程度大きくなっていたり、財産分与の対象となる、夫婦で築いた財産が高額になるなど、注意すべきことがあります。
親権
親権とは、未成年の子供の監護・教育を行ったり、子供の財産を管理したりする権利や義務のことです。
現状、日本では離婚後の親権は、父親と母親いずれかの単独親権となるため、40代夫婦に未成年の子供がいる場合は、どちらが親権者になるのかを決めなければなりません。
夫婦間の話し合いで決まらない場合は、調停や審判で親権者を決めることになります。
審判では、子供の監護実績のある母親が有利になることが多いです。
もっとも、子供が15歳以上の場合は子供の意見を聴取することが法律で定められています。
そのため、親が40代だと子供が中学生や高校生になっていて、子供本人の意思で親権が決まることが多いです。
親権について詳しく解説している以下ページもご参考ください。
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養育費
養育費とは、子供を監護・教育するために必要な費用のことです。
40代夫婦の場合、子供の受験や進学のほか、部活や習い事などにも費用がかかるため、養育費の金額が問題になりやすいです。
ほかにも、子供がある程度大きくなっていて、養育費の支払期限について揉めるケースもあります。
養育費の支払いは子供の自立が見込める20歳までとすることが多いですが、大学に進学しているなどで社会的・経済的に自立していない未成熟子の場合は、養育費の支払い期間の延長や増額が問題になることもあります。
養育費にどこまで含めるのか、支払期限はいつまでなのか、金額や支払方法はどうするのか、夫婦で話し合って取り決めておきましょう。
取り決めた内容は、口約束ではなく強制執行が可能な公正証書に残すことで、不払いなどのトラブルを防ぐことができます。
養育費の相場や決め方については、以下ページもご参考ください。
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面会交流
面会交流とは、離れて暮らす親と子が定期的・継続的に交流することをいいます。
面会交流の方法や待ち合わせ方法、いつ、どこで、どれくらいの頻度・長さで面会するのかを、後々トラブルとならないように具体的に決めておき、合意内容を公正証書に残しておきましょう。
親権と同様に、子供が15歳以上の場合は面会交流についても子供本人の意思が尊重されます。
40代の夫婦が離婚するとき、子供が中学生・高校生であれば、子供の意思を確認しながら面会交流について取り決めることが大切です。
面会交流の決め方や決めておくべきルールについては、以下ページもご参考ください。
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財産分与
財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産を離婚時に公平に分け合うことです。
40代になるとマイホームや保険、住宅ローンなど、財産分与の対象は多岐にわたり、夫婦で築いた財産が高額になる傾向にあります。
公平な財産分与を行うためにも、対象になる財産を事前に把握しておき、どのように分け合うのかをしっかりと話し合いましょう。
なお、40代の離婚では、将来受け取れることが確実な場合を除き、退職金は財産分与に含めないのが一般的です。
離婚時の財産分与の対象になる財産や割合については、以下ページもご参考ください。
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婚姻費用
婚姻費用とは、夫婦や子供が社会生活を送るうえで必要な生活費のことです。
夫婦は法律上、婚姻費用を分担して経済的に助け合う義務を負っています。
離婚前に別居する場合、離婚が成立するまでの間は、収入の少ない側から収入の多い側に婚姻費用を請求することができます。
婚姻費用は原則として過去にさかのぼって請求することができないため、別居しながら離婚の準備を進めようとお考えの方は、別居後速やかに婚姻費用を請求するようにしましょう。
婚姻費用の相場や請求方法については、以下ページもご参考ください。
年金分割
年金分割とは、夫婦が婚姻中に協力して納めた厚生年金の保険料納付実績を離婚時に分け合うことです。
年金分割は、合意分割と3号分割の2種類があります。
- 合意分割:分割の割合を夫婦の話し合いによって決定する方法
- 3号分割:配偶者の扶養に入っていた3号被保険者に適用される方法
専業主婦の方や、相手より収入が少ない方は、年金分割を行うことで将来受け取れる年金に加算してもらえるため、忘れないようにしましょう。
なお、年金分割は離婚した翌日から2年が経過すると請求できなくなるため注意が必要です。
年金分割の手続きについては、以下ページもご参考ください。
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慰謝料
慰謝料とは、相手方の不法行為によって被った精神的苦痛に対する金銭的な補償のことです。
相手の不貞行為やDV・モラハラが原因で離婚する場合には、離婚原因を作った相手に対して慰謝料を請求することができます。
離婚の慰謝料の相場は200万円~300万円程度といわれていますが、不法行為の内容や悪質性など、さまざまな事情が考慮されて具体的な金額が決まります。
このとき、婚姻期間の長さもひとつの判断材料となるため、婚姻期間が長い40代の夫婦が離婚する場合、20代や30代の夫婦が離婚するときよりも慰謝料が高額になる可能性もあります。
離婚の慰謝料請求には不法行為を裏付ける証拠が必要になるため、しっかりと証拠を確保してから慰謝料を請求しましょう。
慰謝料の相場や必要な証拠については、以下ページもご参考ください。
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40代で離婚を決意してから離婚するまでの流れ
40代で離婚を決意してから離婚するまでの基本的な流れは、次のとおりです。
配偶者に離婚する意思を伝える
配偶者の財産の把握や慰謝料請求に必要な証拠収集などの事前準備が整ったら、離婚の意思を配偶者にはっきりと伝えます。
顔を合わせて直接伝えることが難しい場合は、電話や手紙、メール、LINEなどのツールを利用して伝える方法もあります。
まずは、夫婦で離婚や離婚条件について話し合う離婚協議を行います。
夫婦双方が合意できれば離婚が成立するので、合意内容を離婚協議書にまとめて公正証書化しておきましょう。
夫婦間の話し合いがまとまらない、あるいは相手が話し合いにすら応じない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てて離婚する方法があります。
調停委員を介した話し合いが行われ、夫婦双方が合意できれば調停調書が作成されて調停離婚が成立します。
調停離婚が不成立となった場合は、家庭裁判所に離婚の訴えを提起して離婚を認めてもらう必要があります。
夫婦双方の主張や立証などをもとに裁判所が離婚について最終的な決定を下します。
40代の離婚を弁護士に相談するメリット
40代の夫婦の場合、当然ながら老後の生活についても視野にいれて、慎重に離婚を検討しなければなりません。
そこで、40代で離婚を検討する際に弁護士に相談する主なメリットを2つ紹介していきます。
- 離婚手続きを任せることができる
- 有利な条件で離婚を進められる
なお、以下ページでは離婚に強い弁護士の探し方についても解説していますので、あわせてご参考ください。
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離婚手続きを任せることができる
弁護士に相談することで、離婚の手続きについてアドバイスが受けられるほか、離婚手続きを任せることもできます。
離婚は夫婦の話し合いによって成立させることも可能ですが、離婚を考えている相手との話し合いは難航することも多いです。
また、40代の夫婦の場合は仕事が多忙で話し合いに時間が取れないといったケースもあります。
弁護士であれば相手との交渉以外にも、調停や裁判の対応を任せることもできるので、ご自身は仕事や家事・育児に専念できてストレスから解消されるというメリットもあります。
有利な条件で離婚を進められる
弁護士に相談・依頼することで、ご自身にとって有利な条件で離婚を進められる可能性も高まります。
40代の夫婦が離婚する場合、子供のことやお金のことなど、さまざまな離婚条件を決める必要があります。
適切な離婚条件を定めるためには専門知識が必要になるため、相手との交渉を弁護士にサポートしてもらいましょう。
交渉が成立したら、法的効力のある公正証書の作成も任せることができるので、将来的に取り決めた約束が守られなかった場合でも安心です。
40代で離婚をお考えの方は弁護士法人ALGにご相談ください
どの年代にも共通することですが、安心して離婚後の生活を送るためには、事前の準備や有利な条件での離婚が欠かせません。
とくに40代夫婦の場合、親の介護や自分の老後も視野に入れて離婚後の生活を見直す必要があるため、経済的な不安から離婚に踏み切れずにいる方も多いのではないでしょうか。
婚姻期間が長く、子供が成長している場合は、離婚条件が複雑になりやすいため、少しでも不安や疑問がある場合は、早めに弁護士に相談してみましょう。
弁護士法人ALGでは、これまでにも40代の夫婦が抱えている問題解決に数多く携わってきました。
「今後の自分の人生をよりよくしたい」と離婚をお考えの方にとって最善の選択ができるように、弁護士がこれまでの経験をもとに、適切なアドバイスとサポートを提供いたします。
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保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)