モラハラ配偶者と別居する重要性と必要な準備について解説

モラハラは精神的な虐待であり、離婚原因のひとつです。
配偶者やパートナーからモラハラを受けている場合は、できるだけ早く別居することをおすすめします。
しかし、「別居を切り出すと配偶者からのモラハラがひどくなるのでは…」といった不安から別居に踏み切れない方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、モラハラ配偶者と別居する重要性や別居するために必要な準備などについて解説していきます。
配偶者からのモラハラにお悩みの方の参考になれば幸いです。
目次
モラハラ配偶者と別居する重要性
モラハラを受け続けると、うつ病や自尊心の喪失など、心身に深刻な影響が出ることがあります。
そのため、ご自身の心の健康のためにも、モラハラ配偶者と別居し、距離を置くことが重要です。
〈モラハラとは?〉
モラルハラスメントの略で、倫理や道徳に反した嫌がらせのことを指します。
具体的には、以下のような行為がモラハラに該当します。
- 暴言を吐く
- 行動を束縛する、監視する
- 無視し続ける
- 何を言ってもばかにする、嘲笑する
- 細かくミスを指摘する
- 家族や友人との付き合いをさせない
- 生活費を渡してくれないことがある など
モラハラ配偶者との別居は、ご自身だけでなく、子供の心身を守るためにも大切な選択です。
離婚をすぐに決断できなくても、まずは安全な距離を取ることが今後の人生を前向きに進めるための第一歩になります。
モラハラ被害者が別居を決意できない理由
配偶者からモラハラを受けていても、次のような理由から、なかなか別居に踏み切れない方もいらっしゃるでしょう。
- 自分は配偶者がいないと生きていけないと思っている
- 別居により相手を怒らせるのが怖い
- 経済的にやっていけるか不安
- 子供のために耐えた方がいい気がする
- 離婚する決心がついていない
こうした気持ちがある場合、その原因はモラハラをする配偶者の影響による可能性があります。
次項でそれぞれについて詳しく解説します。
自分は配偶者がいないと生きていけないと思っている
「お前は俺がいないと何もできない」「何も知らないお前のために教えてあげている」などモラハラ配偶者の巧みな言葉によって、被害者が一種の洗脳状態に陥っている可能性があります。
このため、「配偶者がいないと生きていけない」と思い込んでしまい、別居に踏みきれない方もいらっしゃいます。
しかし、あなたは何もできない人ではありません。
別居によってモラハラ配偶者から距離を取ることで、洗脳状態から脱出できるようになる方もいます。
別居により相手を怒らせるのが怖い
別居を決断できない理由として、「別居をすると、相手が何をするか分からず怖い」という思いもあるでしょう。
例えば、
- 居場所を見つけられ連れ戻されるのではないか
- 連れ戻されたらもっとひどいことをされるのではないか
などと考えてしまうのは当然の気持ちです。
しかし、モラハラ配偶者が怖いからこそ、別居をして身を守るべきです。
物理的に距離を取ることでモラハラ被害の危険性を大幅に軽減できます。
経済的にやっていけるか不安
モラハラ被害を受けている方が専業主婦(夫)やパート勤務の場合、経済的な不安から、すぐに別居という選択が難しいと感じる場合もあるでしょう。
しかし、別居中はまだ婚姻関係にあるため、配偶者に婚姻費用を請求できます。
〈婚姻費用とは?〉
夫婦や未成年の子供が、夫婦の収入や社会的地位に相応な生活をするにあたって必要な費用のことです。子供の有無に関係なく請求することができ、基本的には収入の高い方が低い方に支払います。
また、未成年の子供を連れて別居した場合、お住まいの自治体によっては公的支援が受けられる場合もあるので、事前に確認しておきましょう。
婚姻費用については、以下のページでも詳しく解説しています。
子供のために耐えた方がいい気がする
特に子供が小さい場合は、「子供のために両親がそろっていた方が良いのではないか」という思いから別居に踏み切れない方も多いでしょう。
また、モラハラの被害は自分だけで、子供にとっては良い親だという思いもあるかもしれません。
しかし、あなたがバカにされたり、人格を否定するような発言をされているのを日常的に目にすることは、子供にとっても幸せではありません。
また、両親の間でモラハラが行われていては、子供にとっては「モラハラが当たり前」となってしまいます。
人を見下したり、無視や暴言を吐いたりする行為に抵抗がなくなってしまう場合もあります。
このようなモラハラの連鎖を断ち切るためにも、別居を決断すべきでしょう。
離婚する決心がついていない
モラハラ配偶者のことを「本当は優しい人でいつか変わってくれる」「別居をちらつかせたら優しくなった」というように思ってはいませんか?
たしかに、一時的に優しくなることもあるでしょう。しかし、モラハラを根本的に治すことは難しいです。
加害者にはモラハラの自覚がないことがほとんどのため、一生治らないこともあります。
今は優しくなったと感じていても、またモラハラを繰り返すようになる可能性が高いです。
まずは冷静に判断できるよう、別居を検討してみてはいかがでしょうか。
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モラハラで別居する際に配偶者の同意は必要?
モラハラ被害によって別居したい場合、配偶者の同意は必ずしも必要ではありません。
そもそも、モラハラ配偶者に「別居したい」と伝えても、否定されるだけでなく、モラハラの被害がさらに深刻化するおそれがあります。
民法第752条では、夫婦には同居・協力・扶助の義務があると定められています。
そのため、正当な理由なく一方的に別居すると、「悪意の遺棄」とみなされ、慰謝料を請求される可能性があります。
しかし、モラハラによる精神的苦痛から逃れるための別居は、正当な理由があると判断されるケースが多く、同居義務違反や悪意の遺棄には該当しないとされています。
モラハラ配偶者との別居に向けて必要な準備
モラハラ配偶者との別居を決意したら、以下のような準備をしましょう。
- 別居先を探す
- モラハラの証拠を集める
- 子供の環境の変化について考える
- 婚姻費用の請求方法などを検討する
- 弁護士に相談する
では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
別居先を探す
別居を決断したら、別居先を探しましょう。
別居先としては、実家や友人の家、または新しくアパートを借りるなどが考えられると思います。
別居を検討していることが加害者にバレてしまうと、モラハラの被害が拡大し逃げられなくなるおそれもあるため、あらかじめ別居先もしくはトランクルームなどを借りて少しずつ、気付かれないように荷物を整理しておくことが大切です。
また、モラハラに加えDVなどの暴力行為もあり、身の危険を感じる場合は、早急にシェルターを利用する等して、避難することも検討しましょう。
モラハラの証拠を集める
別居先を検討するのと並行して、モラハラの証拠を集めておくことも大切です。
別居してしまうと証拠を集めにくくなるので、別居前に集めておきましょう。モラハラの証拠は離婚や慰謝料を請求する際に有利になります。
【モラハラの証拠となるもの】
- モラハラを記録した日記やメモ
- モラハラの現場を録音録画したデータ
- 精神科や心療内科等の通院記録や診断書
- モラハラ配偶者から届いたメールやSNS
- 親族や友人など、第三者の証言
- 警察公的機関への相談履歴 など
子供の環境の変化について考える
子供を連れて別居することで、子供に与える影響について理解しておくことも大切です。
転校や生活環境が変わると、子供はストレスを溜め込んでしまったり、精神的に不安定になってしまったりする場合もあります。
別居後はしばらく子供の様子を注意深く観察し、別居が子供のせいではないことや、離れて暮らしても親であることに変わりはないことを伝えましょう。
また、子供が幼い場合は、別居先が育児のサポートを受けられる環境かどうかを確認するのも大切です。
婚姻費用の請求方法などを検討する
別居しても婚姻期間中であるため、配偶者に「婚姻費用」を請求できます。
婚姻費用は、収入の低い方が高い方に請求でき、一般的な請求方法は以下のとおりです。
- 夫婦で話し合う
- 婚姻費用分担請求調停
- 審判
家庭裁判所が公表している「婚姻費用算定表」などを用いて夫婦で話し合いをします。ただし、モラハラ配偶者との話し合いは大声を上げたり、罵倒されたりすることがあり、難しいケースが多いでしょう。
夫婦で話し合うことが難しい場合は、家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停」を申し立て、調停委員に間に入ってもらい、婚姻費用について話し合っていきます。
調停不成立となった場合は、自動的に「審判」の手続きに移り、裁判官によって判断されます。
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弁護士に相談する
モラハラ被害によって別居を考えている場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談することで以下のようなメリットを受けられ、精神的負担を軽減できるでしょう。
- 安全な別居の方法を提案してもらえる
- 証拠集めに関するアドバイスがもらえる
- モラハラ配偶者との交渉を代行してもらえる
モラハラ配偶者の性格や状況に応じて、安全かつスムーズに別居するための具体的なアドバイスが受けられます。
録音・日記・メールなど、モラハラの証拠にどのようなものがあるか、どのように集めるべきか、個別事情に応じた証拠収集の方法や注意点のアドバイスを受けることができます。
モラハラ配偶者との直接のやり取りを避け、弁護士が代理人として交渉を進めてくれるため、精神的なストレスが軽減されます。
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モラハラで別居するときの切り出し方
モラハラを理由に別居を切り出す場合は、安全な場所で、伝えるタイミングや方法に注意することが大切です。
2人きりで話し合うと、モラハラの被害がさらに悪化したり、身の危険を感じる事態に発展するおそれがあります。
そのため、家族や信頼できる友人、弁護士などの第三者に同席してもらうようにしましょう。
また、話し合う場所も自宅ではなく、喫茶店や公共施設など人目がある場所を選ぶと安心です。
モラハラ被害を受けている場合、別居を伝えることで被害がエスカレートしたり、別居を妨害される可能性もあります。
こうしたリスクがあるときは、置手紙やメール、LINEで別居の意志を伝える方法も検討しましょう。
モラハラで別居したその後の対応
無事に別居でき、生活が安定してきたら「離婚するのか」「復縁するのか」「別居を続けるのか」次の段階のことを考えましょう。
【離婚する場合】
離婚を決断した場合は、直接モラハラ加害者と話し合うことは危険です。
再度モラハラの被害に遭うおそれもありますので、弁護士を代理人として相手方と話し合うことをおすすめします。
話し合いが進まなければ離婚調停を申し立てます。
【離婚せず復縁する場合】
離婚せず復縁することはあまりおすすめできません。
モラハラ加害者はその場では反省の意思を示す場合もありますが、モラハラは改善が難しい傾向があり、再びモラハラ被害に遭ってしまうおそれがあります。
【別居を継続する場合】
別居を続けることで婚姻費用を請求できるほか、別居期間が長くなるほど裁判で離婚が認められやすくなるといったメリットがあります。
一方デメリットとして子供に精神的負担がかかる可能性や、再婚が遠のくことが挙げられるでしょう。
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モラハラが原因で別居をお考えならぜひ一度、ご相談ください。
モラハラは精神的虐待であり、あなたがモラハラを受けなければならない理由などひとつもありません。
配偶者からのモラハラでお悩みの方は、おひとりで悩まず私たち弁護士法人ALGにご相談ください。
私たちは、モラハラの被害に悩むご相談者様に親身に寄り添い、最善の解決策を共に考えてまいります。
証拠の集め方や別居に向けたアドバイスだけでなく、離婚をお考えの場合は代理人としてモラハラ加害者である相手方と交渉していきます。
話し合いが進まず、調停や裁判の手続きに移行しても、弁護士はあなたの味方です。
モラハラの被害から解放され明るい未来を進めるよう、まずは一度私たちにご相談ください。
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保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)