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一度決めた養育費は増額できる?認められやすいケースや請求方法

一度決めた養育費は増額できる?認められやすいケースや請求方法

離婚する際に養育費をきちんと取り決めたものの、月日が経つと生活環境や収入の変化、子供の進学や進路変更などで養育費の増額を望む方も多いかと思います。

一度取り決めた養育費でも、あとから話し合いで変更することは可能です。
話し合いで折り合いがつかなければ、一定の条件を満たせば、調停や審判など裁判所の手続きを利用して養育費の増額請求ができます。

そこで、本記事では・・・

  • 養育費の増額が認められやすいケース
  • 養育費を増額請求する手続き
  • 養育費の増額請求は拒否できるか?

など、養育費の増額請求に関して、わかりやく解説していきます。

養育費の請求は弁護士にお任せください

養育費の増額が認められやすいケース

当事者間で話し合って、養育費を増額することに合意できれば、養育費の増額は可能です。

しかし、支払う側が増額に応じない、そもそも話し合いに応じないなどの理由から当事者間で養育費の増額について合意できない場合は、家庭裁判所の調停で話し合うか審判で増額の決定をしてもらう必要があります。

裁判所で増額を認められるためには、当初養育費を取り決めたときには予測できなかった事情の変更が必要になります。

具体的に、以下のようなケースでは養育費の増額が認められやすいとされています。

  • 受け取る側の収入減少
  • 支払う側の収入増加
  • 子供の教育費の増加
  • 子供の病気等による医療費の増加

次項でそれぞれ詳しく解説していきましょう。

受け取る側の収入減少

養育費は父母双方の収入に応じて子供にかかる費用を分担するという性質上、当初予測できなかった事情の変更により、養育費を受け取る側の収入が減少した場合には養育費の増額の理由になる可能性があります。

具体的には、養育費を受け取る側が、会社の倒産やリストラで失業したり、病気やケガに遭って思うように働けなくなったりしたケースが該当します。

支払う側の収入増加

当初予測できなかった事情の変更により、養育費を支払う側の収入が増加し、当初定めた養育費を維持することは著しく不公平だといえる事情がある場合、養育費の増額が認められる可能性があります。 

具体的には、次のようなケースが該当します。

  • 養育費を支払う側が出世して収入が増えた
  • 養育費を支払う側が転職して大幅に収入が増えた

子供の教育費が増加

子供が成長するとともに子供の教育費が増えることは少なくありません。
例えば、私立学校へ進学した、大学に進学した、希望する学校に進学するために通塾したなどが該当します。

ただし、養育費を取り決めたときに、進学について、養育費を支払う側の同意があったといえる場合に認められます。

つまり、支払う側が私立学校や大学などへの進学を反対していた場合には、実際に教育費が増加したとしても、養育費の増額が認められるわけではありません。

子供の病気等で医療費が増加

子供が病気やケガをして高額な治療費がかかったり、子供に障害がみつかり継続的にリハビリが必要になったりした場合には、養育費の増額が認められる可能性が高いです。

継続的な治療やリハビリが必要となる病気やケガをした場合は、養育費の増額請求をして新たに養育費の金額を取り決めるほうがいいでしょう。

ただし、突発的な病気やケガをした場合は、相手に事情を話して、完治するまでの期間の医療費を援助してもらえれば足りることもあります。

養育費を増額請求する手続き

養育費を支払う側にどのようにして養育費の増額を求めればいいのでしょうか?
次項より詳しく解説していきましょう。

相手に直接請求

まずは、相手に直接養育費の増額請求をすることになります。
請求方法は、対面や電話、メール、LINEなど連絡の取りやすい方法で連絡してかまいません。

ただ、「養育費が足りないから増額してほしい」というだけでは、説得力に欠けます。
経済的に苦しい現状や、子供の将来の夢のためにどうしても必要な費用であることなどを具体的に説明して、協力を得たいと訴えることが大切です。

相手に直接請求して、養育費の増額について合意できれば、後からトラブルにならないように書面を取り交わしておくようにしましょう。
できれば、強制執行認諾文言付の公正証書を作成しておくと、法的な執行力が高まります。

相手が応じない場合は弁護士へ相談・依頼

相手が養育費の増額に応じない場合は、弁護士へ相談・依頼することも検討しましょう。
弁護士であれば、養育費の増額請求ができる事案かどうかや、増額が見込める金額などを詳細にアドバイスします。

また、代わりに相手と直接話し合うこともできますので、弁護士が法的観点から主張することによって、合意を得られる可能性が高まります。

話し合いで合意出来なければ調停へ

電話やメール、LINEなどで増額請求しても無視するような場合は、内容証明郵便を利用して養育費の増額請求をする方法があります。

内容証明郵便とは、いつ、誰が、誰宛てにどんな内容の書面を差し出したか日本郵便が証明してくれるサービスです。内容証明郵便には、法的な効力はありませんが、こちらの強い意志を示すことができ、相手に心理的プレッシャーを与える効果が期待できます。

それでも、相手が話し合いに応じなかったり、話し合いができても合意できなかった場合は、家庭裁判所に養育費増額請求調停を申し立てることになります。

養育費増額調停については次項で詳しく解説します。

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養育費増額請求調停とは

養育費増額請求調停とは、家庭裁判所で調停委員を交えて養育費の増額について話し合って解決を図る手続きです。

調停委員は当事者双方の主張を聞いてアドバイスをしたり、意見の調整を図るなどして、養育費増額の合意を目指します。

養育費の増額について合意できれば、調停調書が作成されます。
調停調書は確定判決と同一の効力を有します。

なお、養育費増額の開始時期は、調停を申し立てた月からになるケースが多いです。

調停が不成立の場合は養育費増額審判へ

調停での話し合いでは合意できなかった場合は、調停不成立となり、自動的に審判に移行します。
審判では、双方の主張や一切の事情を考慮して、裁判官が判断を下します。

裁判官は、養育費の増額を判断するにあたって、予測できなかったやむを得ない事情の変更があるかどうかを検討します。

増額を認めるべきだと判断した場合には、適当と考えられる金額が決定されて、増額した養育費の支払いを命じる審判を言い渡すことになります。

養育費はいくら増額できる?

増額後の養育費は、基本的には、裁判所のウェブページに掲載されている養育費算定表に基づいて金額が算出されます

事情の変更後の双方の収入や子供の人数、年齢を表にあてはめて、新たな相場を確認できます。
ただし、養育費算定表は標準的な養育費を簡易的かつ迅速に算出するために作られたものです。

よって、私立学校への通学や高額な医療費の発生などの特別な事情は考慮されていません。
正確な増額の見込み額を知りたい場合は、個別の事情を伝えたうえで弁護士に相談して算出してもらうことをお勧めします。

養育費の相場について、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

増額を求める際のポイント

増額を求める際は、増額を求める根拠となる詳細な資料を一緒に相手に示すと説得力が増します。

例えば、子供が大学進学を希望した場合は、学費の金額がわかる入学案内の資料を用意したり、塾代や習い事代がかかる場合は、具体的な費用が記載されている資料を取り寄せるとよいでしょう。

また、子供がケガをして高額な医療費が必要となった場合は、病院の領収書および診療明細書などを添えて増額請求すると効果的です。

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養育費の増額請求は拒否できる?

養育費を受け取る側から増額を求められたとしても、話し合いの段階であれば、養育費の増額に応じたくない場合は増額請求を拒否できます。

しかし、養育費を受け取る側が増額の拒否に納得しない場合は、調停や審判を申し立ててくる可能性があります。そのため、養育費の増額に応じられない事情をしっかりと説明して納得してもらえるよう話し合うことが大切です。

仮に調停や審判を申し立てられても、養育費の増額が認められないケースの場合は増額を拒否できます。
具体的には、養育費の増額が認められないのは次のようなケースです。

  • 養育費の増額を求める理由が明確ではない場合
  • 養育費の増額を認めるべき事情の変更があっても、養育費を取り決めたときにすでに予測できていた場合
  • 増額をすると著しく公平に反する場合
養育費を請求されたら弁護士にご相談ください

養育費の増額に関するよくある質問

習い事を理由に養育費の増額を請求することはできますか?

双方で習い事を理由に養育費の増額について合意できれば問題なく増額できます。
ただし、話し合いで養育費の増額について折り合いがつかなければ、家庭裁判所の調停や審判手続きで決めることになります。

習い事は子供を監護している親権者が任意で通わせるものであるため、裁判所では、基本的に、習い事を理由とした養育費の増額は認められません。

したがって、養育費を支払う側の合意を得ない限り、習い事を理由とした養育費の増額は難しいでしょう。

養育費算定表では15歳を境に増額していましたが、一度決めた養育費も15歳になったら増額できますか?

子供が成長すると、教育費や生活費などの金額が上がり、より多くの費用がかかるものです。
まずは、相手に直接養育費の増額を求めて、相手が応じれば増額できるでしょう。

しかし、増額に応じなかった場合は、裁判所の調停や審判手続きを利用することになります。
裁判所の手続きでは、単に子供が15歳になることは想定内の変更であり、事情の変更とは認めらないと判断される可能性があります。

具体的に、高校への進学に伴う教育費の増加や、食費や交際費の増加など詳細に増額を求める主張と資料を添えて立証する必要があります。
主張と立証をしっかり行った結果、裁判所に「事情の変更」と認められれば養育費の増額はできるでしょう。

子供の大学進学を理由に養育費を増額できますか?

養育費算定のためによく利用されている養育費算定表で考慮される教育費とは、公立の高校に通った場合の授業料や通学費用などの「標準的な教育費」をもともと考慮して算定されたものです。

そのため、四年制大学をはじめ医学部や大学院など、教育費が高額となる進学先への進学が決まったからといって、当然に養育費の増額が認められるというわけではありません。

ただし、次のような場合は、増額請求すると認められる可能性が高いでしょう。

  • 養育費を支払う側が進学について、承諾または同意している
  • 両親とも高学歴である
  • 養育費を支払う側が高収入である
  • 離婚する際に既に大学に進学していた、もしくは進学が決まっていた

養育費増額調停を無視するとどうなりますか?

養育費増額調停はあくまでも話し合いで解決を図る手続きです。調停を数回無視して欠席し続けると、話し合いで解決するのは困難だと判断されて調停不成立となります。

調停不成立となったあとは、自動的に審判に移行します。審判では、裁判官が一切の事情を考慮して養育費の増額について判断を下します。

裁判官がどのように判断するかは、個別の事情や提出された証拠などによりますので、必ずしも申立人である養育費を受け取る側の主張がすべて認められるとはいえませんが、無視をし続けて反論をしなければ、不利な内容の判断を受ける可能性は高くなるといえます。

さらに、審判によって決定した内容を無視し続けていると、ご自身の給与や預貯金などの財産を強制的に差し押さえられるおそれもあります。

養育費の増額についてお悩みの方は弁護士法人ALGへご相談ください!

養育費の増額は、必ずしも相手が応じるとは限りませんし、裁判所で認められるとも限りません。
養育費の増額をお望みの方は、弁護士に相談・依頼することをお勧めします。

弁護士であれば、個別の事情を伺い、養育費の増額が認められる可能性があるかどうか、認められるならば妥当な金額はいくらになるかなどを具体的にアドバイスいたします。

また養育費の増額を請求された側の方も、弁護士に相談・依頼すれば、増額を認められる正当な事由があるのかどうか、多めの金額を請求されていないのかなどを適切にアドバイスいたします。

養育費は、子供が社会的・経済的に自立するまでの間、健やかに成長するための大切なお金です。養育費を受け取る側も支払う側も、納得したかたちで養育費を取り決めることが大切です。

そのため、法律の専門的知識や経験を有した弁護士にお任せください。まずは、弁護士法人ALGにお問合せください。

 

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弁護士法人ALG 弁護士 谷川 聖治
監修 :福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

福岡県弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名を擁し()、東京、札幌、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、大阪、神戸、姫路、広島、福岡、タイの13拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。