債務整理の費用相場はいくら?手続き別の比較や払えない場合の対処法
債務整理の費用は、手続きの方法(任意整理・個人再生・自己破産・特定調停)によって大きく異なります。
「借金の返済が苦しくて債務整理を検討しているものの、費用が払えるか不安・・・」 このようなお悩みを抱えていらっしゃる方に向けて、債務整理の費用相場を手続き別に分かりやすく解説します。
分割払いや法テラスの利用など、費用面の不安を軽減する方法も紹介しますので、ぜひ参考になさってください。
目次
債務整理の費用相場はいくら?
債務整理の費用相場は、任意整理だと1社あたり約5万円~、個人再生や自己破産だと約50万円~が一般的な目安とされています。
債務整理には主に、任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の4つの方法があり、それぞれ費用の相場や内訳は次のとおりです。
| 債務整理の方法 | 費用相場 | 費用内訳 |
|---|---|---|
| 任意整理 | 1社あたり5万~15万円程度 | ・弁護士費用のみ |
| 個人再生 | 50万~90万円程度 | ・弁護士費用(50~60万円程度) ・裁判所費用(数万~25万円程度) |
| 自己破産 | 50万~130万円程度 | ・弁護士費用(30万~80万円程度) ・裁判所費用(数万~50万円程度) |
| 特定調停 | 1社あたり1000円程度 | ・裁判所費用のみ |
※弁護士費用には着手金や報酬金が含まれますが、事務所により名称や内訳が異なるほか、別途実費が発生します
任意整理の費用相場|5万~15万円程度
任意整理の費用相場は、1社あたり5万~15万円程度が目安です。
任意整理とは、利息の免除や返済期間の見直しを債権者と個別に交渉して、借金の総額や月々の返済の減額を図る手続きです。
裁判所費用がかからないので、債務整理の方法のなかでも費用が比較的少額で済みます。
任意整理の弁護士費用の内訳※1社あたり
- 相談料・・30分あたり5000円程度(初回相談無料の事務所もある)
- 着手金・・2万~5万円程度
- 解決報酬金・・2万円程度
- 減額報酬金・・減額分の10%程度
任意整理の裁判所費用の内訳
- 不要
個人再生の費用相場|50万~90万円程度
個人再生の費用相場は、50万~90万円程度が目安です。
個人再生とは、自宅などの財産を残しつつ、裁判所を介して借金を元金ごと1/5~1/10程度まで大幅に減額してもらう手続きです。
手続きが複雑な分、費用が高額で、個人再生委員が選任されるかどうかでも裁判所費用が大きく異なります。
個人再生の弁護士費用の内訳
- 相談料・・30分あたり5000円程度(初回相談無料の事務所もある)
- 着手金・・30万円程度
- 報酬金・・20万~30万円程度
個人再生の裁判所費用の内訳
- 申立手数料(収入印紙)・・1万円程度
- 予納金(官報掲載料)・・1万2000円~1万4000円程度
- 郵便切手代・・2000~5000円程度
- 個人再生委員の報酬(選任された場合)・・15~25万円程度
自己破産の費用相場|50万~130万円程度
自己破産の費用相場は、50万~130万円程度が目安です。
自己破産とは、高額な財産を手放す代わりに、裁判所を介して借金の支払義務を免除(=免責)してもらう手続きです。
借金や所有財産の状況などから、同時廃止事件・管財事件・少額管財事件のいずれかに振り分けられ、費用相場が次のように異なります。
| 同時廃止事件 | 50万円程度 弁護士費用(30万~50万円程度) 裁判所費用(1~3万円程度) |
|---|---|
| 管財事件 | 80万~130万円程度 弁護士費用(30万~80万円程度) 裁判所費用(50万円程度) |
| 少額管財事件 | 50万~80万円程度 弁護士費用(30万~60万円程度) 裁判所費用(20万円程度) |
自己破産の弁護士費用の内訳
- 相談料・・30分あたり5000円程度(初回相談無料の事務所もある)
- 着手金・・30万~50万円程度
- 報酬金・・20万~30万円程度
自己破産の裁判所費用の内訳
- 申立手数料(収入印紙)・・1500円程度
- 予納金(官報掲載料)・・1万~2万円程度
- 郵便切手代・・2000~5000円程度
- 引継ぎ予納金(破産管財人報酬)・・20万円(少額管財)/50万円(管財事件)程度
特定調停|1000円程度
特定調停の費用相場は、1社あたり1000円程度が目安です。
特定調停とは、裁判所の民事調停手続を利用して、借金の減額や返済方法の見直しについて債権者と話し合う手続きです。
裁判所を介する手続きなので裁判所費用がかかりますが、弁護士に依頼せずに利用できるため、費用を大幅に抑えられます。
特定調停の弁護士費用の内訳
- 弁護士に依頼しなかった場合は不要
特定調停の裁判所費用の内訳※1社あたり
- 申立手数料(収入印紙)・・500円程度
- 郵便切手代・・500~1000円程度
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- 年中無休
- 通話無料
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
債務整理の費用が支払えない場合の対処法
債務整理を行うには、ある程度まとまった費用が必要ですが、すぐに支払えないからといって諦める必要はありません。
債務整理の費用が支払えない方のために、次のような対処法が用意されています。
- 分割払いができる・着手金無料または安い事務所を選ぶ
- 債務者への返済がストップしている間に用意する
- 法テラスの民事法律扶助制度を利用する
- 自分で債務整理をする
分割払いができる・着手金無料または安い事務所を選ぶ
まとまった費用がすぐに用意できず、一括での支払いが難しい場合は、分割払いに応じてくれる弁護士事務所を選びましょう。
着手金が無料または安い弁護士事務所もあります。
債務整理の費用は、依頼する弁護士によっても金額が異なります。
初回相談を無料で行っている事務所も多いので、債務整理にどのくらい費用がかかりそうか、着手金の有無や、分割払いが可能かどうかを、相談時に確認するのがおすすめです。
債務者への返済がストップしている間に用意する
弁護士に債務整理を依頼すると、受任通知の送付によって督促や返済が一時的にストップします。
その間に、これまで返済に充てていた資金を債務整理の費用に回すことができます。
ただし、債権者が受任通知を受け取った時点で、保証人に対して一括請求が行われる可能性があります。
保証人付きの借金がある場合は、費用面の不安と一緒に、保証人への影響についても弁護士に相談してみましょう。
法テラスの民事法律扶助制度を利用する
法テラスの「民事法律扶助制度」を利用すれば、弁護士費用を立て替えてもらえる可能性があります。
法テラスでは、収入や資産が一定額以下であるなどの条件を満たせば、無料の法律相談や弁護士費用の立て替えが受けられます。
立て替えてもらった費用は、月々5000円~1万円程度で分割返済すればよいので、手元にまとまった資金がなくても、弁護士への依頼が可能です。
法テラスを利用して債務整理を行うには、直接法テラスに申し込む方法のほかに、法テラスと連携している弁護士経由で申し込む方法(持ち込み方式)があります。
自分で債務整理をする
債務整理は、弁護士に依頼せずに債務者ご自身で行うことも可能です。
ご自身で債務整理を行えば、必要な費用は裁判所費用などの実費のみで済みます。
ただし、ご自身で債務整理を行うと次のようなデメリットもあり、リスクや手間が増える点に注意しましょう。
- 債務整理の手続き中も督促や取り立てが続く
- 手続きがスムーズに進まず、失敗する可能性がある
- 裁判所や債権者と平日にやり取りする必要がある
- 弁護士に依頼した場合と同じ結果が得られない可能性がある
- 債権者が和解交渉に応じない可能性がある(任意整理の場合)
- 少額管財事件が使えず、かえって費用が高額になる可能性がある(自己破産の場合)
債務整理の弁護士費用はいつ支払う?流れと支払いのタイミング
債務整理の弁護士費用は、着手金を「依頼時」に、報酬金を「手続き完了後」に支払うケースが多いですが、依頼する弁護士によっても異なります。
以下で、任意整理・個人再生・自己破産を弁護士に依頼した場合の流れと弁護士費用を支払うタイミングについてみていきましょう。
任意整理
任意整理の基本的な手続きの流れは、以下のとおりです。
- 弁護士に相談・依頼・委任契約締結
弁護士に相談し、依頼することが決まったら委任契約を締結し「着手金」を支払います。
⇩ - 受任通知の送付
⇩ - 利息の引き直し計算
⇩ - 返済計画(和解案)の作成
⇩ - 債権者との和解交渉
⇩ - 和解の成立
債権者と合意できれば、和解が成立して合意書を作成し、「報酬金」を支払います。
⇩ - 返済開始
和解の内容に従って返済を開始します。
着手金は①の委任契約締結時に、報酬金は⑥の和解成立時に支払います。
任意整理の流れについて、詳しくは以下のページで解説しています。
手続きにかかる期間やスムーズに進めるポイントを知りたい方は、ぜひご覧ください。
個人再生
個人再生の基本的な手続きの流れは、以下のとおりです。
- 弁護士に相談・依頼・委任契約締結
弁護士に相談し、依頼することが決まったら委任契約を締結し「着手金」を支払います。
⇩ - 受任通知の送付
⇩ - 利息の引き直し計算
⇩ - 個人再生申立書の作成
⇩ - 個人再生の申立て
⇩ - 個人再生手続開始決定
⇩ - 再生計画案の作成・提出
⇩ - 債権者による書面決議(小規模個人再生)/意見聴取(給与所得者等再生)
⇩ - 裁判所による再生計画案の認可(不認可)決定
裁判所が再生計画の認可を決定すれば、「報酬金」を支払います。
⇩ - 返済開始
再生計画の内容に従って返済を開始します。
着手金は①の委任契約締結時に、報酬金は⑨の認可決定時に支払います。
申立手数料や予納金などの裁判所費用は⑤の申立て時に支払います。
個人再生の流れについて、詳しくは以下のページで解説しています。
手続きにかかる期間やスムーズに進めるポイントを知りたい方は、ぜひご覧ください。
自己破産
自己破産の基本的な手続きの流れは、以下のとおりです。
- 弁護士に相談・依頼・委任契約締結
弁護士に相談し、依頼することが決まったら委任契約を締結し「着手金」を支払います。
⇩ - 受任通知の送付
⇩ - 自己破産申立書の作成
⇩ - 自己破産の申立て
⇩ - 破産手続開始決定
※同時廃止事件となった場合は、同時に手続廃止となります。
⇩ - 意見申述期間(同時廃止事件)/債権者集会(管財事件・少額管財事件)
⇩ - 免責審尋
⇩ - 免責許可(不許可)決定・確定
裁判所が免責許可を決定すれば、「報酬金」を支払います。
着手金は①の委任契約締結時に、報酬金は⑧の免責許可決定時に支払います。
なお、申立手数料や予納金などの裁判所費用は④の申立て時に支払います。
自己破産の流れについて、詳しくは以下のページで解説しています。
手続きにかかる期間や法テラスを利用した場合の流れを知りたい方は、ぜひご覧ください。
弁護士に債務整理を依頼したら費用倒れの心配はない?
弁護士に債務整理を依頼して、費用倒れになるケースはほとんどありません。
費用倒れとは、債務整理によって減額できた金額よりも、弁護士費用の方が上回ることを指します。
個人再生や自己破産では、元金の大幅な減額や返済免除によって数十万~数百万円単位で借金が減ることもあり、実際に弁護士費用の方が上回る可能性は極めて低いです。
任意整理においても、利息免除による減額効果が大きく、弁護士費用を上回るケースは多くありません。
ですが、1社あたりの借金が10万円程度と少額な場合や、もともとの金利が低い場合は、任意整理による減額効果が少なく、費用倒れになる可能性があるため、事前に弁護士に確認しましょう。
債務整理の費用で不安なことがあれば、弁護士法人ALGにご相談ください
費用面の不安から、債務整理に踏み切れずにいる方も多いかもしれません。
弁護士に相談することで、費用の見通しや分割払いの可否など、具体的な解決策がみつかります。
弁護士法人ALGでは初回の対面相談を無料で行っていますので、まずはご相談ください。
相談時に個々の状況を伺い、費用倒れの心配がある場合には、弁護士が無理に債務整理を進めることはありません。
不安なお気持ちに寄り添い、よりよい解決策がみつかるよう、アドバイス・サポートいたします。
費用に関する疑問も、お気軽にお問合せください。
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※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
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監修:弁護士 谷川 聖治 / 弁護士法人ALG&Associates福岡法律事務所 所長
監修:弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 所長
保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)
福岡県弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ 名を擁し()、東京、を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。