セクハラ被害の慰謝料の請求は弁護士法人ALGへ

セクハラの被害届を出すとどうなる?必要な証拠や出し方など

監修
監修弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

セクハラ被害は、慰謝料請求といった民事責任だけでなく、警察に被害届を出して刑事責任を問うことができます。

セクハラ加害者を処罰したい気持ちが強いのであれば、警察に被害届を出して刑事罰を求めるものひとつの方法です。

そこで、本記事では・・・

  • セクハラの被害届の出し方
  • 被害届を出すために必要なセクハラの証拠
  • セクハラの被害届を出した後の流れ

など、「セクハラの被害届」に焦点をあてて、詳しく解説します。

セクハラに遭い被害届を出したらどうなる?

「セクハラ」とは、セクシャルハラスメントの略称であり、性的な言動による嫌がらせをいいます。

被害届とは、犯罪被害にあった際にどのような被害にあったか警察に申告するための書類です。

セクハラ被害に遭い、被害届を出せば捜査のきっかけとなります。

ただし、被害届が受理されたからといって必ずしも刑事事件として立件してもらえるとは限りません。

また、事件性がないことが明らかであったり、警察が介入することが不適切だと判断された場合には、被害届が受理されないことも実務上あり得ます。

セクハラ行為が該当する罪

セクハラ行為により、問われる可能性のある罪(刑事責任)を下記表のとおり、まとめました。

罪名 刑罰 該当するセクハラ行為
迷惑行為防止条例の「卑猥な言動の罪」 (罰則は都道府県によって異なるが)6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金
常習として行った場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
「初体験はいつ?」、「最近いつエッチしたの?」など第三者が聞いている可能性があるなかで尋ねた
名誉棄損罪 3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金 不特定または多人数の人がいる前で、性に関する情報を流布する、インターネット上にアップするなど被害者の社会的評価を下げた
強要未遂罪 3年以下の懲役 食事やデート、性的な関係もつことを対面や電話、メールなどで要求した
強要罪 3年以下の懲役 食事やデートをしつこく要求した、何度も性的な関係をもつように強迫をした
迷惑行為防止条例の「痴漢の罪」あるいは「卑猥な言動の罪」 (罰則は都道府県によって異なるが)1年以下の懲役または100万円以下の罰金、常習として行った場合は、2年以下の懲役または100万円以下の罰金 第三者から見られる可能性がある公共の場で、被害者の胸、お尻など身体を触るなどした
わいせつ図画頒布、公然陳列罪 2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金もしくは科料 性的部位が撮影された写真などを同僚に配布した、職場内でAV鑑賞するなどした
リベンジポルノ禁止法違反 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 性的部位が撮影された写真や動画をインターネット上にアップした
不同意わいせつ罪
(旧:強制わいせつ罪)
6月以上10年以下の懲役罰金 背後からいきなり抱きつき胸を鷲掴みにした、社長が「従わなかったら解雇する」と脅しながらキスを強要した
不同意性交等罪(旧:強制性交等罪) 5年以上の有期懲役(上限20年) 無理やりレイプした、無理やり被害性交類似行為をした
傷害罪 15年以下の懲役または50万円以下の罰金 セクハラが原因で被害者がうつ病や適応障害、PTSDなどを発症した
暴行罪 2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金もしくは科料 セクハラ行為の過程で殴ったり蹴ったりした

セクハラの被害届の出し方

被害届を出したい場合は、基本的に被害にあった場所を管轄する警察署や交番、派出所で被害届を出します。

ただし、交番や派出所は警察官の人員が限られており、ゆっくり事情を聞いたり被害内容を確認したりする余裕がない場合もありますので、なるべく警察署で被害届を出すようにしましょう。

被害届の出し方には、次のとおり4パターンあります。

  • 被害者本人で予め被害届を作成したうえで警察署などに出向いて提出する方法
  • 被害者本人が警察署などに出向き、警察官の面前で被害事実を申告したうえで被害届を記入して提出する方法
  • 被害者本人が警察署などに出向き、警察官の面前で被害事実を申告して、警察官が被害届に代書して提出する方法
  • 被害者本人が警察署などに出向き、警察官の面前で被害事実を申告して、警察官が被害者の供述調書を作成して提出する方法

なお、上記のなかで③の出し方が最も多いとされています。

被害届に記載する内容

被害届に記載する内容は次のとおりです。

  • 被害者の住居、職業、氏名、年齢
  • 被害の年月日時
  • 被害の場所
  • 被害の模様
  • 被害金品(品名・数量・時価・特徴・所有者)
  • 犯人の住居、氏名または通称、人相、着衣、特徴など
  • 遺留品そのほか参考となる事項

被害届は必ずしも受理されるわけではありません。被害届を受理してもらって捜査活動を開始されるには、「説得力のある被害届」を作成する必要があるため、弁護士に相談して作成するのもひとつの方法です。

持参するもの

被害届を出すために警察署に出向く際に持参するものは次のとおりです。

  • 身分証明書(運転免許証やパスポートなど)
  • 印鑑
  • 被害時の状況がわかる書類や写真などの証拠物

なお、被害届の書式は、犯罪捜査規範で決まった形式のものがあり、警察署や交番、派出所に用意されていますので、その場で作成するなら事前に入手する必要はありません。

被害届の提出期限(時効)

被害届の提出期限はありません。ただし、公訴時効にかかる場合があります。

公訴時効が経過してから被害届を出しても起訴はできません。

起訴されなければ、逮捕されることも、刑罰を受けることもできなくなりますので注意が必要です。

主な性犯罪の公訴時効期間は、2023年7月13日に改正刑法が施行されて、現在は次のとおりです。

罪名 時効期限
不同意わいせつ罪(旧:強制わいせつ罪) 犯罪行為が終わったときから12年
不同意性交等罪(旧:強制性交等罪) 犯罪行為が終わったときから15年
不同意わいせつ致傷罪(旧:強制わいせつ致傷罪) 犯罪行為が終わったときから20年
不同意性交等致傷罪(旧:強制性交等致傷罪) 犯罪行為が終わったときから20年

なお、被害にあったときの年齢が18歳未満の場合は、18歳になる日までの期間が公訴時効に加算されますので、時効期間は上記よりさらに延長されます。

被害届を出すために必要なセクハラの証拠

被害者本人の証言でも被害届を出せますが、客観的な証拠があればなお良いでしょう。

証拠がないと被害届を受理してもらえなかったり、受理されても捜査を進めてもらえなかったりする可能性が高くなるからです。

被害届を出すために必要なセクハラの証拠は次のようなものになります。

  • セクハラ被害に遭っている様子を撮影した音声・動画データ
  • 防犯カメラの映像
  • 目撃者の証言
  • セクハラ被害で外傷を負った場合や、うつ病・PTSDなど精神疾患を発症した場合は医師の診断書 など

ひとつの証拠では証明力が弱くても、複数の証拠を積み重ねていくことによって証明力が強くなる可能性もありますので、できるだけ多くの証拠を集めるようにしましょう。

セクハラの証拠がないときは?

セクハラ行為は、密室内で二人きりの状態で行われることが多く、客観的な証拠が残りにくいのが実情です。

証拠がなければ被害届が出せないわけではありませんし、被害者本人の供述だけでも証拠となりますが、証拠がたくさんあるのに越したことはありません。

よって、ご自身で証拠を作っていくのもひとつの方法です。

例えば、ある程度の期間をかけて継続的に、セクハラ被害に遭った日時・場所・被害状況などを具体的に日記やメモで記録しておいて証拠を作っていくのです。

そのほかには、何が証拠になるのか弁護士に相談してみるのも有用です。

ご自身は証拠がないと思っていても、思いもよらないものが証拠になったりして、有益なアドバイスを受けられる可能性があります。

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セクハラの被害届が受理されない場合の対処法

被害届を出しても、必ず受理されるとは限りません。

被害届が受理されなかった場合は、まず警察官になぜ受理できないのか理由を尋ねましょう。

理由が合理的なものであり、是正できるものであれば、速やかに是正して被害届を受理してもらえるように努めてください。

例えば、「証拠が足りない」と言われたら、裏づける証拠を集めて、改めて警察に示して積極的な捜査を求めるのです。

もし、「業務が多忙だから」、「被害が軽微だから」、「刑事事件として扱うのは難しい」など納得のいかない理由を言われた場合は弁護士に相談することをお勧めします。

被害届が受理されないときに弁護士ができること

被害届が受理されないなど刑事責任を追及することが難しい場合は、弁護士に相談・依頼して民事事件としてセクハラ加害者や会社に対して損害賠償請求や権利の主張を行う方法があります。

具体的にいうと、弁護士に加害者本人や会社を相手に示談交渉や民事裁判を代わりに行ってもらうことが挙げられます。

セクハラ加害者に刑事罰を科せなくても、慰謝料という名目で金銭の支払いをさせることで罪を償ってもらったり、示談書に謝罪の文言を記載することで被害を認めさせたりして、社会的・金銭的な制裁を与えることができます。

被害届が受理されなかったら、速やかに弁護士に相談してみてください。

セクハラの被害届を出した後の流れ

刑事手続き大まかな流れ

被害届を出した後の流れを主に次のような流れになります。

  • 被害届の提出・受理

    まずセクハラ被害に遭ったら警察に被害届を提出します。

    被害届に記載されている内容に事件性があると判断されれば、被害届が受理されます。

  • 警察による捜査開始

    受理されたあとは、セクハラ加害者(被疑者)本人や関係者への取り調べや事件現場の実況見分などが行われます。

  • 逮捕・勾留(場合によって)

    被害届が提出されたからといってただちに逮捕されるわけではなく、被疑者の取り調べは任意で行われる場合もありますが、ある程度の嫌疑が認められて逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがある場合には、逮捕されて警察の留置施設に身柄拘束されることもあります。

    逮捕された場合は、逮捕の手続きが最大72時間、その後の勾留まで進むとさらに最大20日間の身体拘束を受けながら取り調べが行われます。

  • 検察庁へ送致

    警察は捜査が一通り完了すると、その事件に関する書類を検察庁へ送致します。

  • 起訴・不起訴

    身柄拘束をされている事件では、勾留期限の満期までに、検察官が起訴もしくは不起訴の処分を決定します。

    身柄拘束をされていない在宅事件の場合は、必要な捜査を終えたら、起訴もしくは不起訴の処分を決定します。

    不起訴の処分が決定したら、前科が付くことなく釈放されます。

    起訴(正式起訴、略式起訴)の処分が決定されたら、刑事裁判において被告人として裁判を受けます。

セクハラの被害届の出し方についてのQ&A

セクハラで被害届を出した後に、取り下げることはできますか?

被害届を出した後でも、取り下げることはできます。

取り下げ自体に法的な期間制限は設けられておらず、セクハラ被害者が取り下げたいと考えたなら、いつでも取り下げることができます。ただし、取り下げられるのは被害者本人に限られています。

取り下げる方法は、警察署に出向き、被害届を取り下げたい旨伝えると書面が渡されますので、必要事項を記入して提出すると手続きが完了します。

取り下げは刑事処分に大きな影響を与える行為ですので、書面に残す必要があるため、電話などでは対応してもらえません。

セクハラの被害届を出したら相手にバレますか?

関連する質問「被害届を提出したら相手にバレますか?」

被害届を出しても、警察はセクハラ加害者本人に「被害届が出されましたよ」と連絡をすることはないので、必ずしも被害届を出したら相手にばれるわけではありません。

ただし、警察がセクハラ加害者に任意での取り調べを求めるか、逮捕手続きに移行して逮捕状の発付を受けた捜査員が自宅にやってくるかした場合は、セクハラ被害者から被害届が出されたことは知ることになります。

セクハラの被害届を出したい方・迷われている方、ALGの女性弁護士がサポートします

セクハラ被害に遭い、警察に被害届を出せば、犯罪として処罰してもらえる可能性があります。

しかし、被害届を出して捜査を開始してほしいのに被害届を受理してもらえなかったり、受理されたのに捜査が進展しなかったりという不満の声をよく耳にします。

セクハラの被害届を出したい方、被害届を出すか迷っている方など、被害届の提出に関するお悩みのある方は、まずは弁護士法人ALGにご相談ください。

弁護士にご相談いただければ、被害届の書き方や出し方、証拠の集め方などを適切にアドバイスしますので被害届が受理されやすくなるでしょう。

また弁護士とともにきちんとした対応をすることで、その後の刑事処罰の可能性、刑事処罰の重さが上がる可能性も高くなると思われます。

一人で抱え込まずに、まずはお気軽に弁護士法人ALGにお問合せください。

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