遺産分割協議書の作成費用の相場はいくら?誰に頼むべき?
この記事でわかること
遺産分割協議書は、相続人が合意した遺産の分配内容を正式に書面化したものです。
不動産の相続登記や預金の名義変更など、相続手続きを進めるうえで欠かせない重要書類となります。
自分で作成することも可能ですが、記載漏れや不備があると手続きが進まず、トラブルに発展するリスクがあります。確実に手続きを進めたい場合は、弁護士などの専門家に依頼するのが安心です。
この記事では、専門家ごとの作成費用の相場、費用の負担者、どの専門家に依頼すべきかの判断ポイントなどを解説します。
目次
【専門家別】遺産分割協議書作成の費用相場
遺産分割協議書の作成を依頼できる専門家は、弁護士・司法書士・税理士・行政書士の4士業です。
それぞれ依頼できる業務と費用相場は、以下のとおりです。
| 依頼先 | 業務内容 | 費用相場 |
|---|---|---|
| 弁護士 |
|
|
| 司法書士 |
|
|
| 税理士 |
|
|
| 行政書士 |
|
|
たとえば、相続人同士で意見が対立しそうな場合は、交渉や裁判にも対応できる弁護士に依頼するのが安心です。
遺産に不動産が含まれている場合は、登記の専門家である司法書士が、協議書の作成から相続登記まで一括して対応できます。
相続税の申告や節税対策も含めて相談したい場合は、税務のプロである税理士が適任です。また、比較的シンプルな相続で費用を抑えたい方には、協議書作成をリーズナブルに依頼できる行政書士が向いています。
以下で、専門家ごとの協議書作成費用について詳しく見ていきましょう。
弁護士
弁護士に遺産分割協議書の作成のみを依頼する場合、費用の目安は10万円~20万円程度です。
また、協議書の作成だけでなく、弁護士が遺産分割の話し合いを代理し、合意に向けて交渉を進める場合は、費用体系が次のように変わります。
- 相談料:30分5500円程度(税込み)。初回無料の事務所も多い。
- 着手金:取得希望の遺産額の2%~8%程度
- 成功報酬:実際に取得できた遺産額の4%~16%程度
- 日当:弁護士が出張や裁判に出廷する際に発生し、1日3万~5万円程度
- 実費:戸籍や住民票などの取得費用、通信費、交通費など。数千円~数万円程度
弁護士費用は、依頼する事務所や遺産の額、案件の複雑さによって大きく変わります。事前に見積もりを取り、金額を確認することが重要です。
相続手続きを弁護士に依頼した場合の費用についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。
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司法書士
司法書士は不動産登記の専門家であり、遺産分割協議書の作成と相続登記をまとめて依頼するのが一般的です。
ただし、相続人間のトラブルの解決は司法書士の業務範囲外です。依頼できるのは、相続人全員の合意が整った後の協議書作成と登記手続きのみとなります。
司法書士に依頼した場合の費用の目安は、次のとおりです。
- 協議書作成のみ:3万~5万円程度
- 相続登記のみ:不動産1件につき5万~8万円程度
- 協議書+相続登記:8万~15万円程度
- 実費:登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)、戸籍や住民票、登記簿謄本などの取得費用
不動産や相続人の数が多い場合は、費用がさらに増える可能性があるため、依頼前に見積もりを取っておきましょう。
相続登記について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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税理士
税理士に依頼する場合は、遺産分割協議書の作成だけでなく、相続税の申告もあわせて任せるのが一般的です。
相続税の申告を代理できるのは税理士だけであり、他の専門家には対応できない業務です。
税理士に依頼した際の費用の目安は、次のとおりです。
- 基本報酬(相続税申告+協議書作成):遺産総額の0.5%~1.0%程度
- 加算報酬:相続人が複数いる場合や、非上場株式や土地など評価が難しい財産が含まれる場合は、1件につき数万~10万円程度が追加されることがあります。
- 実費:戸籍や住民票の取得費など
たとえば、遺産総額が5000万円の場合、税理士への基本報酬は約25~50万円になります。
報酬体系は事務所によって異なるため、見積もりを依頼し、費用の内訳を確認することが大切です。
行政書士
行政書士は、遺産分割協議書の作成に対応できる士業です。
相続人全員が合意した内容を、法的に有効な形式で文書化してくれます。ただし、相続人間のトラブルの仲裁や不動産の相続登記などは扱えません。
行政書士に依頼した場合の費用相場は、次のとおりです。
- 協議書の作成のみ:3万~5万円程度
- 相続人や相続財産の調査を含む場合:8万~10万円程度
行政書士に依頼するメリットは、書類の不備を防げること、戸籍・証明書などの収集を代行してもらえることです。
相続人間で争いがなく、相続税の申告や不動産登記が不要なケース、また費用を抑えたい場合には、行政書士への依頼が選択肢となります。
遺産分割協議書の作成を弁護士に依頼するメリット
弁護士に遺産分割協議書の作成を依頼する最大のメリットは、書類作成だけでなく、相続人同士の話し合いのサポートや、調停・審判などの法的手続きまで一貫して対応できる点です。
司法書士や行政書士は登記や書類作成は可能ですが、法律上、交渉や訴訟の代理はできません。
たとえば、長男が「自宅を相続したい」、次男が「売却して分けたい」と意見が分かれる場合、弁護士が間に入ることで冷静な話し合いが実現します。
法律に基づいた適切なアドバイスを行い、依頼者が不利にならないよう調整することが可能です。
また、弁護士が作成する協議書は法的に有効で、内容に不備がないため、金融機関や法務局での手続きもスムーズに進みます。
特に不動産や高額資産がある場合、寄与分や特別受益の主張がある複雑なケースでは、弁護士の専門的な知識が不可欠です。
たとえば、親の介護をしていた相続人が寄与分を求める場合は、法律に基づいた調整が必要になります。
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遺産分割協議書の作成費用は誰が負担する?
遺産分割協議書の作成を専門家に依頼した場合、誰が費用を負担するかは依頼先によって異なります。
弁護士費用は依頼人が支払う
遺産分割協議書の作成を弁護士に依頼した場合、その費用は基本的に依頼した本人が負担します。
これは、弁護士は依頼者の利益を守ることを目的に業務を行うため、他の相続人に費用を求めるのは適切ではないからです。相続人同士でトラブルがあり、それぞれが別の弁護士に依頼する場合も、各自が自分の弁護士費用を支払うのが基本です。
相続では、財産の全体像が見えていることが多いため、弁護士費用を自分で負担しても、結果的に損をする可能性は低いと考えられます。
弁護士以外の費用は相続人の話し合いで決める
税理士や司法書士、行政書士などに遺産分割協議書の作成を依頼する場合、費用の負担方法は法律で決まっているわけではありません。基本的には、相続人同士の話し合いで自由に決めることができます。
一般的な方法としては、相続人全員で均等に分担するか、代表者が一括で支払い、後から精算するケースが多く見られます。
また、相続分に応じて費用を按分する方法もよく採用されています。さらに、遺産から費用を支払うことも可能ですが、その場合は相続人全員の同意が必要です。
費用負担の取り決めは、後々のトラブルを防ぐためにも、協議の段階で明確にしておくことが重要です。
遺産分割協議書を自分で作成する場合の費用は?
遺産分割協議書は自分で作成することもできますが、費用や注意点を理解しておくことが重要です。
自分で作成する場合でも、戸籍謄本など必要書類の取得には数千円程度の費用がかかり、時間と手間も必要になります。また、協議書を公正証書にする場合は、遺産の金額に応じて数万円の公証人手数料が発生します。
注意しなければならないのは、協議書が正しく作成されていないと法的効力が認められず、相続登記や銀行手続きが進められなくなる可能性がある点です。また、相続人や相続財産の調査に漏れがあると、トラブルに発展するリスクもあります。
自分で作成する最大のメリットは費用を抑えられることですが、書類収集や作成の負担が大きく、将来的な紛争のリスクも高まります。
確実で安心な手続きを望むなら、弁護士など専門家に依頼することをおすすめします。
遺産分割協議書の作成方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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遺産分割協議書の作成や費用について不安なことがあれば弁護士にご相談ください
遺産分割協議書は、相続人の合意内容を正確に反映させる必要があり、その作成には専門知識が求められます。
自分で作成することも可能ですが、記載内容に誤りや漏れがあると無効扱いとなり、相続手続きが滞るリスクがあります。
さらに、相続人の確定や財産の調査、必要書類の収集など、手続きには膨大な時間と労力がかかります。
弁護士であれば、法的に有効な協議書の作成はもちろん、相続人間の調整や将来のトラブル予防、必要に応じた調停・訴訟対応まで一貫してサポートできます。
遺産分割協議書の作成や費用でお悩みなら、相続に精通した弁護士にご相談ください。
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保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)




