遺産分割調停の呼び出しを無視したらどうなる?デメリットや欠席する場合の対処法

遺産分割調停とは、相続人間で遺産の分け方に合意できない場合に、家庭裁判所が仲介して、遺産の分割方法について話し合う手続きです。申し立てがあると、裁判所から呼び出し状が届きます。
「相続を希望していない」「遠方に住んでいて出頭が難しい」などの理由から、呼び出しを無視してもよいのかと悩む方もいますが、基本的には無視すべきではありません。
欠席すると、不利な条件で調停が進んだり、審判に移行し、裁判所によって一方的に判断されるリスクがあります。
この記事では、呼び出しを無視した場合のデメリットや、やむを得ず欠席する際の対処法を解説します。
目次
遺産分割調停の呼び出しを無視するとどうなる?
家庭裁判所から遺産分割調停の呼び出し状が届いたとき、「関わりたくない」と無視してしまう方もいるかもしれません。
しかし、無視にはリスクがあります。
遺産分割調停は、相続人同士が裁判所のサポートを受けながら話し合う場です。
正当な理由なく欠席すると5万円以下の過料の対象となりますが、実際にはほとんど過料が科せられることはないため、呼び出しは実質的に任意です。
調停を欠席しても不利な決定が下されることはありませんが、話し合いが進まないため調停は不成立となり、審判に移行します。審判では裁判官が遺産分割を決定するため、自分の意見を反映できる機会を失うおそれがあります。
遺産分割調停を無視・欠席するデメリット
「忙しいから」「相続に関わりたくないから」といった理由で、遺産分割調停を無視するのは危険です。
調停を無視・欠席することには見過ごせないリスクがあります。
以下で詳しく見ていきましょう。
希望する遺産分割を主張できない
遺産分割調停を無視すると、自分の希望が反映されないまま、不本意な遺産分割が行われる可能性があります。
調停では、親の介護や事業支援などの寄与分、生前贈与の有無、最低限の相続分である遺留分の確保といった事情を調停委員に伝えることができます。
これらは具体的な証拠や説明があって初めて考慮されるため、欠席すればその機会を逃してしまいます。
また、無断で欠席したり、誠意のない対応を続けたりすると、調停委員に悪い印象を与え、他の相続人の主張が優先される可能性が高まります。
納得のいく遺産分割を実現するためには、調停には誠実に対応し、自分の意見をしっかりと伝えることが大切です。
相続税の申告期限に間に合わなくなる
遺産分割調停の呼び出しを無視し続けると、相続分が確定せず、相続税の申告や納付ができない状況に陥ります。
相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った翌日から10か月以内と定められており、遺産分割が終わっていないことを理由に延長されることはありません。
相続税の申告・納付期限を過ぎると、無申告加算税や延滞税が課されるほか、配偶者控除や小規模宅地等の特例といった節税策が使えなくなる可能性があります。
間に合わない場合は、法定相続分で仮申告し後から修正することもできますが、問題を後回しにしているだけなので、できるだけ期限内に、調停の中で遺産分割を確定させておくことが望まれます。
遺産分割審判に発展してしまう
遺産分割調停の呼び出しを無視し続けると、調停は不成立となり、自動的に遺産分割審判へと移行します。
審判とは、調停で合意できなかった場合に、裁判官が法律に基づいて遺産の分割方法を決定する手続きです。
相続人の希望や事情よりも法的なルールが優先されるため、たとえば「親の介護をしていたから多く相続したい」といった主張が十分に反映されないことがあります。
裁判官は、財産の種類や評価額、法定相続分などをもとに分割方法を決定し、場合によっては不動産の売却・現金化を命じることもあります。
こうしたリスクを避けるためには、調停段階で誠実に対応し、できるだけ調停の中で遺産分割をまとめることが重要です。
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遺産分割調停を欠席したい場合の対処法
遺産分割調停を無視した場合のデメリットを考えると、「やはり出席した方が良い」と感じる方も多いでしょう。
しかし、家庭裁判所から指定された期日にどうしても都合がつかないこともあります。
そんなときは、無視するのではなく、次のような方法で対応することが大切です。
欠席、日程変更を裁判所に申し入れる
遺産分割調停の呼び出し状が届いたものの、どうしても初回期日に出席できない場合は、必ず事前に裁判所へ欠席と日程変更の希望を伝える必要があります。
第1回期日は、申立人と裁判所の間で調整されるため、相手方の都合が優先されることが多いです。特に相続人が複数いる場合は、全員の予定を合わせるのが難しいのが実情です。
このようなときは、呼び出し状に同封されている進行に関する照会回答書を活用しましょう。
この書類には、初回期日に出席できない理由や、第2回期日の希望日程を記載する欄があります。必要事項を記入して裁判所に返送すれば、調停の進行に配慮してもらえる可能性があります。
調停条項案に合意する
遺産分割調停の呼び出し状が届いたものの、ほかの相続人の主張に異論がない場合や、遺産について争うつもりがない場合は、調停期日に出席せずとも調停を成立させる方法があります。そのひとつが調停条項案に合意することです。
調停条項案とは、調停期日に出席した相続人同士の話し合いでまとまった遺産分割の内容を記載したものです。
内容に異議がなければ、欠席者が調停条項案に合意する書面(受諾書面)を裁判所に提出することで、出席しなくても合意したものとみなされ、調停が成立します。
ただし、合意する前に調停条項案の内容をしっかり確認し、納得したうえで手続きを進めることが大切です。
電話会議やテレビ会議を利用する
遠方に住んでいる、体調が優れない、仕事の都合がつかないなどの理由で家庭裁判所に出頭できない場合でも、あきらめる必要はありません。
家庭裁判所では、こうした事情に配慮し、電話会議やテレビ会議システムを使った調停参加を認めています。
電話会議は、裁判所が指定する設備を通じて音声で参加する方法で、テレビ会議は最寄りの裁判所や弁護士事務所などから映像を通じて調停を行う裁判所とつながる形式です。
これらの方法は、裁判所の許可を得たときに限り利用可能です。
利用を希望する場合は、調停を担当する家庭裁判所に早めに連絡し、事情を説明したうえで、必要な手続きを確認しましょう。
弁護士に代理人を依頼する
遺産分割調停は平日に家庭裁判所で行われるため、仕事や家庭の事情で出席が難しい方も少なくありません。この場合、弁護士に依頼することで、本人が裁判所に行かなくても調停を進めることが可能です。
弁護士を代理人として選任すれば、調停の場で依頼人の立場や希望を法律的な観点から的確に主張してもらえます。
寄与分や特別受益、遺留分などの複雑な問題にも対応してもらえるため、調停を有利に進められる可能性が高まります。
さらに、弁護士が書類作成や証拠提出から調停委員とのやり取りまですべて代理して行ってくれるため、ご自身の負担を大きく軽減できます。
調停に出席できない事情がある場合は、早めに弁護士に相談し、代理人としての対応を検討することが重要です。
相続問題を弁護士に依頼するメリットについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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相続分の譲渡や相続放棄をする
遺産分割にかかわりたくない場合や、相続争いに巻き込まれたくない場合などの対処法として、相続分の譲渡や相続放棄をする方法があげられます。
相続分の譲渡とは、自分の相続分を他の相続人や第三者に譲り渡すことです。これにより、遺産分割調停の当事者から外れることができます。
ただし、相続分を譲渡しても、被相続人の債務に対する返済義務は残るため、借金がある場合は慎重な判断が必要です。
一方、相続放棄は、家庭裁判所に申述して相続そのものを放棄する手続きです。放棄が認められると、最初から相続人でなかったことになり、遺産分割調停にも一切関与しません。
ただし、相続放棄には期限があり、相続の発生を知ってから3か月以内に申述しなければなりません。
期間の延長は申立てにより可能ですが、期限を過ぎると放棄できなくなるため、早めの対応が必要です。
相続放棄について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
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遺産分割調停の呼び出しを無視する相続人がいる時はどうする?
遺産分割調停に応じない相続人がいる場合は、まずは説得を試みることが必要です。不参加によって不利な遺産分割や過料、相続税の延滞などのリスクがあることを伝えましょう。
感情的な対立がある場合は、弁護士を通じて法的リスクを伝えて調停参加を促すという方法もあります。
それでも出席しない場合は、調停は不成立となり、自動的に遺産分割審判に移行します。
審判では審判官が遺産分割の方法を決定するため、相続人全員が参加しなくても成立しますが、希望どおりの結果になるとは限りません。
遺産分割調停を無視されると手続きが長期化するため、早めに弁護士に相談し、戦略的に対応することが重要です。
遺産分割調停に関するご相談は、これまで多くのご依頼をいただいてきた弁護士法人ALGにぜひご相談ください
遺産分割調停の呼び出しを無視すると、話し合いの機会を失い、家庭裁判所の審判で一方的に決定されるリスクがあります。
希望が反映されないだけでなく、相続税の申告遅延による加算税や、他の相続人との関係悪化など、デメリットは大きいです。
さらに、調停に参加しても、財産の評価や分割方法を適切に判断し、法律に沿った主張を行う必要があり、専門知識がないと不利になる可能性があります。
弁護士法人ALGは、遺産分割調停に関する豊富な実績を活かし、調停や審判対応、代理出席、法的根拠に基づいた適切な主張で、ご依頼者の権利をしっかりと守ります。
「呼び出しを受けたが対応に迷っている」「不利にならないように進めたい」という方は、ぜひご相談ください。
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保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)