コラム

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更新日: 2025年1月31日

タイにおけるBOI会社の設立

監修弁護士 川村 励 弁護士法人ALG&Associates バンコクオフィス 所長

タイは東南アジアにおいて様々な有資格労働者がいる経済繁栄国であり、ビジネスに関心のある外国人や地元の起業家がかなり自信を持って事業を成長できる良い環境を提供しています。

起業家の中には、特に外国人は、タイで事業を行う現実に関する誤情報のため、自分の事業目標に挑戦できなくする多くの障害がタイには存在すると考えているかもしれません。しかし、実際の状況は既に変化しています。

タイにおいて外国人として事業を立ち上げることを容易にするためには、最初の選択肢として、「BOI会社」について調べる必要があるかもしれません。BOI会社は、タイにおいて免税、ビザ、労働許可証、土地所有等の多くの恩典やインセンティブ(優遇措置)を得ることができます。

「BOI」すなわち「Board of Investment:投資委員会」は、タイにおける起業家の事業運営に関して多くのインセンティブを提供することにより、タイでの現地投資と外国からの投資の促進を目的として、首相傘下の政府機関により設立された組織です。

タイにおける会社設立と外国投資規制

先ず初めに、タイ外国人事業法(FBA)が特定外国人の事業活動(農業、養殖、畜産等)を禁止していること、ならびに、事業開発局(DBD)と投資委員会(BOI)が規制する外国人事業ライセンスまたは外国人事業証明書を取得することで実施できる事業活動があることに留意する必要があります。

取得できる権利を確実に知るためには、タイにおいて設立できる事業構造を検討しなければなりません。 詳細は以下の通りです。

  個人事業主 未登録の通常
パートナーシップ
登録済の通常
パートナーシップ
有限責任
パートナーシップ
非公開有限責任
株式会社
公開有限責任
株式会社
所有者 一般人 一般人 法人 法人 法人 法人
所有者数 1名 2名以上 2名以上 2名以上 2名以上 15名以上
経営能力 完全支配 完全支配 完全支配 無限責任パートナーのみが会社を経営できる。 株主により任命された者が会社を経営。 株主により任命された者が会社を経営。
外国人出資制限 外国人は不可 FBAが禁止する場合、49%以下 FBAが禁止する場合、49%以下 FBAが禁止する場合、49%以下 FBAが禁止する場合、49%以下 FBAが禁止する場合、49%以下
特徴 単一の個人または単一の会社が所有する事業 所有者は法的権限を有せず、税務上は個人とみなされる。 所有者は登録法人であり、法人として課税される。 パートナーシップは1名の有限責任パートナーと1名の無限責任パートナーで構成される。 有限責任株式会社は株式に分割した資本を有し、会社の株式を一般大衆に売却できない。 会社は一般大衆に対して株式、社債、新株予約権証券を発行でき、タイ証券取引所(SET)において自社証券の上場を申請できる。
税金 個人所得税:
5~35%
個人所得税:
5~35%
法人所得税:
20%(納税申告:年2回)
法人所得税:
20%(納税申告:年2回)
法人所得税:
20%(納税申告:年2回)
法人所得税:
20%(納税申告:年2回)

土地法では、外国人が49%超の株式を保有する非公開有限責任株式会社は外国企業とみなされるので、当該非公開有限責任株式会社は土地所有権を登録できないことに留意してください。

外国人が49%超の株式を保有する会社には、以下の3つの選択肢があります。

  • DBDから外国人事業ライセンス(FBL)を取得する
  • BOI証明書の承認を得た後、外国人事業ライセンス(FBC)を取得する。
  • 友好条約に基づく特権を取得する(米国の投資家のみが可能)。

事業構造と株式保有量を選択した後は、事業活動の種類とそれがFBAで禁止されているか否かを検討します。会社の事業がFBAで禁止され、かつ、BOI会社でない場合、選択肢は外国人事業ライセンスを申請することです。

他方、会社の事業活動がFBAで禁止されている場合、外国人事業証明書を申請するだけです。外国人事業証明書の取得は、会社がBOIの正式な検討に合格した資格証明書ですので、外国人事業ライセンスの取得よりも容易です。

たとえ会社の事業がFBAの禁止活動のリスト2とリスト3に該当する場合でも、BOI証明書には外国人による会社の株式保有を支援する魅力的な恩典があります。外国人による100%株式保有を認めることもよくあります。

会社の事業活動がFBAのリスト1に該当する場合、BOIは会社に対して最低51%のタイ人による株式保有を要求しなければなりません。BOIは適切であると自ら判断する場合、外国人による株式保有限度を設定することができます。

タイ投資委員会(BOI)とは?

BOI(タイ投資委員会)またはBOI事務局は首相官邸の傘下の政府機関であり、アセアン(ASEAN:東南アジア諸国連合)地域におけるタイの競争力を強化し、タイに外国人投資家の資金を引き付けることを目的に、タイへの投資とタイの対外投資の両方の価値ある投資を奨励し促進しています。

BOIは、タイでの輸出と生産の事業運営に関心のある投資家に対してインセンティブと恩典を提供することにより、タイ経済を刺激し、タイの実質的な発展を促進しています。

2022年10月、BOIは、以下の7つの柱から成る投資促進政策を明確にして、新経済(ニューエコノミー)に関する自らの戦略とビジョンを実行しました。

  • タイが高い可能性を有する新産業の構築およびサプライチェーン全体の強化と並行して、既存産業を改善(アップグレード)する。
  • 自動化、デジタル化、脱炭素化への投資を通じて、グリーン(環境に優しい)かつスマート(ハイテク)な産業への産業移行を加速する。
  • ビジネスセンター、国際貿易、地域の投資ゲートウェイとしてタイをプロモーションする。
  • 中小企業とスタートアップ企業(新興企業)が確実に世界市場とサプライチェーンにつながることができるよう、それらの企業を強化する。
  • タイの各地域の可能性に適した包括的な成長を可能にするタイの様々な地域での投資を促進する。
  • 地域社会の発展を促進する投資を促進する。
  • タイ企業のビジネスチャンスを拡大するために、タイの対外投資を促進する。

BOIの申請要件

BOIの投資促進証明書を申請するためには、BOIが定めた以下の条件を満たさなければなりません。

  • プロジェクトの付加価値は収入の20%以上でなければならない。但し、農業、農産物、電子機器と部品、コイルセンターのプロジェクトの付加価値は収入の10%以上でなければならない。
    付加価値の計算
  • 現代的な生産プロセスを用いなければならない。
  • コンセッション(運営権)式プロジェクトまたは国有企業民営化プロジェクトに関しては、BOIの基準は1998年5月25日付および2004年11月20日付の閣議決定に基づかなければならない。
  • 1,000万バーツ以上の投資資本(土地コストと運転資本を除く)のプロジェクトは、フル操業開始日から2年以内にISO9000またはISO14000の認証または類似の国際基準の認証を取得しなければならない。
    さもなければ、法人所得税の免除は1年分適用されない。
  • 公営企業資本法B.E.2542に基づく国有企業投資プロジェクトに関しては、プロジェクトが民間部門により運営される場合、コンセッションは付与されない。プロジェクトは投資促進措置を受けるために、国有企業プロジェクトに移行する必要がある。
    国は、民間企業の入札を開始する前に検討のため、BOIに対してプロジェクト申請書を提出する必要がある。オークション期間中、民間企業の特権に関して明確に告知しなければならない。
    通常、BOIは、民間企業が国に対して報酬を支払う必要がある場合、投資プロジェクトを推進しないが、報酬が投資プロジェクトに関して合理的である場合は除く。
  • 民間部門により所有、運営、賃貸される国有企業プロジェクトに関しては、BOIは通常のプロジェクト承認基準を用いる。
  • 国有企業民営化プロジェクトに関しては、国有企業の民営化後、有限責任株式会社は、公営企業資本法B.E.2542に基づくBOI投資促進措置を求めるために適切な予算を設定しなければならない。プロジェクトを拡大する場合、有限責任株式会社は、拡大部分についてのみ、通常の投資促進インセンティブが付与される。
  • 事業活動リストに別段の定めがない限り、各プロジェクトの最低資本投資の要件は100万バーツ(土地コストと運転資本を除く)である。
    但し、中小企業の場合は最低50万バーツである。知識集約型サービスに関しては、最低資本投資額は、投資促進措置に適格な事業活動のリストに記載された最低年間給与費に基づく。
  • 新規プロジェクトに関しては、負債資本比率は3~1を超えてはならない。
  • 20億バーツ超(土地コストと運転資本を除く)の投資額のプロジェクトに関しては、プロジェクトの実現可能性調査(feasibility study)結果をBOIが指定した内容で提出しなければならない。
  • 環境保護対策が必要である。
  • 機械は新品でなければならない。

BOIが優遇する会社

タイ投資委員会はインセンティブと特権を申請するプロジェクトに関する基準を策定しています。これらの基準は、投資促進対象の事業活動の場所や優先度があるか否かにより異なります。BOIの投資促進措置を受ける資格を得るためには、事業が以下のいずれかのカテゴリーに該当しなければなりません。

  • セクション1:農業、農産物、食品、バイオ技術
  • セクション2:医療産業
  • セクション3:金属製品、機械、輸送機器
  • セクション4:電子産業、電気器具
  • セクション5:鉱業、セラミック、塩基性金属
  • セクション6:化学製品、製薬産業
  • セクション7:サービス、公益事業(電気、ガス、水道等)
  • セクション8:デジタル
  • セクション9:技術およびイノベーション産業
  • セクション10:高付加価値サービス

BOIの承認を受けた会社が利用できる恩典

BOI会社にとっての重要な特権は、以下の2種類に区分することができます。

1.税制上のインセンティブと特権

  • 機械に対する輸入税の免除/減税
  • 原材料または必須材料に対する輸入税の減税
  • R&D(研究開発)目的に対する輸入税の免除
  • 投資促進対象活動から得た純利益と配当に対する法人所得税の免除
  • 1~13年間(事業の種類と条件により異なる)にわたる法人所得税の50%減税
  • 輸送・電気・給水コストの二重控除
  • 施設の設置または建設コストの25%追加控除
  • 法人所得税インセンティブの利用

投資促進条件に従ったインセンティブの効果的な付与と正確な実行および投資促進措置の費用対効果の明確な評価を確実にするために、投資促進対象者は、該当年の法人所得税インセンティブが付与される前に、プロジェクト評価のためにBOI事務局に対して自らのプロジェクトの運営実績を報告しなければなりません。

報告はBOI事務局が定めた基準と方法に従わなければなりません。

2.非税制上のインセンティブと特権

  • 投資機会を学ぶ目的での、外国人のタイへの入国許可
  • 投資促進活動で働く熟練労働者と専門家のタイへの入国許可
  • 土地所有の許可
  • 外国通貨での海外への金銭の持ち出しまたは送金の許可
  • 外国人による株式100%保有の許可(外国人事業法に添付のリスト1またはその他の適用法で定めた事業は除く)

法人所得税の免除

対象期間内に法人所得税を免除されるBOI会社の主な特権は、以下のように区分することができます。

活動グループ 法人所得税の
免除期間
事業の例
A1+ 10~13年 バイオ技術開発、ウエハー生産、ナノ技術開発
A1 8年 バイオ技術、臨床研究
A2 8年 生化学製品、自動車部品製造
A3 5年 鉱業、金属産業
A4 3年 プラスチック製造
B 免除なし セメント製造

機械設備に対する輸入税の減税または免除

BOI会社は、以下の条件で、投資促進法に従って、機械に対する輸入税の免除または減税の恩典を受けることができます。

  • 輸入機械は、タイにおいて製造または組立を行ってはならず、外国において製造される同種の機械と品質面で類似していなければならず、かつ、調達と使用の点で十分な数量でなければならない。
  • 機械は、投資促進措置を申請し、BOIが承認した生産プロセスにおいて使用しなければならない。
  • 機械または設備は、実際に設置して、投資促進プロジェクトの生産プロセスにおいて直接使用しなければならない。
  • 機械のデバイスまたは部品の場合、2003年1月16日付のBOI No. Por 1/2546の告知における定義に該当しなければならない。
  • 生産プロセスにおいて直接使用されない機械または設備の場合、実際に設置して、投資促進対象となった事業において使用しなければならない。
  • 貿易用の機械に取り付けるナット、ネジ、電気ケーブル等の部品や備品(機械部品を含む)は、輸入機械と同じ特権を受ける。
  • 元の機械と置き換える輸入機械は、同じ特権を受ける。
  • 生産能力は投資促進証明書に記載された最大値を超えてはならない。タイへの機械輸入は投資促進証明書に記載された期間内に行わなければならない。

BOI会社は、10%以上の輸入税がかかる機械に関してのみ、輸入税の通常税率の半分の減税を受けることができます。しかし、海外から輸入される機械に10%未満の輸入税率が適用される場合、減税措置を受けることができません。

現在のBOI基準では、上記特権に適格な活動の種類は明記されていません。それ故、最初に投資促進措置を受けた者と同様、以前の投資促進政策に基づき投資促進措置を受けた者のみが対象となるでしょう。

機械設備に対する輸入税の減税または免除

輸出品の生産に使用される原材料に対する輸入税の免除

輸出品の生産に使用される原材料に対する輸入税の免除を受けるためには、投資促進証明書に記載された製品を生産する投資促進プロジェクトにおいて輸入原材料を使用し、外国のみに輸出しなければなりません。

国内向け生産の場合または輸出できない場合、投資促進対象者は、輸入日に原材料の輸入税を支払うと共に、関税法に基づく課徴金と罰金、付加価値税(VAT)を支払わなければなりません。

輸出促進措置の免税を受ける投資促進対象者は、輸出用もしくは再輸出用の製品や商品、または、投資促進対象者が生産もしくは組立を行う製品や商品の生産・混合・組立において特に使用される輸入原材料と必須材料の輸入税の免除を受けることにより、あるいは、投資促進対象者が生産もしくは組立を行う製品や商品の前年の所得増加の5%に相当する額を、法人所得税の課税所得(海外保険と運送費は除く)から控除する許可を得ることにより、BOIが定めた1つ以上の特定の権利を得ることができます。

輸出品の生産に使用される原材料に対する輸入税の免除

事業用の土地所有の許可

タイ法では、タイ人の株主が登録資本の51%以上を保有するBOI会社のみが、土地を購入し所有することができます。

他方、タイ人の株主が登録資本の51%未満を保有するBOI会社の場合、工場、事務所、従業員の住居の設立地として土地を使用する目的で、BOIが促進する事業のために土地を所有する特権を得ることができます。その他の目的の場合、事前にBOIの承認を得なければなりません。

1.工場の設立のための土地所有

  • 外国人の過半数が株式を保有しなければならない。
  • 投資促進証明書に記載の工場用地の条件に基づく県および工業団地内の土地でなければならない。
  • 土地の規模は投資促進事業の規模に適していなければならない。
  • 環境に影響を及ぼす可能性があり、かつ、環境保護や環境対策のためのシステム(廃水システム等)を建設するために大規模な土地を使用する必要がある事業は、各建設のために十分な規模での土地の所有が許可される。

2.事務所および住居のための土地所有

投資促進対象者は、工場用地から異なる場所における事務所および従業員用住居の建設のために土地の所有を申請することができます。

2023年12月23日までに土地所有を申請するプロジェクトに関しては、以下の条件で、事務所および住居としての使用のために土地を所有することが許可されます。

  • 事務所用の土地に関しては、5ライ(rai)(8,000㎡)を超えない範囲で土地所有が許可される。
  • 住居用の土地に関しては、経営幹部や専門家の場合は10ライを超えない範囲で、労働者の場合は20ライ(32,000㎡)を超えない範囲で、土地所有が許可される。

3.その他の目的での土地使用の許可

投資促進対象者は、投資促進事業以外の目的で土地を使用する許可を申請することができます。例えば、

  • 投資促進対象ではない製品の生産のための土地使用
  • 投資促進対象者の生産における生産または支援のために他者に使用させるための土地使用
  • 電気・ガス・水道等の設備の設置のための土地使用
  • 投資促進対象者の関係会社が使用するための土地使用

BOIの判断により、投資促進事業以外の目的での土地使用は、承認された面積全体の10%を超えない範囲で許可される場合があります。

事務所および住居のための土地所有

労働ビザおよび労働許可証の取得の簡素化

先ず、BOI会社は、外国人の技術者および/または専門家を入国させる承認申請書を専門窓口経由でBOIに対して提出しなければなりません。承認まで約5日かかります。

承認書の発行後、当該外国人技術者や専門家は、当該外国人が滞在している国にあるタイ王国大使館で「非Bビザ(non-B visa)」を申請するために当該承認書を提出しなければなりません。

その後、外国人技術者や専門家がタイに入国する際、BOI会社は、当該外国人の職位に関する承認書を専門窓口経由で提出しなければなりません。

労働許可証は労働ビザと全く同じですが、タイに入国する際、当該外国人がチャムチュリースクエア(Chamchuri Square)にあるワンストップサービスセンターで労働許可証を申請しなければならないという点で異なります。

BOI申請手続き

投資家アカウントの登録

BOIはペーパーレス組織ですので、投資家はBOIのウェブサイトを訪れて、自分の投資家アカウントを設定して登録する必要があります。

申請書とプレゼン資料の作成

オンラインで申請書に記入後、投資家は自社を説明するプレゼン資料(事業計画、マーケティング計画、投資計画等)を添付する必要があります。BOIが当該申請書とプレゼン資料に納得した場合、BOIは、BOIの面前でリアルタイムでプレゼンを行う時間を確認する電子メールを投資家に対して送付します。

BOIに対するプレゼンテーション

投資家は本人が直接、BOIに対してプレゼンを行う必要があります。投資家は一人で行くか弁護士を連れていくことができますが、自らに代わって別の会社のメンバーを行かせることはできません。

面接とプレゼンでは、BOIは直ちに投資家のプロジェクトを拒絶することができますが、組織の指揮命令系統のため、直ちに承認することはできません。BOIが当該書類および/またはプレゼンの修正を要求する場合、BOIは会議において投資家に対して通知します。

承認または拒絶の通知

投資家のプレゼン日から約30日後、BOIは投資家に対して、申請書の承認または拒絶を確認する電子メールを送付します。

タイでの会社登録

承認通知の受領後、投資家は2名以上の株主で構成される会社を設立します。この時、会社の銀行口座を開設することもできます。

会社の銀行口座への登録資本金の振込

会社の銀行口座を開設後、投資家は当該口座に対して登録資本金(金銭)を振り込む必要があります。最低必要振込額は登録資本金の25%です。

BOIに対する会社書類の提出

会社のすべての書類を精査し、オンラインシステムを通じて送付すると、7~10日以内にBOI証明書が投資家に対して付与されます。

BOI証明書の受け取り

BOIは投資家に対して、証明書の準備完了時期を通知します。投資家は対面で当該証明書を受け取らなければなりません。

BOI労働許可書およびビザ

外国人従業員を雇用する必須条件として、新規設立のBOI会社は「電子エキスパートシステム(e-expert system)」で登録を完了させなければなりません。この登録により、その後、BOI会社は外国人労働者の検討と承認を要求することができます。

電子エキスパートシステムを通じて外国人労働者の職位が提出、公開、承認されると、申請者はBOIのワンストップサービスセンター(OSOS)を通じてビザと労働許可証の両方を申請することができます。

BOI報告および順守事項

投資促進証明書の受領後、投資促進対象会社は以下の条件を満たさなければならず、各段階で(該当する場合)、OBOI(BOI事務局)に連絡しなければなりません。

  • 30カ月以内に、減税の恩典を受けるために、機械設備を輸入しなければならない。
  • 36カ月以内に、工事を完了し、機械設備を設置し、工場をいつでも操業開始できる状態にしなければならない。
  • 2カ月を超えて事業運営を停止しなければならない場合、会社はOBOIに対して許可を求めなければならない。
  • OBOIは、投資促進対象会社が免税または低減税率で輸入した機械の担保設定、売却、賃貸、譲渡を行う前に書面で許可しなければならない。未承認目的で機械を使用する場合も許可を取得しなければならない。

会社が上記条件を満たしていないことをBOIの検査官が発見した場合、OBOIは会社に対して正式な警告通知書を送付します。

条件を満たしていない理由について正当な説明がない場合、OBOIはBOIに対して、投資促進措置を取り消すことを勧告し、その結果に応じてDBD(事業開発局)、歳入局およびその他の機関に対して通知します。

BOI会計

タイにおけるBOI会社は厳格な会計手続きと報告手続きに従わなければなりません。VAT(付加価値税)、WHT(源泉徴収税)、SSF(社会保険料)、半期および通期の監査の基本的な報告に加えて、BOI会社は、投資促進カテゴリーの各種類に関して定めた特定要件に必ず従わなければなりません。

歳入局とBOI検査官の両方により厳しく監視されます。BOI会社は、これらのBOI会計要件について特別に配慮しなければなりません。

BOI投資促進証明書のインセンティブを申請するために必要な書類と情報:

  • 法人書類:宣誓供述書、株主名簿、基本定款、財務諸表(会社が設立済みの場合)
  • 会社(仮)の取締役のパスポートまたはタイの身分証明書の写し(会社が設立前の場合)
  • 財務計画および投資計画
  • 事業の範囲に関する説明
  • 事業の種類と規模
  • プロセス
  • プロジェクトに使用される機械、ツール、設備、コンピューター、ソフトウェアのリスト(原産国、数量、価額を含む)
  • 主要な顧客および取引関係のリスト
  • マーケティング計画
  • 事業運営計画(建物/運営場所、予想収入を含む)
  • 運営開始後の最初の3年間のプロジェクトの予想収入と費用
  • プロジェクトの実績(もしあれば)
  • 会社および関連会社のパンフレット
  • BOIの役人が自ら適切であると判断する追加書類を要求できることに留意してください。更に、申請者は、BOIの役人がプロジェクトの更なる詳細に関して質問し、面接を行うことができるよう、プレゼンや面接の会合に参加する必要があります。

BOI会社としての承認後の留意事項

BOI会社として承認後、事業運営を開始する前の毎年2月と7月にBOIに対して進捗報告すること、および、BOI証明書の発行日から取消日まで、毎年7月にBOIに対して進捗報告することは重要ですので留意してください。

IEATについて

タイ工業団地公社(IEAT)は、税制上と非税制上の両方のインセンティブを提供しています。工業団地は「一般工業ゾーン」「フリーゾーン」という2つのゾーンに区分されます。フリーゾーンでは、WTO(世界貿易機関)が定める義務に従って、いかなる輸出条件も課されません。

一般工業ゾーン

IEATは一般工業ゾーンの事業者に対して、事業運営に不可欠な包括的サービス(運送、倉庫、訓練センター、クリニック等)を提供し、事業運営に必要な土地所有を許可します。一般工業ゾーンの投資家は、一般工業ゾーンでサービス業を運営する許可を付与されます。

IEATフリーゾーン

IEATのフリーゾーンの事業者は、何ら制限なく製品を輸出する特権、および、フリーゾーンに商品や原材料を持ち込める追加の便宜が提供されます。フリーゾーンに搬入される供給品はより良い税制上の特権-国内での使用や消費のためにフリーゾーンから持ち出す製品に対する税負担の軽減を含む-を受けることができます。原材料部品等が国内で生産された場合、免税措置を受けることができます。

フリーゾーンの事業者は、以前のタイ工業団地公社法で定めた特権を依然として有します。

事業者は、何ら制限なく生産・貿易・サービス提供のための商品と原材料をタイに輸入する許可またはIEATフリーゾーンに持ち込む許可を付与されます。当該商品や原材料の輸入は事業者に限定されます。輸出品製造者も、輸入許可を取得することなくまたは特定のシールや記号を貼付することなく、その他の法令(関税法を除く)で定めた基準と品質管理要件から免除されて、製造・混合・組立・梱包等のための供給品や原材料をフリーゾーンに持ち込む許可を付与されます。

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